西洋

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サミュエル・P・ハンティントンの『文明の衝突』の世界地図[1]

西洋(せいよう、: the West)とは、キリスト教文明に根ざしたヨーロッパ諸国、及び北アメリカを指すが、その指し示す範囲は多様である。歴史的にはオクシデント(Occident)とも呼ばれ、その対立概念は東洋(the East, Orient、オリエント)である。

概要

日本においては19世紀に起こり、19世紀後半には中等教育での歴史教育で促進された。1894年に文部省から「西洋史」として新設教科の教授要領が発表され翌年に教科書が発行された。この意味での「西洋」とは、主にヨーロッパアメリカ合衆国などキリスト教文化圏の世界を指し、明治期の富国強兵時代の日本から見た概念であるが、欧米の国々でも「西洋」という概念を用いることはしばしば見受けられる(例:The Western culture=西洋文化、など)。

上記の意味での東洋・西洋の概念が定着したことを受けて、その後、学術用語としてオリエント(Orient)の対義語であるオクシデント(Occident)の訳語として「西洋」があてられるようにもなった。ただし、こちらの用法は狭義の用法である。

現代では、東洋・西洋の意味は歴史的な観点で用いられることが多く、現代用語としてはその役割を終えている。

オクシデント

西洋を指す学術用語としてオクシデント[2][3](Occident)があり、これはオリエント(東方世界)と対極をなす西方世界のことである。

元々ラテン語で「日の没する所」という意味であり、転じて西の方角を表すようになった。古代ローマではシリアエジプトなどを「日の出る所」(オリエント)と呼んだため、オクシデントとはローマを中心とした欧州世界そのものを指す。西洋史においては、現在のトルコにあるボスポラス海峡より西の地域である。

エドワード・サイードらの研究によってオリエンタリズムが蔑視的なイメージとして批判されると、西洋の拝金主義、利益優先的な考え方をオクシデンタリズムとする解釈も現われた。ただしサイードは、オリエントとオクシデントのいずれの呼称も否定している[4]

脚注

  1. ^ The World of Civilizations
  2. ^ 古典ラテン語を用いてOccidens(オッキデーンス)と表現されることもある
  3. ^ イタリア語ではオッチデンテ (Occidente)
  4. ^ エドワード・サイード 『オリエンタリズム』(下) 今沢紀子訳、平凡社〈平凡社ライブラリー〉、1993年、306頁など

関連項目