アゴヒゲアザラシ

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アゴヒゲアザラシ
Bearded Seal.jpg
アゴヒゲアザラシ
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目(食肉目) Carnivora
亜目 : アシカ亜目(鰭脚亜目) Pinnipedia
: アザラシ科 Phocidae
: アゴヒゲアザラシ属 Erignathus
: アゴヒゲアザラシ E. barbatus
学名
Erignathus barbatus
(Erxleben, 1777)
和名
アゴヒゲアザラシ
英名
Bearded Seal
アゴヒゲアザラシ生息域
アゴヒゲアザラシ生息域

アゴヒゲアザラシ(顎鬚海豹)はアザラシ科アゴヒゲアザラシ属に属する海棲ほ乳類。

分布[編集]

北極海周辺からベーリング海オホーツク海に分布するアザラシ。 また、個体数は50万頭で半数がアラスカ海域に生息する。

形態[編集]

体長は200-260cm・体重200-360kgになり、北極海に生息するアザラシの中では最大である。 体表に模様はなく、体色は淡灰色から暗褐色。体の大きさに比べ頭部が著しく小さい。 名前の通り他のアザラシに比べヒゲがよく発達しているが、ヒゲは名前に含まれる顎からではなく上唇付近から生えている。 日本近海に生息するアザラシ5種のうち4種(ゼニガタアザラシゴマフアザラシクラカケアザラシワモンアザラシ)はゴマフアザラシ属に属するが本種のみがアゴヒゲアザラシ属に属する。

生態[編集]

単独性で流氷野が移動する比較的浅い沿岸域を好む。流氷とともに春から夏は北へ、秋から冬は南へ移動する。北海道では流氷域に少数の子供が見られるが成獣は稀である。ゆえに日本の首都圏にアゴヒゲアザラシのタマちゃんが現われたことはきわめて稀なケースである。

天敵はホッキョクグマシャチなどである。

潜水に適したアザラシであり、水深50-200mの海底で各種のカニやエビ、貝などの底性無脊椎動物やタラなどの底性魚を吸引し採食する。

氷上のアゴヒゲアザラシ

性成熟年齢はメスで5-6歳、オスで6-7歳である。

4月に氷上で一子を産む。産後の体重は35kg前後あることや、既に防水性の毛を持ち、生まれたときから10%近くの皮下脂肪を蓄えていることから、すぐに子は親と共に海に入り、徐々にではあるが泳ぎ始める。皮下脂肪が3%ほどしかなく白い産毛のままでは水を通してしまう産後のタテゴトアザラシが、10日ほどたってから海に入るのとは対照的である。

交尾は5月である。この時期になると、オスがを膨らませ水中で発声し、メスへ求愛する。この発声は1年のうちの数週間だけである。

寿命は25-30年である。

人間との関係[編集]

ナカちゃん (2006年6月24日撮影)
おたる水族館の飼育個体(2005年5月)

20世紀の初頭、オホーツク海には23万頭生息していたといわれるが、ソ連が捕獲し減少した。獲頭数に規制を設けた結果、1980年代の初めには19万頭にまで回復したとしている。

2002年東京都多摩川にオスのアゴヒゲアザラシが出没し、タマちゃんと名付けられブームが起こった。また、2005年11月頃から徳島県那賀郡那賀川町(現・阿南市)の那賀川にアゴヒゲアザラシのナカちゃんが現れブームになっていたが、2006年8月末に中州で死んでいるのが見つかった。

日本においては「日本の動物」として海洋堂の食玩チョコQでフィギュアが商品化された。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Ronald M. Nowak " Walker's Mammals of the World(Walker's Mammals of the World)" Baltimore : Johns Hopkins University Press(1999). ISBN 0801857899
  • 和田一雄・伊藤徹魯 『鰭脚類 : アシカ・アザラシの自然史』東京 : 東京大学出版会 、1999年、284頁。 ISBN 4130601733
  • 和田一雄編著 『海のけもの達の物語 : オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ』東京 : 成山堂書店、2004年 172頁。 ISBN 4425981316
  • 斜里町立知床博物館編 『知床のほ乳類』斜里町 : 斜里町教育委員会、 2000年。 ISBN 4894530813