ウォーロード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
日本の代表的な戦国大名の一人、上杉謙信

軍閥(ぐんばつ)とは、主権国家内の一定の地方に対し、自身に忠実な軍隊を動員する能力によって、軍事的、経済的、および政治的支配力を行使する指導者に率いられた勢力をいう。その指導者を指して用いられる英語の「warlord」に由来する。この軍隊は、通常は私兵であると考えられ、国家体制ではなく軍閥の指導者に対して忠実である。軍閥は、歴史を通じて存在するが、その国家または無政府地域の政治的、経済的、および社会的構造内における能力はさまざまである。

歴史的起源と語源[編集]

英語のwarlordという単語が最初に登場したのは1856年である。アメリカの哲学者にして詩人のラルフ・ワルド・エマーソンによるイングランド貴族制に対する評論の中においてであった。「海賊行為と戦争は、通商と政治と著述にその地位を譲った。war-lordからlaw-lordへ。特権は維持されたが、それを獲得する方法が変わったのだ。」("Piracy and war gave place to trade, politics and letters; the war-lord to the law-lord; the privilege was kept, whilst the means of obtaining it were changed.")[1]

非英語圏においてwarlordという単語が用いられたのは1861年のドイツであり、訳語の「Kriegsherr」として用いられた。これは、戴冠後の初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世を指すものであった。[2]20世紀初期には、この語は中国語で「軍閥」として採用され、1911年の武昌起義および辛亥革命後の状況を説明するのに用いられた。当時、地方指導者らは、その私兵を用い、国を賭けて争い、また、領域支配を巡って競争し、軍閥時代と呼ばれる一時代をもたらしたのである。[3][4]「軍閥」という語は、遡及的に、中国史を通じて、暴力の行使または暴力による威嚇によって政治的支配領域を拡大した、地方の私兵組織の指導者(諸国を指導し統一するために決起した者を含む。)を指して用いられるようになった。

また、warlordismという語も1920年代の中国動乱期を説明するのに作られた用語で、日本の戦国時代を始め、ソマリア内戦などの説明に使用されるようになった。

近年の使用について[編集]

中央集権国家で権力維持に失敗した失敗国家内戦中の国で頻繁に使われている用語である。近年の使用例では、ソマリア内戦、アフガニスタン[5][6]チェチェン共和国イラクなどを説明するのに使われた。

中国[編集]

代表例:曹操董卓呂布劉備安禄山蒲鮮万奴 近世:張作霖張学良張宗昌

日本[編集]

代表例:織田信長伊達政宗毛利元就

ヨーロッパ[編集]

ドイツの空位時代の有力者や、傭兵団の勢力地域においてはジョン・ホークウッドなどの傭兵団長(コンドッティエーレなど)、カタルーニャ傭兵団ロヘル・デ・フロールなどがウォーロードと考えることができる。

なお、翻訳元となった「Kriegsherr」であるマクシミリアン1世自身は正式な選出と法的手続を経て即位しており、ウォーロードではない。

参考文献[編集]

  1. ^ Emerson, Ralph Waldo (1902). English Traits (1856). London: George Routledge and Sons. pp. 168. 
  2. ^ Ahram, Ariel & Charles King (March 1, 2012). “The Warlord as Arbitrageur”. Theory and Society 41 (2): 169. doi:10.1007/s11186-011-9162-4. 
  3. ^ Waldron, Arthur (1991). “The warlord: Twentieth-century Chinese understandings of violence, militarism, and imperialism”. American Historical Review 96 (4): 970–1022. 
  4. ^ Chinese Warlordism - Bibliography”. 2016年5月7日閲覧。
  5. ^ Grono, Nick; Rondeaux, Candace (2010年1月17日). “Dealing with brutal Afghan warlords is a mistake”. Boston.com. http://www.boston.com/bostonglobe/editorial_opinion/oped/articles/2010/01/17/dealing_with_brutal_afghan_warlords_is_a_mistake/ 2010年6月25日閲覧。 
  6. ^ Malalai Joya "The big lie of Afghanistan - My country hasn't been liberated: it's still under the warlords' control, and Nato occupation only reinforces their power"

関連項目[編集]