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アリアケカズラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アリアケカズラ
オオバナアリアケカズラ(沖縄県石垣市 植栽)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: リンドウ目 Gentianales
: キョウチクトウ科 Apocynaceae
亜科 : インドジャボク亜科 Rauvolfioideae
: Plumerieae
: アリアケカズラ属 Allamanda
: アリアケカズラ A. cathartica
変種 : オオバナアリアケカズラ
A. cathartica var. hendersonii
学名
Allamanda cathartica L.
英名
yellow allamanda, golden trumpet vine
八重咲きのアリアケカズラ(沖縄県石垣市 植栽)
コバノアリアケカズラ(沖縄県石垣市 植栽)
オオバナアリアケカズラの垣根(沖縄県石垣市 植栽)
オオバナアリアケカズラ(左)とコバノアリアケカズラ(右)の比較(沖縄県石垣市 植栽)

アリアケカズラ(有明葛、別名アラマンダ、学名:Allamanda cathartica(広義))はキョウチクトウ科アリアケカズラ属の半つる性常緑低木。

沖縄で最も目立つ黄花の一つ。

特徴

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高さ1–4 mほど。葉は長さ4–15 cmほどの長楕円形、ほぼ無毛で全縁、2–5枚が輪生する。葉表は滑らかで光沢がある。蕾の外側はやや茶色を帯びる。花は径5–12 cmの漏斗状で先が5裂し黄色、春(4月)~秋(11月)にかけて長く咲く。蒴果は稀に結実し、球形で表面に刺が多い。栽培品種も多い[1][2][3][4][5][6]。以下学名はYList等に準拠。

  • 変種オオバナアリアケカズラ(アリアケカズラ(狭義)) A. cathartica var. hendersonii[7] 最も多く栽培される。花径9 cm以上
  • ヤエアリアケカズラ A. cathartica 'Williamsii'[8] 八重咲きの品種、花径6 cmほど
  • コバナアリアケカズラ 花が小型
  • コバノアリアケカズラ 葉長4–6 cmほどで小さい

分布と利用

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基本種のアリアケカズラはブラジル、ギアナなどの海辺に自生し、花径6 cmほどだが、変種オオバナアリアケカズラは花筒が長く、大型の花を咲かせる。 熱帯各地で観賞用に栽培されるが、野生化する例もあり[9]、日本では西表島で栽培逸出が確認されている[10]。オーストラリア・クイーンズランド州北部の熱帯雨林では植栽から逸脱野生化し、侵略的外来種とされているが、法規制は未実施[11]

日本国内でも各地の温室や植物園で栽培されるほか、沖縄県内で庭、公園、街路、生垣に多く利用される代表的な花木[5][6]。オオバナアリアケカズラは沖縄自動車道のコンクリート擁壁を被覆する目的で沖縄北IC以南に多く植栽され、開花期は特に美しい[4]。低温には弱く、冬越しには10℃以上の気温が必要。日当たりを好み、性質は強健で土壌を選ばずよく生育する。挿し木で繁殖し、当年中に開花する。生長は早く、株元から何本も枝を伸ばすが、枝が込みすぎると見苦しいので、2月頃の新芽の伸びる前に強剪定を行い、つるを更新する。フェンス、垣根、アーチのほか、ブロック塀へ垂らす利用も多い。鉢栽培でもよく開花する[1][2][3]

脚注

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  1. ^ a b (白井 1980, p. 18–19)
  2. ^ a b (小島 1997, p. 528–529)
  3. ^ a b (屋比久 2006, p. 94–95)
  4. ^ a b (平良ほか 2009, p. 42–43)
  5. ^ a b (大川 & 林 2016, p. 374)
  6. ^ a b (林 & 名嘉 2022, p. 53)
  7. ^ アリアケカズラ”. YList. 2024年8月22日閲覧。
  8. ^ ヤエアリアケカズラ”. YList. 2024年8月22日閲覧。
  9. ^ (御影 1997, p. 88)
  10. ^ (梶田ほか 2022, p. 139)
  11. ^ Yellow Allamanda”. Queensland Government. 2024年8月22日閲覧。

参考文献

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  • 白井祥平『沖縄園芸植物大図鑑』 4巻《熱帯花木》、沖縄教育出版、那覇市、1980年。 
  • 小島裕 著「オオバナアリアケカズラ」、比嘉良勝 編『原色版沖縄園芸百科』(第6版)新報出版、那覇市、1997年。 
  • 御影雅幸 著「アリアケカズラ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 3巻、朝日新聞社、東京、1997年、88頁。ISBN 9784023800106 
  • 屋比久壮実『花ごよみ 亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画、2006年。ISBN 4990191730 
  • 平良一男; 新里隆一・仲村康和・松田正則「オオバナアリアケカズラ」『沖縄 花めぐり』沖縄都市環境研究会、2009年。 
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024 
  • 林将之; 名嘉初美「アリアケカズラ」『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。ISBN 9784899824350 
  • 梶田結衣; 米倉浩司; 遠山弘法; 赤井賢成; 天野正晴; 阿部篤志; 山本武能; 設樂拓人 ほか「沖縄県西表島における外来植物目録」『大阪市立自然史博物館研究報告』第76号、大阪市立自然史博物館、125–141頁、2022年。ISSN 0078-6675 

外部リンク

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