アルスロンガ、ウィータブレウィス

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アルスロンガ、ウィータブレウィス: Ars longa, vita brevis)は古代ギリシアの医学者ヒッポクラテースの著書『箴言』の一部をラテン語訳したもの。 日本語訳では「技術は長く、人生は短し」、つまり「(医療)技術の習得には時間がかかるため、時間を無駄にしてはならない」を意味する警句。

本来の意味[編集]

ὁ βίος βραχὺς, ἡ δὲ τέχνη μακρὴ, ὁ δὲ καιρὸς ὀξὺς, ἡ δὲ πεῖρα σφαλερὴ, ἡ δὲ κρίσις χαλεπή. δεῖ δὲ οὐ μόνον ἑωυτὸν παρέχειν τὰ δέοντα ποιεῦντα, ἀλλὰ καὶ τὸν νοσέοντα, καὶ τοὺς παρεόντας, καὶ τὰ ἔξωθεν.

— ヒッポクラテース、『箴言』i.1.[1]

人生は短く、技術は長い。 危機は逸しやすい。 経験は危うく、判断は難しい。 医者は自分自身にとって正しいことをするのに備えるだけでなく、患者、付添人、その他外部の人たちを協調させることにも備えなければならない。 (Francis Adamsによる英訳[2]からの重訳)

大意としては「人が手技を学ぶにはあまりにも時間がかかるため、一生涯は十分ではないだろう」という意味であり[3]、技術者(ここでは特に医者)が勉学をおろそかにし、時間を無駄にすることへの警句である。 上記の原文をラテン語に訳した際に、「人生は短い」と「技術は長い」の順番が入れ替わって"Ars longa, vita brevis, occasio praeceps, experimentum periculosum, judicium difficile."アルス・ロンガ、ウィータ・ブレウィス、オッカースィオー・プラエケプス、エクスペリメントゥム・ペリクロースム、ユーディキウム・ディッフィキレとなり(「医者は自分自身にとって…」以降は省略)、この先頭部分が成句となった[要出典]

この警句はルーキウス・アンネウス・セネカDe brevitate vitaeInde illa maximi medicorum exclamatio est. «vitam brevem esse, longam artem と引用されているほか、近世以降もヨーロッパ文学に様々に引用されている[4]

派生の意味[編集]

英語圏では: Art is long, life is shortと訳される[3]。 ラテン語arsから派生した英語のartは、17世紀以降に「学芸」「芸術」という意味にも用いられるようになった。 そのため、本来の意味から離れて、現代ではしばしば「芸術家の人生は短いが、その芸術作品は長く残る」という意味でも用いられる[3]

その他[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Hippocrates. “Aphorismi”. In Emile Littré. Oeuvres complètes d'Hippocrate. Hakkert. http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3atext%3a1999.01.0250%3atext%3dAph.. 
  2. ^ Hippocrates. “Aphorismi”. In Francis Adams. The Genuine Works of Hippocrates. http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus%3atext%3a1999.01.0248%3atext%3dAph.. 
  3. ^ a b c Ars longa, vita brevis definition”. Merriam-Webster. 2018年6月8日閲覧。
  4. ^ 斉藤 博, 『ヒポクラテスの箴言「人生は短く,術のみちは長い」について』 埼玉医科大学医学基礎部門紀要 10, 61-75, 2004-03-31 [1]

関連項目[編集]