ガトー・ド・サヴォワ
ガトー・ド・サヴォワ(仏: gâteau de Savoie)、またはサヴォワケーキ[1]とは、フランスのサヴォワ発祥のケーキ。小麦、卵およびコーンスターチ(または片栗粉)からなる単純な生地に、レモン風味をつけて山型に入れて焼くケーキである[2][3]。起源は14世紀と見られる。ビスキュイ・ド・サヴォワ(仏: biscuit de Savoie)と一緒に語られることもあるが[4]、これとは明確に別物とされる[5]。ビスキュイの方は1700年ごろ以降に発生したものをさし、スポンジは非常に軽い[5][6]。
概要
[編集]起源は1343年ごろ、サヴォワ伯のアメデ5世の庶子であったピエール・ド・イエンヌの考案といわれる[2]。このケーキの社交界デビューはアメデ6世の時代で、神聖ローマ皇帝を招待した折の宴会においてであった[2]。この時期については諸説あり、また皇帝もおそらくはカール4世であろうとされるが、年代は1373年から1383年までのどこかと見られている[7]。年代については1365年と特定する資料や[8]、1358年とする資料もある[4]。伯による皇帝の接待は、公爵位を受けられるよう働きかけたものであった[4]。サヴォワの地を模した箱庭に、王冠と一緒に巨大なガトー・ド・サヴォワを配したデザートの趣向は皇帝を大変喜ばせたものの[2]、それとこれとは話が別で、この時に公爵位はもらえず、サヴォワ公となるのは孫であるアメデ8世の時代からであった[4]。
ニコラ・ド・ボヌフォンによる1655年の著書『田園の悦楽 (les délices de la campagne)』にガトー・ド・サヴォワについて記載があるとされるが[9]、別の資料によればこの言及はビスキュイ・ド・サヴォワをさしている[10]。1745年にルイ15世のためにパリ市庁舎において催された宴会のメニューにも、ガトー・ド・サヴォワが登場していたことがわかっている[9]。
単純な素材のみで調理されるケーキであり、味も「とてもシンプル」と評されるだけに、ジャムやクリームを塗って食べることが多く、特にサヴォワのビルベリーと良くあうとされる[3]。
脚注
[編集]- ^ 金崎春幸「アモル神話と『ボヴァリー夫人』」『Gallia』第40巻、大阪大学フランス語フランス文学会、2001年3月、83-90頁、CRID 1050018218948908928、hdl:11094/7135、ISSN 03874486、2024年4月16日閲覧。
- ^ a b c d 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年、122頁。ISBN 978-4-560-09202-6。
- ^ a b 米田桂. “欧州のお菓子レポート/ガトー・ド・サヴォア”. Eレシピ. エキサイト. 2017年2月4日閲覧。
- ^ a b c d “ビスキュイ・ド・サヴォワ”. 日本洋菓子協会連合会. 2017年2月4日閲覧。
- ^ a b (日仏料理協会 2007, p. 514)
- ^ ただし、後述するように1655年の書籍に「biscuit de Savoie」の記載が見られるので年代は前後するかもしれない。
- ^ Vie quotidienne en Savoie, 1979, p. 60, Actes du 26e Congrès des Sociétés savantes de Savoie à Conflans (1976).
- ^ Bernard Demotz, Georges Bischoff, Jean-Marie Cauchies, Pierre Racine, Les principautés dans l'Occident médiéval : à l'origine des régions, Brepols, , 387 p. (ISBN 978-2-50352-191-6), p. 154.
- ^ a b (日仏料理協会 2007, p. 237)
- ^ “Gâteau de Savoie”. 2017年2月4日閲覧。 “On retrouve sa trace dans l'ouvrage de Nicolas de Bonnefons "les délices de la campagne" en 1655 sous le nom de "biscuit de Savoie" ou "biscuit du Piémont"”
外部リンク
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ガトー・ド・サヴォワに関するカテゴリがあります。
- 欧州のお菓子レポート/ガトー・ド・サヴォア - 作り方。