西浦の田楽
西浦の田楽(にしうれのでんがく)は、静岡県浜松市天竜区水窪町奥領家西浦[注釈 1]の西浦観音堂において催される催事であり、民俗芸能である。なお名称は、元々現地では単に「おまつり」あるいは「木の根祭り」と呼ばれていた。
保護
1970年(昭和45年)には、他の33件の民俗芸能とともに無形文化財の保護対象として、記録作成などに対して国庫補助が行われることが決定[1]。1975年(昭和50年)の文化財保護法の改正によって制定された重要無形民俗文化財の第1回の指定を受けた。
特徴
養老3年(719年)に行基がこの地を訪れ、観音像と仮面を奉納したことが西浦の所能観音堂の創始で、その年に現在の別当家の先祖にあたる吉朗別当なる者が祭礼を始めたと伝えられている。現存する最古の史料は延宝(1681年)のものであるが、その芸態や周辺地域の芸能史料から、室町時代までは歴史を遡ることができるとされている。
三遠南信(三河・信濃・遠江)地域には、多くの田楽系の芸能が残されているが、特に長野県阿南町新野の雪祭には、その昔西浦から面を盗もうとしたという言い伝えが残されているなど、両者の深い関係がうかがわれる。
田遊び・猿楽能を中心として、神楽風の演目などを含んでおり、修正会の祭事、すなわち延年・おこないの芸能と考えられるものである。
浜松市水窪民俗資料館には西浦の田楽についての展示がある。
脚注
- 注釈
- 出典
- ^ 「民族芸能 初めて国庫補助」『朝日新聞』昭和45年(1970年)5月23日、12版、23版
外部リンク
座標: 北緯35度12分56.4秒 東経137度53分30.05秒 / 北緯35.215667度 東経137.8916806度