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ダットサン・14型

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダットサン・14型
1935年式ロードスター
東京モーターショー2013にて)
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1935年 - 1936年
デザイン 富谷龍一
ボディ
乗車定員 2名(ロードスター、ピックアップトラック)[1]
4名(セダン、フェートン)[1]
ボディタイプ 2ドアロードスターセダン
フェートンライトバン
ピックアップトラック
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 7型 722cc 水冷直列4気筒サイドバルブ
最高出力 15 PS (11 kW)/3,600 rpm
変速機 3速MT
サスペンション
横置リーフ
縦置リーフ
車両寸法
ホイールベース 2,005mm
全長 2,790mm
全幅 1,190mm
全高 1,600mm[1]
車両重量 380kg(シャシー)[1]
550kg(ロードスター)
580kg(フェートン)[1]
590kg(トラック)
600kg(セダン)[1]
最大積載量 500kg(トラック)
その他
ブレーキ ロッド式ドラムブレーキ
トレッド 前:990mm
後:1,026mm
系譜
先代 ダットサン・13型英語版
後継 ダットサン・15型英語版
テンプレートを表示

ダットサン14型(ダットサン14がた)は、1935年2月に導入され[2]1936年まで日産自動車によって製造された日本初の量産車である。15 PS (11 kW) のサイドバルブエンジンを搭載し、小型自動車に分類されるいくつかのボディスタイルが存在した。ハンプシャーにあるイギリス国立自動車博物館によると、14型は「日本の自動車産業の誕生を告げた」と紹介されている[3][4]

デザイン[編集]

ボンネットに取り付けられた跳ねウサギのオーナメントマスコット

ダットサン14型は、外観的には先に発表されたダットサン13型と非常によく似ていた。唯一の顕著な違いは、ボンネットの上に飛び跳ねるウサギ(脱兎)のマスコットが追加されたことである[1]。このマスコットは日産自動車に勤めていたデザイナー、富谷龍一によるデザインであり[5]、全体のスタイリングも担当している。

機械的には、ダットサン13型の古いDATエンジンが、排気量722 ccのサイドバルブ直列4気筒エンジンである新しいダットサン・7型エンジンに置き換えられた。新しいエンジンは小型ではあるが、出力は 15 PS (11 kW) でより強力だった。エンジンは3速MTギアボックスを介して後輪を駆動し、最高速度は 80 km/h (50 mph) に達した[5]

サスペンションは従来同様にリーフ式サスペンションを採用しているが、フロント側の取り付け位置が変更されたことで、悪路で横転しやすい弱点を改善した[6]

生産[編集]

ダットサン14型は、日産が横浜の新工場で生産した最初の車である[7][1]。この工場では米国から輸入した多くの工具や技術を活用し、初めて同じ工場でボディとシャーシの両方を組み立てることができた[5]。このため以前の設備に比べると大量生産が可能になった。最初の車両は1935年4月12日に生産ラインから出荷された[7]

イギリス国立自動車博物館にある車両は、1935年にハーバート・オースチンによって輸入されたものであるが、オースチンは特許侵害の可能性を調査するため、何の措置も取らなかった。引き渡しの購入資金は、欧州日産が提供した[4]

生産台数[編集]

ダットサン14型は1935年4月から1936年4月までに合計3,800台が生産され、そのうち53台が輸出された[5]。この車はオースチン・7 とスタイリングが似ており、当初はオーストラリアへ、そして 1936年にはニュージーランドへの輸出に大きく貢献した[7]

ダットサン・14T型[編集]

日産は同時期に、同工場でダットサン14型をベースにした商用車ダットサン14T型を生産した。このトラックの前半分は、ウサギのオーナメントやフォード・モデルYからヒントを得たクロムメッキグリル[4]を含め、乗用車の14型と同じであった[5]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h ★1935年ダットサン14型ロードスター 東京モーターショー ~自動車カタログ棚から 192” (2013年11月27日). 2024年5月22日閲覧。
  2. ^ 浅井貞彦『ダットサン : 歴代のモデルたちとその記録 : 浅井貞彦写真集』MIKI Press、東京、2011年8月、96頁。ISBN 978-4-89522-575-5オリジナルの2014年11月29日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20141129030332/http://www.mikipress.com/books/pdf/575.pdf2020年7月15日閲覧 
  3. ^ Edsall (2016年7月6日). “Classic Profile: 1935 Datsun Type 14” (英語). The ClassicCars.com Journal. 2018年11月8日閲覧。
  4. ^ a b c イギリス国立自動車博物館の展示説明より(ウィキメディアコモンズ) 2024年5月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e Bent (2016年). “1935 Datsun 14 Model” (英語). earlydatsun.com:The Complete Guide to Classic Datsun Cars and Trucks. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月2日閲覧。Bent, Alan (2016). "1935 Datsun 14 Model". earlydatsun.com:The Complete Guide to Classic Datsun Cars and Trucks. Archived from the original on 2016-03-04. Retrieved 2 April 2017.
  6. ^ 14型(1935年1月~1936年1月)”. GAZOO. 2024年5月22日閲覧。
  7. ^ a b c Jacobs, Andrew James (2016) (英語). The New Domestic Automakers in the United States and Canada : History, Impacts, and Prospects. Lanham: Lexington Books. p. 90 Jacobs, Andrew James (2016). The New Domestic Automakers in the United States and Canada : History, Impacts, and Prospects. Lanham: Lexington Books. p. 90.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]