チリンの鈴

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チリンの鈴』(チリンのすず)は、1978年3月に劇場公開されたサンリオアニメーション映画。 原作はやなせたかしの『ちりんのすず』。日本ヘラルド映画によって配給された。絵本のほか、DVDも発売されている。同時上映は『親子ねずみの不思議な旅』。

あらすじ[編集]

オオカミのウォーに母を殺された子の少年チリンは、復讐のために牧場を出てウォーを探し当て、オオカミを超える強さを身につけるべく憎い敵であるウォーに弟子入りを志願する。当初こそチリンを相手にしなかったウォーだが、チリンの本気と覚悟を認め、弱肉強食の世界で生き延びるための戦い方を教える。復讐心を糧に厳しい修行に耐え続ける内に、チリンは徐々に羊とも狼とも言えない、恐るべき魔物のような姿の獣に変わってしまう。牙を持たない彼の殺しの手段は、岩を砕く固い蹄、そして肉を突き破るほどに研ぎ澄まされた二本の鋭い角。その角を武器にウォーに何度挑めども仕留められぬ日々を繰り返す中、自分を教え導いてくれた師であるウォーに対する親子関係にも似た親愛の情がチリンの中に芽生えていく。そして復讐が叶わぬと悟ったチリンは、ウォーとどこまでも運命を共にしてやろうと心に決め、彼の手下となって共に森を荒らしまわるようになる。

やがてウォーは最後の課題としてチリンに生まれ故郷の牧場を襲撃するよう命じる。獰猛な獣の心に支配されきっていたチリンは、言われるままに躊躇うことなく実行に移し、番犬を瞬く間に蹴散らして畜舎へ侵入していく。そして1匹の子羊に襲い掛かろうとしたとき、母羊が我が子を守ろうと立ちはだる。その様をかつての自分と自分の母親に重ね合わせたチリンは激しく動揺し、その場から逃げ出してしまう。手本と称して羊に襲いかかろうとしたウォーの前に立ちふさがったチリンは、自分の本当の目的を思い出し、自分は羊だと絶叫しながら二本の角を振りかざして突撃していく。ウォーは避けることなくチリンの角に突かれ、こうなることがわかっていてあえてチリンを受け入れ鍛えたこと、自分を殺したのがチリンであったことに喜びを感じていたことを伝え、息絶える。

こうして、チリンは復讐を果たしたものの、父親同然の存在となっていたウォーを自らの手で殺めてしまったことで深い悲しみに暮れ、異形の姿ゆえに故郷の羊の群れに戻ることもできず、ウォーが身をもって教えてくれた狼の生きざまと一匹狼ゆえの孤独を実感と共に噛み締めながら姿を消した。

それから時は過ぎ、吹雪の日の夜に、鈴の音が、風に交じって響き渡ってくるという。

だが、チリンの姿を見たものはついぞなかったという。

登場人物[編集]

スタッフ[編集]

  • 制作プロダクション:サンリオ
  • 監督:波多正美
  • 制作:波多野恒正
  • 製作:辻信太郎
  • 原作:やなせたかし
  • 撮影:八巻磐
  • 美術:阿部行夫
  • 編集:古川雅士
  • 音響:林昌平
  • 主題歌:
    作詞:やなせたかし
    作曲:いずみたく
    歌:ブラザース・フォー