ギネス・ジョーンズ
ギネス・ジョーンズまたはグィネス・ジョーンズ(Dame Gwyneth Jones DBE, 1936年11月7日 - )は、イギリスのソプラノ歌手。オペラと歌曲における優れた歌唱で知られる。
来歴
[編集]ウェールズのポントニュイで生まれ、ロンドンの王立音楽院で学んだ後、シエナとチューリヒでも研鑽を積んでいる。1962年にチューリヒ歌劇場でデビューし、1963年以降はロンドンのコヴェント・ガーデンで歌い、以後世界の著名な劇場で活躍する。
彼女のレパートリーは幅広いが、特にワーグナー作品においての評価が高い。バイロイト音楽祭にも出演し、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のエヴァ、『さまよえるオランダ人』のゼンタ、『パルジファル』のクンドリー、『タンホイザー』のエリーザベトおよびヴェーヌス(一人二役)、『ワルキューレ』のジークリンデ、『ニーベルングの指輪』のブリュンヒルデを歌っている[1]。
1986年にはエリザベス2世女王より『デイム』の称号(男性ではナイト勲位)を授与された。また、1988年にドイツ連邦功労十字章一級、1991年にはウィーン州より黄金栄誉賞ほか、受賞歴も多数ある。現在はイギリスのワーグナー協会会長を務める。
日本での活動
[編集]日本には、1967年に第5次NHKイタリア歌劇団にヴェルディの『ドン・カルロ』で初来日。エリザベッタを歌った(オリヴィエーロ・デ・ファブリティース指揮)。
1974年のバイエルン国立歌劇場の引っ越し公演で、ワーグナーの『ワルキューレ』のジークリンデ(ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮)と、リヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』のマルシャリン(カルロス・クライバー指揮)を歌っている。特に後者はクライバーの指揮が大評判となり、日本におけるクライバーの知名度を一気に高めた。クライバーによる1979年の同歌劇場での映像収録でもマルシャリンを歌っており、日本においてジョーンズのマルシャリン役は当たり役として認知された。
その後も1984年のハンブルク州立歌劇場の引っ越し公演での、日本初演となったリヒャルト・シュトラウスの『影のない女』のバラクの妻(クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮)を歌っている。
1986年には、ウィーン国立歌劇場の引っ越し公演での、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデ(ハインリヒ・ホルライザー指揮)を歌っている
1993年には、メトロポリタン・オペラの引っ越し公演での『ワルキューレ』のブリュンヒルデ(ジェームズ・レヴァイン指揮)と、ベルリン・ドイツ・オペラの引っ越し公演での『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデ(イルジー・コウト指揮)と『ローエングリン』のオルトルート(クリスティアン・ティーレマン指揮)を歌っている。
日本国内制作では、サントリーホール主催のヴェルディの『マクベス』のマクベス夫人(グスタフ・クーン指揮)を歌っている。
脚注
[編集]- ^ “Dame Gwyneth Jones” (英語). Performance Database. バイロイト音楽祭. 2025年1月7日閲覧。