あゝ、荒野

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

あゝ、荒野』(ああ、こうや)は、1966年に刊行された寺山修司の長編小説。寺山の唯一の長編小説である。

寺山はあとがきで 「この小説をモダン・ジャズの手法によって書いてみようと思っていた。」とし、「大雑把なストーリーをコードネームとしてきめておいて、あとは全くの即興描写で埋めていくというやり方」で書いたと記している。

2011年には戯曲化され、2017年には映画版が公開された。

あらすじ[編集]

吃音症で対人赤面症に悩む建二。母親の死後、暴力をふるう父親と共に生活していたが耐えられず、家から出るため床屋に住み込みで働いている。一方の新次は幼いころに父親は自殺、母親にも捨てられ野性的な性格に育った。似たところがあるような、ないようなこのふたりがひょんなことから出会い、元ボクサーである堀口にしごかれプロボクサーを目指す。人が心にもっている愛や孤独、自分と向き合う青春物語。

登場人物[編集]

  • 二木健二:リングネーム “バリカン建二”どもりで赤面対人症の身体の大きな男。暴力をふるう父親と二人暮らしだが、逃れの為技術を磨き宿付き床屋で下宿しながら生活している。ひょんなことから、堀口、新次に出会い、ボクサーを目指すことに。
  • 二木建夫:建二の父親。建二がでていき、一人孤独を感じているが、アメリカの養老院で「誰も私に話しかけてくれない」と自殺した人をニュースを耳にし、養老院に入る気になれないでいる話好きな老人。病気がみつかり自分の運命と向き合う。
  • 新宿新次:野性的な性格の20歳の青年。建二と共にプロボクサーを目指す。
  • 曽根芳子:性にしか興味のない女店員であり新次の彼女。新宿の裏のマンションに好んで住んでいる変わり者。渥美清のファンであり、「丈夫で長生き」することを信念としている。
  • 川崎敬三:大学の「自殺研究会」のメンバー。自殺するための「自殺機」を制作し、秋の文化祭で発表したいが自殺志願者がつのれず、、、、
  • 宮木太一:裏町の実業家〈バックストリートビジネスマン〉と呼ばれている。努力で手に入れた成金タイプ。だが性的不能者でイライラから嫁に暴力をふるう。

書誌[編集]

現代評論社版(初刊)
1966年11月10日刊行
写真:森山大道
イラスト:山藤章二
付録:「新宿荒野図」
河出書房新社河出文庫》版
1993年4月4日刊行
ISBN 978-4-309-40366-3
パルコ出版
2005年12月刊行
ISBN 978-4891947255
KADOKAWA文庫
2009年2月25日刊行
ISBN 978-4041315330

舞台版[編集]

2011年に、蜷川幸雄の演出により、埼玉県東京都にて上演された[1]

以下、内容はシアターガイドを出典とする。

公演日[編集]

埼玉公演
2011年10月29日 - 11月6日
会場:彩の国さいたま芸術劇場
東京公演
2011年11月13日 - 12月2日
会場:青山劇場

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

  • 演出:蜷川幸雄
  • 脚本:夕暮マリー
  • 音楽:朝比奈尚行

映画版[編集]

岸善幸の監督により、前後編の2部作として2017年10月(前編が10月7日、後編が10月21日)に公開[2]

舞台を近未来の2021年に設定し、原作を大きく改変してある。新次の詳しい生い立ちはオリジナル要素で母親やライバル裕二らはオリジナルキャラクターであり、健二もヤン・イクチュンに合わせて韓国人とのハーフに変更している。

キャスト(映画)[編集]

スタッフ(映画)[編集]

  • 監督:岸善幸
  • 脚本:港岳彦・岸善幸
  • 音楽:岩代太郎
  • 撮影:夏海光造
  • 照明:高坂俊秀
  • 録音:森英司
  • 美術:磯見俊裕、徐賢先
  • DIT:鈴木裕
  • 衣装:宮本まさ江
  • ヘアメイク:小沼みどり
  • キャスティング:おおずさわこ
  • 特殊メイク:百武朋
  • ボクシング指導:松浦慎一郎
  • 整音:小林喬
  • 音響効果:大塚智子
  • 助監督:松尾崇木村修
  • 主題歌:BRAHMAN「今夜」
  • 企画制作:河村光庸
  • 配給:スターサンズ

受賞歴[編集]

脚注[編集]

  1. ^ “松本潤主演&蜷川幸雄演出 寺山修司原作『あゝ、』公演決定”. シアターガイド. (2011年7月21日). http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2011/07/21_02.php 2017年8月22日閲覧。 
  2. ^ “寺山修司の小説「あゝ、荒野」菅田将暉×ヤン・イクチュン主演で映画化”. 映画ナタリー. (2017年4月26日). http://natalie.mu/stage/news/230335 2017年8月22日閲覧。 
  3. ^ “ブルーリボン賞「あゝ、荒野」が作品賞に、阿部サダヲ&新垣結衣も受賞”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2018年1月24日). https://natalie.mu/eiga/news/266417 2018年1月24日閲覧。 
  4. ^ 菅田将暉が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝く「“菅田将暉”としてうれしい」”. 映画ナタリー (2018年3月2日). 2018年3月9日閲覧。
  5. ^ “石川さゆりさんら大臣賞=新人賞は菅田将暉さんら-芸術選奨”. 時事ドットコム (時事通信社). (2018年3月7日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030700951&g=soc 2018年3月9日閲覧。 
  6. ^ “大賞は「Nintendo Switch」に決定! 第23回AMDアワード”. INTERNET Watch (株式会社インプレス). (2018年3月12日). https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1111133.html 2018年3月12日閲覧。 
  7. ^ “石井裕也、第12回アジア・フィルム・アワードで監督賞受賞!”. 映画.com. (2018年3月19日). http://eiga.com/news/20180319/10/ 2018年3月21日閲覧。 

外部リンク[編集]