酢酸イソアミル

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酢酸イソアミル
酢酸イソアミルの構造式
IUPAC名酢酸3-メチルブチル
別名酢酸イソペンチル
分子式C7H14O2
分子量130.18
CAS登録番号123-92-2
形状無色液体
密度0.876 g/cm3, 液体 (15 ℃)[1]
融点−78.5 °C
沸点142 °C[1]
SMILESCC(C)CCOC(C)=O

酢酸イソアミル(さくさん—、isoamyl acetate)とは、分子式 C7H14O2示性式 CH3COO(CH2)2CH(CH3)2 で表されるカルボン酸エステルの一種である。また、酢酸イソペンチル(isopentyl acetate)、酢酸3-メチルブチル(3-methylbutyl acetate)とも呼ばれる。CAS登録番号は [123-92-2]。酢酸イソアミルアルコールが縮合したカルボン酸エステルにあたる。

分子量 130.18、融点 −78.5 ℃、沸点 142 ℃、比重 0.876 (15 ℃) のバナナあるいはメロン様の果実臭のする無色の液体である。通常の有機溶媒には易溶で、水にもわずかに溶ける。

香料(バナナエッセンス)や有機溶媒として用いられる。

日本酒の芳香成分の一つで、吟醸酒には数100 ppb–数 ppm 程度含まれている。日本酒の高品質化のため、大量の酢酸イソアミルを生産する清酒酵母の開発が進んでいる。

安全性

日本の消防法では危険物第4類・第2石油類に分類される。熱には比較的安定するが、強酸や強塩基、強酸化剤との接触により火災・爆発のおそれがある[2]。動物実験での半数致死量(LD50)は、ラットへの経口投与・ウサギへの経皮投与とも5g/kg以上[3]

酢酸イソアミル生成法

  • 材料
酢酸 2ml
イソアミルアルコール 2ml
硫酸 0.3ml
水  450ml~500ml(試験管を入れ温められる程度)
  • 道具
試験管1本、ビーカー(500ml)1個、ガスバーナー1個、三脚1個、金網1枚、脱脂綿少量(試験管にふたができる程度)、温度計1本 駒込ピペット3本
  • 生成
  1. 乾いた試験管と駒込ピペットを必ず用意する。
  2. ビーカーに水を入れ、金網を載せた三脚の上に置き、ガスバーナーで60℃まで加熱する
  3. 乾いた試験管に酢酸を2ml、イソアミルアルコール2mlの順に入れて軽く混ぜる。
  4. 3に硫酸を0.3ml入れて軽く混ぜ、脱脂綿でふたをする。
  5. 4を60℃のお湯に入れ10分間加熱する。
  6. 10分たったら取り出し完成。

生成してすぐは少し匂いがきついが、少し冷めるとバナナのような香りがするはず。 生成に失敗するとマニキュア除光液のようなにおいがする。 大体45~60分くらいすると加水分解が進み酢酸のキツイ匂いがするようになる。 その時再度温めてもバナナような香りはしないので、もう一度嗅ぎたい場合は生成しなおすほうが良い。 生成する際に1本のピペットで使い回しをしないこと。 硫酸の扱いには十分気をつけること。

関連項目

参考文献

  1. ^ a b Merck Index 14th ed., 5111.
  2. ^ 製品安全データシート (PDF) (昭和化学)
  3. ^ 『合成香料 化学と商品知識』印藤元一著 2005年増補改訂 化学工業日報社 ISBN 4-87326-460-x