ロミュラン人

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ロミュラン人(ロミュランじん、Romulan)は、SFテレビドラマ・映画『スタートレック』シリーズに登場する架空のヒューマノイド型異星人。惑星連邦クリンゴン帝国に隣接し、ベータ宇宙域に広がる星間国家の一つ、ロミュラン星間帝国(Romulan Star Empire)を支配している。『宇宙大作戦』初登場時の日本語訳ではロミュラス星人、ノベライズ『宇宙大作戦』シリーズでは当初はロムラン人、ロムラン帝国と表記されていたが、近年は「ロミュラン…」で統一されている。

身体[編集]

遺伝子的に若干の差異があるものの、生物学的には惑星連邦所属種族であるヴァルカン人と同一の種族である。これは地球の暦でいえば4世紀ごろ、ヴァルカンにて哲学者スラクの提唱した論理的思考と平和共存を目指す思想改革が行われた際、スラクの教えに賛同せずヴァルカン人を捨て現在のロミュラスに移住した人々を祖先に持つからである。

ただ、外見的には尖った耳たぶ、釣り上がった眉毛、つむじより放射状に広がった直毛の頭髪などが共通する、『宇宙大作戦』当時のロミュラン人は殆どヴァルカン人と外見は同じだった。その後『新スタートレック』以降は、ヴァルカン人に比べて肌の色がより緑がかっており、額に浅い畝のようなものがある(この変更に対する説明はない)。

精神[編集]

ヴァルカン人と違い、暴力的かつ狡猾で効率を重視する。形勢が不利と看做すと自軍の僚艦と言えど容赦なく破壊してしまう。また、「最初の一発」は必ず敵に撃たせる(それから徹底的に撃ち返して正当防衛を主張する)のを常套策とし、そのためにさまざまな策を弄する。猜疑心が強く、偏執病傾向の強い者も多く見られる。また、ヴァルカン人のような霊能力を発揮するシーンはない。

文化[編集]

挨拶には「栄光あれ」と言う。ロミュランエールという強い酒があり、惑星連邦領域内でも非合法ながら飲まれている。ドミニオン戦争時代には惑星連邦との同盟条約が締結された結果、合法となった。食事は地球人と似た、調理したものを好み生食は好まない模様で、捕虜収容所所長トカスはクリンゴン食に嫌悪を露にした。肩を強調した服を着用し、髪型はヴァルカン人と同じである。最高評議会議員の服装は和服に酷似しているが、文化的な位置づけは不明。

刑罰は残虐で恣意的だが、一応いかなる罪人にも処刑前に「公式な弁明を述べる権利」だけは認められている。

「狡猾で残虐で、独自の長い歴史と文化を持つ宇宙第三位の覇権国家」という作中のイメージは、明らかに冷戦期の中華人民共和国を基にしている。が、名称や細部には古代ローマ帝国の要素も多く盛り込まれている(惑星名の「ロミュラス」は「ロームルス」、「レミュス」は「レムス」に由来する 古代ローマ建国神話に登場する双子の兄弟の名、)。またクリンゴン人ほどではないにしても尚武の国であり、陰湿な策を良しとしない硬派な武人も多い(例:小説「宇宙大作戦-ロムランの罠」のス・タロン。ただし、同小説は、オリジナルの非正史である。)。

同祖であるヴァルカン人だけではなく、地球人やクリンゴン人とも混血可能(というより、スタートレック世界では異星間の結婚・混血はそう珍しい話ではない)。

なお、ロミュランは軍事政権だが『宇宙大作戦』の時代において、すでに女性でも能力次第で司令官に昇進でき、ロミュラン艦の艦長や副長は女性が多く登場している。DS9においては永続委員会の議員にも女性が存在した。

政治[編集]

最高評議会(Romulan Senate、元老院・上院とも訳される)とタルシアー(Tal Shiar、諜報機関)によって成り立っている。カーデシアの諜報機関であるオブシディアンオーダーと同様に、タルシアーは暴走傾向にある。帝国ではあるが、皇帝は存在せず(Qの発言によるとかつては帝室が存在したようだ)、最高位は選挙によって選ばれる執政官である。評議会議員は各地域から選挙によって選出される。

歴史[編集]

2152年にロミュラン帝国の領有する星系にエンタープライズNX-01が迷い込んだ事から地球人と初接触したが、その際は音声通信のみであった。この頃のロミュラン帝国は、ヴァルカンアンドリアテラライトなどの近隣他種族の間に諍いを起こさせ、その隙に勢力を拡大しようと画策していたが、これをジョナサン・アーチャー率いるエンタープライズNX-01に阻止されたため敵意の矛先を地球人に向けるようになり、2160年頃には地球連合との間に大規模な武力衝突が発生した。主に使用された核兵器により、お互いの宇宙船などは跡形も無く破壊されつくしたため、捕虜は一切存在せず、中立地帯などを設けた停戦協定締結も音声通信のみで行われた。このため初接触から、23世紀にロミュラン・バード・オブ・プレイによる惑星連邦領域への威力偵察が行われて、U.S.S.エンタープライズNCC-1701と交戦状態に入るまでの約100年間、お互いの姿を知らなかった。この戦い(TOSエピソード『宇宙基地SOS』)で、ロミュラン人とヴァルカン人が酷似していることが初めて分かり、エンタープライズ艦内はヴァルカン人のスポック副長への猜疑心で混乱した。

23世紀には短期間ながらクリンゴン帝国と同盟関係にあり、遮蔽装置と引き換えにD7級巡洋艦を供与されるなど、長距離用宇宙船のノウハウを得た。

しかしその後クリンゴンが惑星連邦に接近するにつれ関係が冷却、2344年のキトマーの大虐殺によって、完全な敵対関係となる(そしてクリンゴン人は惑星連邦以上にロミュラン人を蔑視し、敵意を持つようになった)。

一時的にロミュラン・クリンゴン・惑星連邦の3勢力による惑星共同開拓(失敗)を行ったり、惑星連邦に大使を派遣するなどしていたが、クリンゴンと惑星連邦の和平条約(キトマー条約)締結妨害へのロミュラン大使の関与が露呈したことをはじめ惑星連邦との衝突が目立つようになり、「別な用事(詳細不明)」があって鎖国政策をとり惑星連邦と再び接触を絶っていたが、突如53年間続いた鎖国を解きTNG序盤に再接触。クリンゴン帝国の内乱への介入、国内反体制勢力のヴァルカンとの民族再統合運動を逆用してヴァルカンの武力併合を企てるなど、数々の謀略を展開する。

ドミニオンの存在が明らかになると遮蔽装置を惑星連邦へ提供するなどした。ドミニオン戦争序盤において、タルシアーが政府に無断でカーデシアのオブシディアン・オーダーと共闘してドミニオンに攻撃を仕掛けたが、返り討ちにされて惨敗した。カーデシアがドミニオンに加盟しアルファ宇宙域での戦争が本格化すると中立を保っていたが、不可侵条約を進めていたヴリーナック議員の死亡事故からドミニオンのロミュラン侵攻計画が明らかになると、ドミニオンに宣戦布告した(このことはベンジャミン・シスコエリム・ガラックの工作によるものであったことは知られていない)。以後、同戦争では惑星連邦、クリンゴンと共同戦線を張る。最終決戦では艦隊に大きな損害を受け、旗艦を大破させられた(ただしロス提督のセリフに語られるのみで破壊されるシーンは描かれていない)。この直前の作戦会議のシーンにロミュランの高官が登場しているが、消息は不明である。

戦争終結後、ジャン=リュック・ピカードのクローンであるシンゾンが率いるレムス人とその内通者によるクーデターにより評議会議員が議場で暗殺され、政権が奪取されたが、ピカードとの対決によりシンゾンが死亡すると政権はロミュラン人の手に戻った。

2387年、ロミュラスの近くの恒星が超新星爆発を起こし、その余波を受けたロミュラスは消滅してしまう。それによって銀河は戦国乱世に突入し、母星を失ったロミュラス帝国自体は内戦状態となり、評議会に代わって帝政が復活し複数の「女帝」が登極する、辺境では自由な社会を目指すロミュラス共和政府が樹立される、タル・シアーは両者と無縁に暗躍し未知の異星人と結託する、など混乱を極めている。

ロミュラン帝国[編集]

正式名称:ロミュラン星間帝国(The Romulan Star Empire)

ベータ宇宙域における主要な大国の一つである。母星は双子惑星ロミュラスとレミュス。支配民族はロミュラン人であり、その支配下に奴隷階級としてレミュス人がいる。ロミュラン帝国は極端な秘密主義国家であり、閉鎖的かつ排他主義的国家であるため、貿易に関しても主に領域内部で行っている。

支配下の星[編集]

両星は二重惑星(または恒星からの距離がほぼ同じ)である。

ロミュラス
ロミュラン星間帝国の首都星。レミュスと同一の軌道を取る。
レミュス
英語ではRemusだが、翻訳によりレムス、リーマス、ロミー (Romii) の表記もある。自転周期と公転周期が等しいため、地表の環境は非常に厳しい。住民は地下生活を強いられている。ダイリチウムの鉱山が地下にあり、そこでレムス人は強制労働を強いられている。

ロミュラス星、レムス星とも呼ばれている。

主な戦艦[編集]

代表的なロミュラン人[編集]

  • ネラル
236~70年代の執政官。騎兵隊出身。タル・シアーのセーラと共にヴァルカンへの武力侵攻を画策する。
  • バード・オブ・プレイ艦長(TOS)
上記の威力偵察を行ったバード・オブ・プレイの艦長。連邦の中立空域監視基地を(不承不承ながら)次々と撃破し、駆けつけたカーク船長指揮下のエンタープライズと虚虚実実の駆け引きを行いながら、本国への生還を目指す。ちなみに彼を演じたマーク・レナードはヴァルカン人でスポックの父親のサレクも演じている。
  • 女司令官(TOS)
TOSエピソード「透明宇宙船」に登場。「疲労のあまり精神錯乱に陥った」カークの命でロミュラン領内に侵入したエンタープライズを拿捕し、さらにスポックを「個人的に」味方につけようとする。
  • セーラ(TNG)
ロミュラン軍の女性司令官。パラレルワールドのターシャ・ヤーとロミュラン人の間に生まれた。若くして指揮官に登りつめた実力を持つ。その生まれのせいかピカードに敵意を燃やし、一度ならず謀略にピカードとエンタープライズDを巻き込む。
2387年の惑星ロミュラス崩壊後、ロミュラン女帝を自称して排他的なグループを率いる(「Star Trek Online」)。
  • トモロク(TNG)
ロミュラン軍の司令官(後に大使に昇進)。エンタープライズDの前に比較的多く現れる、典型的なあくどいロミュラン人。
2379年のシンゾンの変当時はロミュラン艦隊総司令官の地位にあり、シンゾンがU.S.S.エンタープライズEとの戦闘で敗死した後はシンゾンに与して評議員を皆殺しにしたタローラ総督を支援したためドナトラ司令官と対立、2383年にドナトラ派を一掃しようと攻撃を仕掛けたもののタリス提督の援助を受けたドナトラ派に敗れ、タローラ総督によってその地位を剥奪された(「Star Trek Online」)。
  • タローラ
最高評議会の女性評議員。2379年のシンゾンの変に際し、シンゾンに協力して最高評議会議事堂にセラロン放射線拡散装置を仕掛け、評議員を皆殺しにした。シンゾンがU.S.S.エンタープライズEとの戦闘で敗死した後はトモロク総司令官の支持を受けて総督に就任するも、トモロクの失脚によりその勢力は大きく弱体化された(「Star Trek Online」)。
  • タリス
ロミュラン軍の女性副司令官。デイダリデックス級ウォーバード、ハーコナ号の艦長。2365年にアイコニアの遺産を奪おうとU.S.S.ヤマトに介入したものの、艦がコンピューターウィルスに感染し致命的なシステム異常を起こしてしまい自爆寸前だったところをU.S.S.エンタープライズDによって救われた。2379年のシンゾンの変当時は提督の地位にあり、タローラ総督・トモロク総司令官と対立していたドナトラ司令官を支援、ドナトラが女帝の地位に就いた後はその名代として最高評議会に出席した(「Star Trek Online」)。
  • トカス(TNG)
収容所所長。ロミュラン人でありながらクリンゴン人捕虜と平和に暮らそうと志し、女性捕虜との間に娘までもうける。
  • ネヴェック(TNG)
スポックの地下組織の一員。ディアナが眠っている間に拉致してタルシアー将校に変装させ、一芝居打つよう強要する。
  • ヴリーナック(DS9)
上院議員でタルシアー副議長。ドミニオンと折衝していたが、ロミュランを戦争に引き込もうとするシスコらの工作によりシャトル爆破で死亡させられる。
  • キマラ・クレタク(DS9)
ドミニオン戦争時にロミュランを代表してDS9に派遣された議員。ロミュランの利益を重視しすぎるため、惑星連邦との同盟をより安定させるためにセクション31によって失脚させられる。
  • コヴァル(DS9)
タルシアーの長。実は惑星連邦(セクション31)のスパイ。ヴァルカン人、ロミュラン人特有の病気に感染しており病が進行しつつある。
  • テレク・ルモール(VOY)
ロミュラン天文アカデミーの士官で科学調査船の船長。2351年の科学探査任務中にアルファ宇宙域で極小のワームホールを発見し、反対側の2371年のデルタ宇宙域にいるU.S.S.ヴォイジャーと通信する。自身も故郷に妻子を残し長期任務中だったため孤独なデルタ宇宙域にいるヴォイジャークルーに同情し、協力することとなる。ヴォイジャーに転送した際に時間差が判明し、タイムパラドックスを起こさぬため2371年になったらクルーの家族へのメッセージを送ることを約束し2351年に帰っていった。のち、2367年に彼は亡くなっており、クルーのメッセージが送信されたかは不明となった。
ロミュラン軍の女性司令官。2378年の政変に際してシンゾン執政官に協力するが、彼の本心を知って反旗を翻す。ヴァルドア級ウォーバード2隻を率いて戦場に現れ、エンタープライズEを援護した。その戦いぶりはロミュランが親の仇であるウォーフをして「勇敢」と言わしめる程。戦闘後、大破したエンタープライズEに救助班と補給物資を送り、惑星連邦とロミュラン帝国の関係が変わるきっかけとなった。映画「ネメシス/S.T.X」の直接の後日談である小説「STARTREK:TITAN」では、U.S.S.タイタンの艦長として派遣されてきたライカー大佐と共に領域の安定のため働いている。シンゾンがU.S.S.エンタープライズEとの戦闘で敗死した後は、シンゾンに加担していたタローラ総督・トモロク総司令官と激しく対立、タリス提督と共にトモロク派を排撃した後にロミュラン帝国の中心的人物となり、2382年には女帝の地位に就いた(「Star Trek Online」)。
  • ヴァルドア(ENT)
22世紀中頃のロミュラン軍提督。かつては評議員であったが、議会で「征服が本当に無限の拡大のための最良の手段なのか?」と発言したため、糾弾され失職した。その後は考える事を止め、提督としてロミュランの理想実現のため邁進してきた。
ホログラムで様々な種族の船の外見を偽装出来る改造ウォーバードを使い、アルファ・ベータ宇宙域に混乱をもたらすミッションを指揮したが、ジョナサン・アーチャー船長が各国艦長を糾合して現場レベルでの対改造ウォーバード同盟を結成してこれを阻止。逆に惑星連合成立のきっかけを作ってしまった。
非常に冷酷な人物として描かれているが、DVDの特典映像として収録されている削除シーンでは、評議員から作戦失敗の責任を問わるも一切の抗弁をせずにレムス兵によって連行される際、「失敗の責任は我々にある、貴方ではない!」と自分を庇う発言をした部下に対し、賞賛の言葉を送る姿が見られる。
24世紀の中型採鉱船ナラーダ号の船長。ロミュラン鉱山ギルドの長であり、オブザーバーとして最高評議会に出席する資格を持つ。惑星ロミュラスが超新星爆発の危機に直面した際、スポックと協力して母星を守ろうとする。しかしスポックは間にあわず、ロミュラスはネロの身重の妻とともに消滅。復讐の鬼と化したネロは、国民を見殺しにして自分達だけ避難していた総督とその側近らを殺害し、総督杖を奪う。兵器研究施設のディスパル司令官の支援を受けナラーダ号を超大型戦艦に改造したネロは、ウォーフ将軍率いるクリンゴン艦隊やデータ大佐指揮のU.S.S.エンタープライズEを易々と撃破し、超新星が赤色物質の投下を受けて変異した事から発生した時空の裂け目にナラーダ号を突入させ、23世紀(スポックの若いころ)の宇宙へタイムスリップ、過去の惑星ヴァルカンを破壊、そして地球にも刃を向ける。頭髪を全て刈り顔や頭部にタトゥーを施すという、ロミュラン人が喪に服す際の伝統的な装いをしている。
  • ハキーヴ
2400年代初頭の情報機関タルシアーの指導者。部下から抗議を受けるほど残虐非道な人物で、アイコニア人から入手したゲートウェイなどの超テクノロジーを用いてレムス人の独立運動弾圧に血道を上げた。しかし2409年、レムス・レジスタンスが宇宙艦隊の支援を受けたことで大敗を喫し、ブレア星系の戦いで戦死した。「Star Trek Online」に登場。

関連項目[編集]