まつ毛エクステンション

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まつ毛エクステンション(まつげエクステンション、英:eyelash extension)は、化学繊維等から作られた人工のまつげをグルー(瞬間的に接着するもの)を使用して自まつげに装着する技術である。まつ毛エクステまつげエクステまつエクと略される。まつげが長く濃く見えるため美容効果が期待できるが、健康被害も数多く報告されている(#健康被害参照)。

概要[編集]

施術の方法はまつげ1本に対して人工のまつげ1本の装着を両目で数十本~百本以上装着する緻密な作業であるため、つけまつげのように市販されているものを自分で取り付けるのではなく、まつ毛エクステンションを提供している営業所や施設で受けるのが一般的である。日本では、まつ毛エクステンションの施術を行うことができるのは、美容師免許を持つ者に限られる。この施術をする者を「まつげエクステ技術者」や「アイリスト」、「アイデザイナー」等と呼ぶ。

まつ毛エクステンションは韓国のつけまつげ工場にて余った人工まつげを再利用したのをきっかけとして1980年頃に誕生した。日本では2000年前後に伝えられたが、まだ洗練されておらず、様々な問題点があった。その後2003年に現在主流となっている人毛のような毛先が細い人工毛が誕生し、単体のエクステを1本1本の自まつ毛に装着するタイプのまつげエクステンションが全国的に広がった[1][2]

種類[編集]

人工のまつげ[編集]

人工のまつげはアイラッシュ(英:eyelash 原義では「まつげ」という意味で、特に人工のものを指すわけではない。)等と呼ばれ、種類は長さが約7mm~15mm、カールは緩やかなものからカーブの強いもの、太さ0.10mm~0.25mmまで0.05mm単位で分類され、1本タイプや毛束タイプになどがある。主に中国韓国などアジアの工場で作られている。カラーも数種類ありバリエーションは多岐にわたる。

グルー[編集]

グルーは黒色や透明の瞬間的に接着する溶剤でありシアノアクリレート等からつくられている。製品によって速乾性や刺激性、持続性が異なる。アレルギーを引き起こしにくい低刺激のものが求められている。 しかし、低刺激の製品を使用することで持続性が低下してしまう為、いかに低刺激で高持続の製品を使用するかが各サロンや技術者の悩みの種である。

健康被害[編集]

東京都生活文化スポーツ局(現生活文化局)では、2008年2月21日に消費者危害情報を発表し、過去10年間でまつ毛エクステンションによる危害の相談が36件あって年々増加していること、実際の被害者は相談件数の20-30倍に上ると推定されることを公表。その原因として、施術水準の低い店舗が増加していることや、使用される接着剤の成分を表示する法的義務がなく、アレルギーを引き起こす成分などが含有されているおそれがあること等を挙げている[3]

厚生労働省は、2012年9月-12月に全国から抽出した眼科医及び皮膚科医を対象に調査を行った結果、期間が3ヶ月で、抽出された一部の医師を対象とした調査であるにもかかわらず、1,600人以上の患者がまつ毛エクステンションが原因とみられる異常を訴えていたことを公表している[4]

まつ毛エクステンションに関する厚生労働省の見解[編集]

まつげエクステの施術は、法律で美容師免許を持つ者に限られており、違反した者は美容師法違反で50万以下の罰金に処せられる。まぶたにグルー(専用接着剤)がこびりついたり、エクステの毛が角膜を傷つけたり等、アイリストの知識や技術不足により顧客の健康に害をきたした場合は、過去に逮捕された悪質サロンも多数ある。しかし、ちまたに氾濫するまつげエクステサロンでは、美容所の登録はしているものの全てのスタッフが美容師免許を所持しているサロンはまだまだ少ないのが現状である。そのためサロンを選ぶ際にも、美容所の登録と全てのスタッフが美容師免許所していることを確認した上で、サロン選びすることが必要である。

厚生労働省では、2008年3月7日付けで健康局生活衛生課長名で各都道府県・政令市・特別区の衛生主管部(局)長宛に以下の文書(健衛発第0307001号)を通知している。

まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について

今般、東京都生活文化スポーツ局消費生活部長より、別紙のとおり、近年のまつ毛エクステンションの流行に合わせて、消費生活センター等へ寄せられる危害に関する相談件数が増加し、まつ毛エクステンション用の接着剤による健康被害がみられるとの情報提供がされたところである。

貴職におかれては、管下の美容所等において、かかる行為により事故等のおこることのないよう営業者等に対し周知徹底を図るとともに、再度、本職通知の趣旨に基づき美容業務の適正な実施の確保を図られるよう特段の御配慮をお願いする。

なお、美容師法第2条第1項の規定において、美容とはパーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすることをいうとされており、通常首から上の容姿を美しくすることと解されているところである。ここでいう「首から上の容姿を美しくする」ために用いられる方法は、美容技術の進歩や利用者の嗜好により様々に変化するため、個々の営業方法や施術の実態に照らして、それに該当するか否かを判断すべきであるが、いわゆるまつ毛エクステンションについては、①パーマネント・ウエーブ用剤の目的外使用について(平成16年9月8日健衛発第0908001号厚生労働省健康局生活衛生課長通知)において、まつ毛に係る施術を美容行為と位置付けた上で適正な実施の確保を図ることとしていること、②「美容師法の疑義について(平成15年7月30日大健福第1922号大阪市健康福祉局健康推進部長照会」に対する平成15年10月2日健衛発第1002001号厚生労働省健康局生活衛生課長回答)において、いわゆるエクステンションは美容師法にいう美容に該当するとされていることから、当該行為は美容師法に基づく美容に該当するものであることを申し添える。

健衛発第0307001号 まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について (PDF)

各協会[編集]

まつ毛エクステンションを取りまとめる協会が日本国内には数多く存在する。 その多くは、厚生労働省がまつ毛エクステ行為=美容師免許所持者のみに認めることにより、それらに反発した無資格者が協会を設立し、厚生労働省にこの法律の撤回を求めている。

注意しなければならないのは、その多く存在する協会の加盟者の大半が無資格であるという点である。 元々は誰でも行える美容メニューであったが、厚生労働省の法整備によりサロン閉店を余儀なくされた経営者や、美容師免許を持っていないためにまつ毛エクステンションを提供できなくなり解雇された従業員が存在する。

こうした状況をもとに、無資格者が協会を設立し、活動しているのが現状である。

協会では1級、2級、3級と設けているが、重要なのは美容師免許を所持しているかという点である。 美容師免許を持っていない元技術者が「協会加盟している」「私は1級持っている」と謳っていても免許を持っていなければ、違法行為にあたる。

その他[編集]

セルフ方式に関する問題[編集]

まつ毛エクステンションの施術を客に対し指導し、客自身で行わせる「セルフ方式」が出回っていることが、2015年12月29日付の毎日新聞の報道で明らかになった。健康被害の続出で無免許業者の摘発が相次いだため、規制逃れのために法規制の抜け道となるセルフ方式を取り入れる例が多発しているとされる[5]

脚注・出典[編集]

  1. ^ まつげエクステとは”. NEAまつげエクステ協会 (2010年2月27日). 2013年11月29日閲覧。
  2. ^ まつげ美容の歴史 -実際に働いてみて-”. 美プロ (2013年11月9日). 2013年11月29日閲覧。
  3. ^ まつ毛エクステによる危害状況について 東京都、2008年2月21日
  4. ^ まつ毛エクステ異常1600人…視力障害恐れも 読売新聞、2014年5月7日
  5. ^ まつげエクステ 自分で「まつエク」注意を 規制及ばぬ「セルフ方式」 プロ施術でもトラブル、5年間で599件 毎日新聞 2015年12月29日

関連項目[編集]