馬場状態

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馬場状態(ばばじょうたい)とは競馬の競走を行うコース(本馬場)の状態を示す言葉である。

概説

日本の競馬(平地・障害)においては主催者の開催執務委員が実際にレース前(天候が悪化した場合は随時)に馬場を徒歩で調査してコースの含水量を踏まえて決定し、良(りょう)、稍重(ややおも)、重(おも)、不良(ふりょう)の4つで発表している(各馬場状態の詳細は後述)。含水量が多い場合は「道悪」と呼ばれることもある。

なお、帯広競馬場のばんえい競馬では馬場水分値を計測して数値で発表する方式が採用されている。詳細はばんえい競走#馬場(公営競技)の項を参照。

日本以外の主要国では4段階から9段階で発表されており、日本より細分化されているところも目立つ。なお、馬場状態の基準は国や競馬場ごとに異なる。

以下は主要国での馬場状態を示す区分一覧。上から順に馬場が硬い状態となる。

イギリス アメリカ フランス ドイツ 香港・シンガポール 日本
硬↑

↓軟
Hard Fast sec hart Firm
Firm Firm tres leger fest Good to firm やや重
Good to firm Wet Fast leger gut Good
Good Good assez souple weich Yielding to good 不良
Good to soft Muddy souple schwer Yielding   
Soft Yielding tres souple tief Soft to yielding
Heavy Sloppy collant   Soft
  Soft lound Heavy to Soft
profond Heavy

良馬場

良馬場は馬場水分が少なく、乾燥した状態のこと。良馬場になると、硬い馬場を嫌って苦手とする馬や苦にせず得意とする馬がいる。日本以外では馬場の性質によって異なるが故障率が通常の馬場より高くなる傾向があり、硬い馬場になると直前回避を行うことが増える。このため、欧州の競馬場では良馬場になると基本的に散水を行う。結果、イギリスの競馬では平地競走においてはFirm以上、障害競走においてはGood to firm以上の硬い馬場で競走を行うことはほとんどない。

稍重馬場

良馬場より水分量があり、重馬場より乾燥している馬場状態を言う。つまり、ある程度湿り気がある馬場状態を指す。日本では一般的に「稍重」(または「やや重」)と略している。ダートコースに関していえば一見良馬場のほうがいいと思われがちだが、良馬場は乾燥しているため馬場が硬くなりすぎ競走馬の得意・不得意が出る。それに対し稍重はある程度湿り気があり馬場コンディションとしては最高のコンディションで臨め、得意・不得意が出にくい馬場である。コースに関していえば芝生があるため滑りやすく良馬場より走りにくいため、得意・不得意が出る。

重馬場

稍重より水分量があり、不良馬場より水分量が少ない馬場状態を言う。つまり、が降り芝・ダートが泥まみれでぬかるんではいるが水たまりがあまりない馬場状態を指す。重馬場になると柔らかい馬場に対して脚を滑らすなど苦手とする馬や、相対的に苦にせず得意とする馬もいる。芝コースでは走破タイムが距離やコース形態によって異なるが数秒~数十秒程度遅くなり、ダートコースでもやや遅くなる傾向があるが日本のダートコースではクッションに使用する砂がある程度締まるため逆に早くなることもある。

不良馬場

不良馬場の例(2003年6月18日名古屋競馬場

雨や雪が降り、芝・ダートが泥まみれになり水たまりなどができている状態のこと。あまりに酷い場合は「田んぼ」などと揶揄されることもある(特にダートでは用いられやすい)。重馬場同様不良馬場になると柔らかい馬場に対して脚を滑らすなどで苦手とする馬や、相対的に苦にせず得意とする馬もいる。芝コースでは走破タイムが距離やコース形態によって異なるが数秒~1分程度遅くなりダートコースでもやや遅くなる傾向があるが、日本のダートコースではクッションに使用する砂が締まるため逆に早くなることもある。

天候によって競馬の開催が決まることもある。台風が接近または直撃した場合、激しい雨または雪、積雪がある場合などは競馬を開催しないこともある。積雪の場合は芝コースを閉鎖し、芝で組まれていたレースをダートに変更することもある。

不良馬場を巡る近年の事例

重賞では1998年共同通信杯4歳ステークスにおいて激しい積雪により芝コースが閉鎖され、その当日全ての芝レースはダートに変更された。この共同通信杯の格付けはGIIIであったが格付けが取り消された(重賞としては扱われた)。距離は芝1800mからダート1600mとなった。このレースの勝ち馬はデビュー3戦目のエルコンドルパサーで本来であればこのレースが初めての芝でのレースとなる予定であったが、皮肉にも3度目のダート戦となった。これによってデビュー2戦をともにダートで圧勝した実績から、単勝120円という圧倒的支持を得た。この共同通信杯以後ダートレースへの出走は無く、後に日本、海外含めGIを3勝した。