クイーンズ・ギャンビット (ドラマ)

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The Queen's Gambit
ジャンル ドラマ
原作 ウォルター・テヴィス
The Queen's Gambit
企画
監督 スコット・フランク
出演者
作曲 カルロス・ラファエル・リブラ英語版
国・地域 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
製作
製作総指揮
放送
放送チャンネルNetflix
The Queen's Gambit
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クイーンズ・ギャンビット』(原題: The Queen's Gambit)は、アメリカの配信ドラマである。冷戦期を舞台にチェスの天才少女を描く。原作は『ハスラー』『地球に落ちてきた男』で知られるウォルター・テヴィスによる『クイーンズ・ギャンビット英語版』(日本語では新潮社より小澤身和子訳で2021年6月に刊行)[1]スコット・フランクが全話の脚本と監督を担当し、アラン・スコットとともにプロデュースも手がけている。2020年10月23日よりNetflixにて全7話が一挙配信された[2]

あらすじ[編集]

第1話「オープニング[編集]

9歳の少女エリザベス・ハーモン(ベス)は交通事故で母親を失い養護施設に入れられる。そこでは薬物を子どもたちに投与しており、ハーモンは依存症になっていく。黒人の同級生ジョリーンをのぞいて生徒とも教師とも馴染めないハーモンは用務員のシャイベルと仲良くなり、彼からチェスの手ほどきを受ける。

第2話「エクスチェンジ」[編集]

13歳になったベスは、ウィートリー夫妻に引き取られる。しかし養父が義母アルマと離婚したため、生活は困窮する。アルマを救うため、ベスはチェスの州コンテストに参加し、チャンピオンのベルティックを倒す。

第3話「ダブルポーン[編集]

ベスは、チェスの天才少女として一躍注目を浴びる。ラスベガスの全国大会に出場したベスは決勝で優勝候補ベニーと対決し初めて敗北する。

第4話「ミドルゲーム[編集]

メキシコ大会に出場したベスは、ロシアの強豪ボルコフと対決するが敗れ去る。そして養母のアルマがホテルで死ぬ。ベスは再び薬物に頼るようになる。

第5話「フォーク[編集]

傷心のベスの元にベルティックが現れ、二人は同棲を始める。しかしベスの才能についていけないベルティックは彼女の元を離れる。全米大会に出場したベスは、かつて自分を負かしたベニーと再戦し勝利する。ベスはロシアで開かれる国際大会への出場が認められる。ベニーはベスのコーチ役を買って出る。

第6話「中断[編集]

パリの国際試合に参加したベスはボルコフと再戦するが敗れる。帰国したベスはベニーとの連絡も絶ち酒に溺れる日々を過ごす。再会した養父から自宅を明け渡すよう要求されたベスは彼と縁を切り、わずかな貯金をはたいて自宅を買い取る。ある日、養護施設でのかつての親友ジョリーンがベスの元を訪れる。

第7話「エンドゲーム[編集]

シャイベルの葬儀に出席するために養護施設を訪れたベスは、彼が別れた後も自分の事をずっと気にかけてくれていた事を知る。ジョリーンは法律家になるために貯めていた学費をベスに預ける。モスクワ大会へと参加したベスは順調に勝ち進み、決勝でボルコフと対決する。対決は翌日へと持ち越される。朝、ベスの元にベニーから国際電話がかかってくる。ベルテックらベスのチェス仲間が集まり、棋譜の研究をしていたのだ。彼らのアドバイスを胸に勝負に挑むベスだが、ボルコフの一手は彼らの予想を超えたものだった。

登場人物[編集]

メイン[編集]

ベス・ハーモン(Beth Harmon
演 - アニャ・テイラー=ジョイ
自らを安定させるための薬物とアルコールへの増していく依存を隠しながら、世界で最も偉大なチェスプレーヤーになりたいという願望に突き動かされて、男社会でもあるチェスの世界で頭角を現していく女性。孤児の身から、さまざまな経験を経て、大きく成長していく。
  • 若きベス・ハーモン:イスラ・ジョンストン/Isla Johnston
  • 5歳のころのベス・ハーモン:アナベス・ケリー/Annabeth Kelly
ウィリアム・シャイベル(William Shaibel
演 - ビル・キャンプ
メスーエン養護施設の用務員でありながらも、経験豊富なチェスプレーヤーとしての顔も持つ。地下室にて独りでチェスを指していたところ、偶然ベスと出会い、ベスにチェスのプレイ方法を教えることになる。
ジョリーン(Jolene
演 - モージス・イングラム
メスーエン養護施設で出会い、ベスの最も親しい幼なじみとなるアフリカ系アメリカ人の女性。養護施設では反抗的な態度で先生方を困らせている。
ヘレン・ディアドーフ先生(Helen Deardorff
演 - クリスティアン・サイデル
メスーエン養護施設の施設長。
ロンズデール先生(Miss Lonsdale
演 - レベッカ・ルート英語版[3]
メスーエン養護施設の礼拝堂で牧師兼合唱団長を務める。礼儀作法も教えている。
アリス・ハーモン(Alice Harmon
演 - クロエ・ピリー
ベスの亡くなった母親。ときどきフラッシュバックでのみ思い出される。コーネル大学で数学の博士号を取得したが、その後、精神的な不調をきたしてしまう。
ファーガソン先生(Mr. Fergusson
演 - Akemnji Ndifornyen
メスーエン養護施設で、少女たちに国が義務付けた“ビタミン剤”と称する赤と緑の錠剤の管理を行っている看護助手。
アルマ・ウィートリー(Alma Wheatley
演 - マリエル・ヘラー
夫のオールストンと一緒に10代のころのベスを養子として受け入れ、後にベスのチェスでのマネージャーを務めることになる女性。アルマの実の子どもはベスの養子縁組の前に亡くなっている。徐々にアルコールに依存するようになり、その姿はベスに影響を及ぼすこととなる。
ハリー・ベルティック(Harry Beltik
演 - ハリー・メリング
チェスの州チャンピオン。ベスにとっての最初のトーナメントで打ち負かした相手。その後、苦境に陥ったベスを助けることになる。
オールストン・ウィートリー(Allston Wheatley
演 - パトリック・ケネディ英語版
アルマの夫であり、ベスの養父。
タウンズ(Townes
演 - ジェイコブ・フォーチューン=ロイド
ベスが報われない愛を育むことになる仲間のチェスプレーヤー。
ベニー・ワッツ(Benny Watts
演 - トーマス・ブロディ=サングスター
米国のチェス王者であり、ベスの前に立ちふさがる競争相手の1人。後にメンター、そして、友人となる生意気な青年。
ヴァシリー・ボルゴフ(Vasily Borgov
演 - Marcin Dorociński/マルチン・ドロチンスキ
ソ連のチェス世界チャンピオン。ベスが何度も戦うこととなる、最強のチェスプレーヤー。
ベスの父親
演 - Sergio Di Zio/セルジオ・ディ・ジオ
ベスの母親アリスを精神的な不調から救おうと努力したが、拒絶され、二人から離れていった。
マーガレット(Margaret
演 - Dolores Carbonari/ドロレス・カルボナリ
当初は、ベスを毛嫌いしてたが、彼女が有名になるにつれ、不仲ではなくなった。
アネット・パッカー(Annette Packer
演 - Eloise Webb/エロイーズ・ウェッブ
ベスの公式戦での最初の対戦相手。何も知らない彼女に公式戦でのルールを教えた。
マット(Matt
演 - Matthew Dennis Lewis/マシュー・デニース・ルイス
ベスの最初の公式戦で、マイクとともに登録員を務め、彼女の友だちになる双子の兄弟。
マイク(Mike
演 - Russell Dennis Lewis/ラッセル・デニス・ルイス
ベスの最初の公式戦で、マットとともに登録員を務め、彼女の友だちになる双子の兄弟。
アーサー・レベルトフ(Arthur Levertov
演 - Max Krause/マックス・クラウス
ベスのトレーニングを手伝うベニーの友人であり、グランドマスターでもあるチェスプレーヤー。
ヒルトン・ウェクスラー(Hilton Wexler
演 - Ryan Wichert/ライアン・ヴィヒャルト
ベニーの友人であり、チェスプレーヤーとしても強い。チェス・プロブレムの愛好家でもある。
ガンツ氏(Mr. Ganz
演 - Jonjo O'Neill/ジョンジョ・オニール
地元のダンカン高校でチェスクラブのコーチをしている。シャイベルさんの知り合い。ベスの腕前に舌を巻き、クラブでの12人同時対局のため、彼女を高校に招待する。
ゲオルギ・ギレフ(Georgi Girev
演 - Louis Ashbourne Serkis/ルイ・アシュボーン・セルキス
13歳のソビエトのチェスの天才。ベスと対戦し、5時間以上の激闘を繰り広げる。
ボルゴフの妻
演 - Janina Elkin/ヤニナ・エルキン
ボルゴフの妻で、彼の通訳も務める。
ブース氏(Mr. Booth
演 - John Schwab/ジョン・シュワブ
モスクワでボルコフと戦うベスのために、アメリカ国務省から派遣された彼女の世話人。
クレオ(Cleo
演 - Millie Brady/ミリー・ブレイディ
ベニーと気軽な関係を持っていたフランス人モデル。チェスのことはわからないが、ベスとはすぐに親しくなる。
エド・スペンサー(Ed Spencer
演 - Bruce Pandolfini/ブルース・パンドルフィーニ
トーナメントディレクター。
ルチェンコ(Luchenko
演 - Marcus Loges/マーカス・ローゲス
ベテランの元世界チェスチャンピオンであり、モスクワでの試合で、ボルコフの前に戦う相手。

日本語吹替[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ベス・ハーモン アニャ・テイラー=ジョイ 伊瀬茉莉也
ベス・ハーモン(幼少期) アイラ・ジョンストン
アリス・ハーモン クロエ・ピリー 岡本沙保里
シャイベル ビル・キャンプ 手塚秀彰
ジョリーン モーゼス・イングラム 和優希
ヘレン・ディアドーフ クリスティアン・サイデル 恒松あゆみ
ロンズデール レベッカ・ルート 斎賀みつき
アルマ・ウィートリー マリエル・ヘラー まつだ志緒理
ハリー・ベルティック ハリー・メリング 小田柿悠太
タウンズ ジェイコブ・フォーチューン=ロイド 田所陽向
ベニー・ワッツ トーマス・ブロディ=サングスター 関雄
クレオ ミリー・ブレイディ 石井未紗
その他 祐仙勇

後藤光祐

岡本幸輔

滝知史

きそひろこ

川上ひろみ

泊明日菜

三上由理恵

中井美琴

伊藤優希

松浦義之

岡哲也

石住昭彦

三重野帆貴

鵜澤正太郎

森田了介

酒巻光宏

荘司勝也

吉富英治

佐々木啓夫

こばたけまさふみ

梅津秀行

峰かずこ

日本語版スタッフ
演出 麦島哲也
翻訳 平井かおり
日本語字幕 高橋百合子
チェス監修 篠田太郎
調整 池田知佳
録音 中西一仁
制作進行 柴山司
スタジオ HALF H・P STUDIO

製作[編集]

製作[編集]

2019年3月19日、 Netflixは、制作サイドに6つのエピソードからなるシリーズの制作を依頼した。そして、アラン・スコットと一緒に制作したスコット・フランクが監督を務めることになった。カルロス・ラファエル・リベラが挿入曲を担当した[4]

キャスティング[編集]

制作開始の発表と並行して、アニャ・テイラー=ジョイが主演することになったことが発表された[5] 。2020年1月、モージス・イングラムがキャストに加わったことが発表された[6]。初演日の発表の際、ビル・キャンプ、トーマス・ブロディ=サングスター、ハリー・メリング、マリエル・ヘラーが出演することが発表された[7][8]

撮影[編集]

主要撮影は、オンタリオ州ケンブリッジで2019年8月に開始された[9]。撮影はベルリンでも行われた[10]

影響[編集]

玩具メーカーのスピンマスターは、クイーンズ・ギャンビットが公開されて以降、チェス関連の製品の売上が3桁増加したと発表した[11]

EC企業のeBayは、チェスセットを含む関連製品の売上が215%増加したと発表した[11]

チェス対局サイトのLichessは、公開日以降、1日のピーク時のプレーヤー数が大幅に増加していると発表した[12]

同じくチェス対局サイトのChess.comでは、新規プレイヤーが5倍に増加した[13]

受賞[編集]

第73回プライムタイム・エミー賞では、作品賞リミテッドシリーズ/アンソロジーシリーズ/テレビ映画部門を受賞した。

参考文献[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Petski (2019年3月19日). “Netflix Orders 'The Queen's Gambit' Limited Series From Scott Frank; Anya Taylor-Joy To Star”. Deadline Hollywood. 2019年7月20日閲覧。
  2. ^ McHenry (2020年8月27日). “The Queen's Gambit Trailer: Anya Taylor-Joy Dives Into Chess, Drugs, and More Chess”. Vulture. 2020年8月27日閲覧。
  3. ^ Root (2019年12月20日). “A Netflix series next year called The Queen's Gambit xx”. Twitter. 2020年6月11日閲覧。
  4. ^ Carlos Rafael Rivera Scoring Netflix's 'The Queen's Gambit'”. FilmMusicReporter (2020年8月27日). 2020年9月1日閲覧。
  5. ^ Thorne (2019年3月19日). “Anya Taylor-Joy to Star in 'The Queen's Gambit' Limited Series at Netflix”. Variety. 2019年7月21日閲覧。
  6. ^ Sneider (2020年1月15日). “Newcomer Moses Ingram Joins Denzel Washington in Joel Coen's 'Macbeth'”. Collider. 2020年6月11日閲覧。
  7. ^ Roots (2020年8月27日). “Game of Thrones, Peaky Blinders Stars Play a Risky Game in Netflix Chess Drama The Queen's Gambit — Watch”. TVLine. 2020年8月27日閲覧。
  8. ^ Nolfi (2020年8月27日). “Anya Taylor-Joy puts the patriarchy in check in The Queen's Gambit teaser”. Entertainment Weekly. 2020年8月27日閲覧。
  9. ^ 'The Queen's Gambit' filming in Cambridge for 2 days”. Cambridge Times (2019年8月22日). 2019年11月28日閲覧。
  10. ^ Cooper (2020年2月20日). “'The Witch' star Anya Taylor-Joy: "People always want to put you in a box"”. NME. 2020年5月8日閲覧。
  11. ^ a b Can't Find A Chess Set? You Can Thank 'The Queen's Gambit' For That”. NPR. 2020年11月23日閲覧。
  12. ^ Daily player peak on Lichess since August.”. Lichess.org. 2020年11月23日閲覧。
  13. ^ Netflix「クイーンズ・ギャンビット」記録的ヒットでチェス界に波及効果”. THE RIVER. 2020年11月24日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]