ウェット&メッシー

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WAM pied girl.jpg

ウェット&メッシー(WAM)とは、フェティシズムの一種。人が他者、または自分自身を着衣のまま、ないし全裸の状態で濡らしたり、さまざまな物で汚したりするような性的嗜好

特徴[編集]

ウェット&メッシーという言葉が示すとおり、基本的な概念は「汚す(メッシー)」と「濡らす(ウェット)」であり、この2つに合致する目的やシチュエーションを総じて「ウェット&メッシー」と称することが大半である。しかし、人間の排泄物を主題としたスカトロジーとは現時点では明確に区分される傾向が強い他、ボディペイントや金粉などに代表されるような、「汚すのではなく、人体を何らかの物質で覆う、あるいは装飾を施す」行為を主題とした傾向も強く見られるため、ウェット&メッシーの範疇の全てが「汚す」と「濡らす」を満たすわけではない。

ウェット&メッシーでは、様々な素材が使用され、その素材を使用する上でのシチュエーションはバラエティに富んでいる。主に使用される素材として飲食物潤滑剤絵具金粉など、液状ではないものを含む)などがあげられるが、概念が非常に広範囲に適用できることから、何らかの素材を特定するのは難しい。

また、素材の適用形態についても細かな分類が存在するが、素材によってその傾向はまちまちであり、特定の適用形態のみで分類することは困難である。

たとえば、水を用いた適用形態には、着衣の対象に対し対象が受動的(まれに能動的)な形で水を掛ける(ないし水槽やプールなどへ突き落とすなど)ことによって水に濡れている状況を出現させる濡れフェチ(wetlook)、及び水中に潜っている対象の存在をターゲットとしたアンダーウォーターなどの分類は存在するが、それがほかの素材にはまったく当てはまらない。また、素材である水が透明か透明でないか、着用している衣服の種類は如何、といった部分でも様々な相違や傾向が見て取れる。さらに、アンダーウォーターでも呼吸が困難な状態を主体とするものについてはウェット&メッシーの範疇から外れるとする論調も強い。

このような傾向のバリエーションとして他にあげられるものに、に関するもの(泥にまみれることを主題としたものと、泥沼へ徐々に沈んでいく様を主題としたもの(クイックサンド(底なし沼)))や、絵具に関するもの(絵具をかぶるなどしてまみれる様を主題とするもの(メッシーの範疇)と、身体に絵画的な方向性で着色を行うもの(ボディーペイント))などがある。

なお、このような中でもある程度まとまった支持層を獲得している分野は存在している。例として、パイ(ないしクリーム状の食物を皿に盛ったもの)を投げつけることを主体にしたパイ投げをリング状の会場にぶちまけ、その上でレスリング(ないしキャットファイト)を行うオイルレスリング、性行為用潤滑剤の使用を主体とするローション金粉(ないし銀)の使用を主体とする金粉ショウ、及び金粉塗りで性行為をする金粉AVなどが上げられる。もちろん、このような傾向においても素材の差異やシチュエーションにより様々な方向性が存在するため、確実に一つのジャンルとして明確に区分できるわけではない。

また、本来実生活では実現不可能でありながら、映画・テレビ(主に特撮・SFもの)などのメディアに出現する形態を標榜するものも存在する。石化、彫刻化、凍結などがそれだが、この部分をウェット&メッシーの範疇に含めるかは議論を残すとする説もある。

そのほかの傾向として、各々の素材やシチュエーションごとに一定の方向性が定まっており、ジャンル間のクロスオーバーが少ないのが大きな特徴である。たとえば、クィックサンドを嗜好する者とアンダーウォーターを嗜好する者では明確が線引きや様式が定まっていると言われ、アダルトビデオメーカーの区分もほぼ明確に分けることが可能である。ある一つの素材が決まっているフェチと違い、様々な素材が嗜好の対象となり、かつその素材がそれぞれ違う方向性のものであることに起因していると思われる。

濡れフェティシズム[編集]

Wet T-Shirt.jpg

濡れフェティシズム(英語 wetlook )とは、自分もしくは他者が服を着たまま濡れる、あるいはその姿を見る事に悦びを見出すものをいう。多くの場合は的なフェティシズムとは言えない程度の嗜好で、自分が濡れるのと同様に、他の人(しばしば恋人)が濡れるのを観察する事から性的興奮を得るが、単純に濡れるのを楽しむ者もいる。濡れる行為には、服を着たまま、泳いだりシャワーを浴びたり風呂に入ったりといったものがある(特に恋人と)。一見、奇妙に見えるかもしれないが、インターネット上にはこうした嗜好向けサイトがいくつか存在する。

こうした嗜好の傾向として、

  • 濡れた衣類によって異性の身体特徴が強調される、透けることに性的興奮を感じる。
  • 衣類を着たまま濡れることにより社会的規範からの解放や束縛の排除の代償とする。
  • 濡れた衣類が全身に密着して身体全体を愛撫されているかのような快感を感じる(女性に多い)。

が上げられるという。そのためウェット&メッシーのように汚れてしまい身体特徴が埋没してしまう、生理的な嫌悪感を覚えてしまう場合が忌避され、きれいな水、海水、透明なローション以外で濡れることを認めない性向が存在するために、しばしばウェット&メッシーとは別ジャンルであると主張されることが多い。また特異な例として、透明素材に埋まった(主に水面下に潜った)状態を好む先鋭的な嗜好もこのwetlookに入るとされる。フィクション上で見られる石化や凍結への性的嗜好ともオーバーラップする。

濡れ嗜好の傾向を持つ者が好む服装と場所は人様々である。少なくとも性的な視点から見て、よく知られている服装の好みには、ビジネススーツ、ドレスその他のフォーマルウェア、デニム、特にジーンズが含まれる。海外において、濡れフェチを楽しむ者にとって標準的な服装は、しばしばTシャツに半ズボンかジーンズで、着衣プールパーティーに出席する女性の場合は普通のパーティー着である。一方、日本においては、制服やスーツというフォーマルな服装が人気を博している。

ほとんどの場合、濡れ嗜好が好まれるには2つの理由がある。第一に、濡れた衣服は形が変わって体にぴったりくっつき、色が変わって輝くか透明になる。これによって、服がまだ体を覆っているのに、ある程度体の形が顕わになり、エロティックで悩ましいと感じる人がいる。服が濡れるのは、着ている者にとっても官能的な場合があり、それがどう感じるかをより強く楽しむ人もいる。フィクションの中で、濡れた衣服を着ているのが非常に官能的だと目覚める女性がいると書かれている。これは、この記事の投稿者の1人として知られている女性が確かにその経験があるとき、事実に基づいた基礎を持っているように見えるだろう。

第二に、服のまま泳ぐ事が社会規範に従わない場合がある。そうする事によって、自由と開放の心地よい感情を表現する。それは、そんな事はすべきでないし、そんな事をするには年を取りすぎていると自分で分かっている事をやって、それを楽しんでいるというポジティブな後退感をもたらす。

一人または友人、恋人と浴室や庭のプールでプライベートにやる人もいるが、公共のプール(許可されるところで)のような場所で公然とやる人もいる。ヨーロッパのいくつかの国、特にドイツスイスには、着衣プールパーティーをする場所がかなりあるように見える。人前で濡れる他の楽しい方法は、もちろん公共のイベントでのダンクタンクである。中で遊ぶ自然の水域、川、小川、滝も常にある。

水面下にいる人を見るのが好きな人もいる。濡れフェチが通常、髪と衣服が濡れているのが見えるよう、相手に水の上にいるよう求めるのに対して、水面下で服と髪が漂うのに満足する人もいる。これには、裸、水着、通常の服装が含まれうる。

泥、オイル、塗料、シェービングクリームなどのような物質で、通常は服も着て、自分を覆ったり、その中に自分を浸すのが好きな人もいる。これらはウェット&メッシー(WAM)と呼ばれる。一般的に言ってWAMという用語は、「濡れた」部分がきれいな水の中で濡れたと考える傾向がないか、単純にそれを全て無視する。WAMはメッシー(汚し)のみを意味するものとして扱われている。

2000年にドイツで行われた研究において、嗜好の自覚が平均として5歳ごろという幼いうちに起こることが判明している。

また近年、服が濡れて下着が透けている女性を描いたイラストが登場し、男性を中心に人気が高い。これもまた濡れフェティシズムの一種であると言われている。

来歴[編集]

ウェット&メッシーは欧米にてその出版活動や言葉・用語の定義、嗜好の分類が始まった。事実、ドイツアメリカイギリスには専門誌が存在し、1990年代前半ごろからウェット&メッシーを主題とするアダルトビデオがリリースされていた。主な雑誌に「SPLOSH!」(英・G&M社)、主なアダルトビデオメーカーにWAMTEC、MessyFun、Minxなどが上げられる。

日本では1990年代半ば頃から、イギリスやアメリカでの趨勢に影響を受けた槇村瞭、下関マグロ等の有志が日本国内でウェブサイトを軸に活動を開始し、結果としてウェット&メッシーを主題としたオリジナルのビデオ作品を発表するに至る。これらの動きが雑誌で紹介されたのを端緒として、社会的にその性癖が知られるようになった。また、インターネットビデオの普及により、制作者間の横のつながりが生まれ、コミュニティの醸成も進んだ他、数多くの有志がオリジナルビデオの発表を行うようになった。このような趨勢の背景には同時期より下関マグロの個人的なパーティが果たした役割も少なくない。また同氏は、雑誌や書籍にてウェット&メッシーに関する記事を掲載する一方、自らもパイ投げビデオの制作活動も行っている。しかし、現在は当初の勢いにかげりが見られる他、早い時点で活動者間における志向や範疇の違いが露呈し、フラッグシップ的な役割を担う存在に乏しい。

一方、一般のアダルトビデオにおいてウェット&メッシーの範疇に入ると思われる作品が続出しており、金粉ボディペイントなどのシチュエーションが高い頻度で散見されるようになった他、TOHJIRO中野D児などの著名なAV監督がウェット&メッシーの構図を多用するなど、アダルトビデオへの影響度は低くないと言える。特にローションを主題としたアダルトビデオにいたっては、伊藤雅也(CUM伊藤)などにより複数のビデオメーカーから多くのシリーズラインが形成されるなど活発なリリースが現在も続いているが、このローションをウェット&メッシーの範疇に含めるかは議論を残しており、結果ウェット&メッシーのシーンにプラスとなっているとは言い難いのが現状である。

尚、日本ではウェット&メッシーという言葉自体の知名度が他のフェチに比べ低いのも大きな特徴である。海外との生活観の違いから構図自体がフィットしないという側面もあり、特に日本で突出して好まれる分野では適切な分野形成や呼称の統一が未だ定まっていない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]