虹の橋 (詩)
虹の橋(にじのはし、英語:Rainbow Bridge)とは、飼っていたペットを亡くした人々のあいだで語られている、比喩的な場所、または神話的な場所のことである。また、この場所をうたった散文詩(韻文)のことである。
詩と希望
『虹の橋』は、作者不詳の散文詩の主題として取り上げられているので有名である。作品は、1980年から1992年のあいだに造られたと考えられるが、正確な詩作の時期はなお不明である。この詩あるいは文章は、ペットを失った動物愛好家のあいだで広く知られるようになり、最初はアメリカで流布していたが、世界中に広がり、日本でもこの詩の原文や翻訳、またそのヴァリエーションが広がっている。
詩は、亡くなったペットの魂が、虹の橋のたもとにある一面に緑の草原が広がる楽園に行き、そこで元の飼い主を待っていると、うたっている。そして彼らの飼い主がまた世を去った日、この場所でペットと人々は再会し、虹の橋を共にわたって、天国へと入って行くと信じられている。
虹の橋の起源
亡くなったペットがその主人を待つこのような場所について語っている宗教は存在していない。北欧神話に語られる「ビフレスト橋」が、神の国と人間の世界を繋ぐ「虹の橋」について伝えているが、ペットが生前の主人を待っている場所という訳ではない。しかし、この世を越えた世界へと魂を導く場所としては類似性がある。
この現代の神話は、原作者不詳の韻文の物語が起源である。ペット愛好者や関係者が造るネット上の多数のコミュニティや動物愛好団体などにおいて、亡くなったペットは、「橋のたもとで待っている」とも、しばしば語られる。「橋のたもと」は英語では、At The Bridge という表現であるので、このイニシャルによる頭字語である ATB を使って、「 ATB で待っている」とも言われる。
物語を語るこの散文詩は、しばしば著作権が存在しないパブリック・ドメインの作品として扱われている[要出典]。その著者や出典を確認するための情報が作品に添付されていないからであるが、また広く世界中に流通し、作品の再公開や引用が慣例化しているからである[要出典]。
しかし、インターネット上で幾ら多数のウェブ・サイトがこの詩を流用・公開しているとしても、作品がパブリック・ドメインであるという証明にはならない。著作物には著作権が存在するのであり、著者や出典に関する情報が確認され、原著者が著作権を放棄している訳ではないことが確認された場合は、法的な問題が生じることに留意する必要がある。
著作者と背景
世界中に広範囲に流通し、作品は世界に帰属するとも言えるほどであるが、この詩の原著作者は現在も確定していない。About.com の示唆するところでは(参照)、現時点で、3名の原作主張者が存在する。
- ポール・ダーム: アメリカオレゴン州のグリーフ・カウンセラーであるポール・C・ダーム( Paul C. Dahm )は、1981年に彼が詩を書いたのであり、1994年に著作権を宣言し、1998年に『虹の橋』の名で書籍を出版した、と述べている(参照1、参照2)。
- ウィリアム・ブリトン: 『虹の橋の伝説』(原題:Legend of Rainbow Bridge、1994年 ISBN: 0964501805 )の著者であるウィリアム・N・ブリトン( William N. Britton )。
- ウォレース・サイフ: 「ペットロスとペットとの死別協会」会長のドクター・ウォレース・サイフ( Dr. Wallace Sife )は、ウェブ・ページに詩作品『ペットはすべて天国に還る』(原題:All Pets Go to Heaven )を発表し(参照1)、また著書『ペットを亡くすこと』(原題:The Loss of a Pet )で作品を記した(参照2)。
インターネットで確認できる事実
インターネットにおいて最初に「虹の橋の散文詩」に言及しているのは、ニュースグループである「 rec.pets.dogs 」上に、1993年1月7日の日付で投稿された文章である(参照)。この投稿は、詩を『 Mid-Atlantic Great Dane Rescue League Newsletter 』の1992年(またはより早期の)号から引用したとしている。一方、「 Mid-Atlantic Great Dane 」は、この詩を「 Akita Rescue Society of America 」から引用したと述べている。1993年の「 rec.pets.dogs 」におけるその他の複数の投稿からすると、この時点ですでに、詩作品はインターネット上でよく知られており、詩からの一行の引用で、他のニュースグループの読者がそれと認めることが望めるぐらいに十分流布していたことが示唆されている。
虹の橋の伝説
自然にでき、神話的にそう呼ばれている「虹の橋」は多数の場所に存在する。例えば、米国ユタ州に所在する「レインボーブリッジ国定公園」があり、またアメリカ先住民であり、サンタクルス島に居住するチュマシュ族の間で語られる「虹の橋の伝説」がある。ただし、これらは、ペットと元の飼い主が死後に再会するという「虹の橋」とは必ずしも直接的な関係はない。
詩『虹の橋』
詩は次のような内容となっている。
- この世を去ったペットたちは、天国の手前の緑の草原に行く。食べ物も水も用意された暖かい場所で、老いや病気から回復した元気な体で仲間と楽しく遊び回る。しかしたった一つ気がかりなのが、残してきた大好きな飼い主のことである。
- 一匹のペットの目に、草原に向かってくる人影が映る。懐かしいその姿を認めるなり、そのペットは喜びにうち震え、仲間から離れて全力で駆けていきその人に飛びついて顔中にキスをする。
- 死んでしまった飼い主=あなたは、こうしてペットと再会し、一緒に虹の橋を渡っていく。
関連項目
外部リンク
- 虹の橋 (「Rainbow Bridge」と「ATB」の和訳)[日本語]
- 虹の橋 (3つの詩を紹介) [日本語]
- 虹の橋 The Rainbow Bridge [日本語]
- legendofrainbowbridge.com ウェブサイト [英文]
- rainbowsbridge.COM ペット・メモリアル [英文]
- rainbowbridge.ORG ウェブサイト [英文]
- 虹の橋・フラッシュヴァージョン [英文]