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遮蔽装置

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遮蔽装置(しゃへいそうち、英語:cloaking device)は、特定の物体を不可視にする、主にSF作品に登場する架空の技術の一つである。偽装装置、または英語読みをそのまま用いてクローキング装置、クローキング・デヴァイスなどと呼ぶこともある。多くの作品では、物体を視覚的に見えなくする、つまり可視光線を遮蔽するだけでなく、あらゆるセンサーにも感知されないように電磁波なども遮蔽できるという設定となっている(劇中描写は、宇宙版潜水艦に近い)。映像作品としての初出は1966年に米国で放映された『スタートレック』。

スタートレックの遮蔽装置

当初は「偽装装置」「透明偽装装置」と訳されていたが現在は本項の通り「遮蔽装置」と訳されている。SFテレビドラマ『スタートレック』シリーズの遮蔽装置は重力レンズ効果を用いたものである(ただし、『宇宙大作戦』当初の遮蔽装置は、逆位相電磁波を用いた、根本的に別のしくみによるものである)。簡単に説明すると、遮蔽シールドに入射してくる素粒子や可視光線を含む電磁波などを、重力波からなる遮蔽シールドの面に沿って正確に誘導し、反対側に放つ。これにより、光が遮蔽したものを素通りしたかのように見える、つまり、遮蔽しているものが見えなくなるというしくみである。しかし、比較的初期のものは精度が低く、背後の天体などがゆがんで見えてしまう問題があり、映像で外部の景色を確認することにより、見破ることも出来た(映画『スタートレックIII ミスター・スポックを探せ!』)。

『宇宙大作戦』劇中に登場した偽装装置は、直径50cm程度の発光する球体であり、大人1人で抱えて運搬することができる。また、小改造を施すだけで連邦艦でも装備・運用でき、策を弄してロミュラン艦に潜入したカークがこれを奪取、その足でエンタープライズ号に装着使用して逃走に成功している。

遮蔽している宇宙船自身から放出される電磁波は、シールドなどによって内側に反射し続けることによって、外側に漏れ出ないようにする。しかし、このままでは宇宙船から放出される熱も遮蔽シールド内にこもり、内部は蒸し風呂状態となるという問題点が出てくる。この問題は、船体表面を緑色に塗装することによって、気付かれないほど少しずつ放熱できるということが判明し、解決した。

このような遮蔽プロセスからも分かるように、遮蔽装置には大量のエネルギーと精密なコンピュータ制御が必要である。さらに、遮蔽中は基本的に武器の使用はできない、遮蔽開始時と解除時には防御シールドを一時的に解除しなければならないなどといった問題もある。

しかし『スタートレックVI 未知の世界』では、遮蔽装置(当時の表記はまだ「透明偽装装置」)の作動中にも砲撃できたり、防御シールドの使用可能なクリンゴン戦闘艇『ダグロン』が登場する。このときには技術も向上し、景色のゆがみで見破ることも出来ないほどになっている。この戦闘艇の遮蔽装置を見破るには、超高感度スキャナーを持つU.S.Sエクセルシオールの到着を待たなくてはならなかったが、エクセルシオールの到着以前にスポック副長はエンタープライズのセンサーで、『ダグロン』のインパルス・エンジンのイオン排気をキャッチし、スポック副長とマッコイ艦医は光子魚雷にイオンセンサーを取り付ける改造を施し、『ダグロン』への魚雷の直撃に成功。そこへさらにエンタープライズとエクセルシオールの攻撃を受け、『ダグロン』は完全に破壊された。この戦闘艇は試作機の『ダグロン』1機のみであったため、『ダグロン』の遮蔽装置の技術は不明なままとなってしまった。

それでも、24世紀(TNG時代)においてもなお遮蔽した宇宙船は数十隻の宇宙船を用いてタキオン探知網を形成し、大規模な封鎖網を形成しない限り発見することは不可能なため、前述したリスクに見合った隠密行動ができる有用な技術となっている。

遮蔽装置はロミュラン人が開発したものであり、主にロミュラン帝国と、ロミュランと短期間のみ同盟関係であり、その間に技術交換を行ったクリンゴン帝国が使用している。彼らの戦艦であるウォーバードバード・オブ・プレイには標準装備されているため、基本的に彼らの船は緑色をしている。ただし初期のロミュランのバード・オブ・プレイは白色のもののある。なおTNGシリーズにおいて、ロミュランは技術供与した遮蔽装置(の改良版)を使用したクリンゴン戦艦を探知出来ていない。(TNG:潜入! ロミュラン帝国)

また次世代の遮蔽装置として「物質の位相をずらし、通常空間とは少しだけずれた世界に移動する」ことで、センサーによる探知を防ぐ遮蔽装置も作中に登場する(「TNG:難破船ペガサスの秘密]のUSSペガサス、「TNG:転送事故の謎」のロミュラン科学船)。劇中における説明では両者は同等の技術によるものであり、この装置の影響下にあるものは、他の物体を透過(当たり判定のないゲームのような状態)することが可能となり、例えるなら恒星や惑星の"内部"にも潜めることとなる。なおこの型式の遮蔽は、アニオンビームの強い照射によって外部から強制的に解除することができる。(「TNG:転送事故の謎」)

惑星連邦は22世紀中ごろに勃発したロミュラン戦争後、ロミュランと締結したアルジェオン条約で遮蔽装置の不保持を決定している「TNG:難破船ペガサスの秘密」。しかし、ボーグやドミニオンなどの脅威の増大により遮蔽装置の必要性が出てきたため、ロミュランとの合意の下にU.S.S.ディファイアントには、γ宇宙域でのみ使用を可能とするという条件にて遮蔽装置が搭載された。ただし、この条件はUSSディファイアント(NX-74205)艦長のシスコの"現場の判断"もあり、必ずしも遵守はされていない。また、2代目ディファイアント(NCC-75633)やこの他のディファイアント級戦艦には遮蔽装置が搭載されている描写はない。 なお反陽子スキャンを利用することにより、U.S.S.ディファイアントの遮蔽(=ロミュランの遮蔽)を見破ることが出来る模様である。(「DS9:ドミニオンの野望」、「DS9:奪われたディファイアント」)

スター・ウォーズのクローキング装置

SF映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場するクローキング装置には、2種類存在する。一つはスタイジアムという天然のクリスタルを用いるもので、ダース・モールの乗る宇宙船、シス・インフィルトレーターなどに搭載されていた。しかし、このスタイジアムはクローキング装置の起動中に焼失してしまうことが多く、さらに惑星エイテンIIでしか産出されない希少で高価な物質であるため、クローン大戦の頃にはほとんど見られないものとなった。

銀河帝国時代になると、皇帝のパルパティーンはクローキング装置の開発を望むようになり、ハイブリディウムという物質を用いる方法が発見された。しかし、これによる装置は巨大で、大量のエネルギーを必要とするものであり、かつハイパースペース航行中では不安定となるものであった。

クローキング装置において一番の問題点は、相手から見えなくなるだけでなく、自分からも外の情報を得られなくなるという点である。これらのことより、『スター・ウォーズ』においてクローキング装置とは、非常にまれなテクノロジーとなっている(実際、映画6部作ではクローキング装置は一度も登場していない)。

関連項目