英国核燃料会社
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種類 | 株式会社(持ち株会社) |
---|---|
市場情報 | 全株イギリス政府保有 |
略称 | BNFL |
本社所在地 | イギリス |
設立 |
1971年2月 (British Nuclear Fuels Limited として) |
業種 | 原子力産業 |
事業内容 |
核燃料の製造と再処理。 原子力発電所の運転。他。 |
外部リンク | www.bnfl.com |
英国核燃料会社(えいこくかくねんりょうがいしゃ)は、イギリスの原子力産業で中心的な役割を担う100%イギリス政府出資の持株会社である。
英語名はBritish Nuclear Fuels plcであり、その略称は設立時の英語名British Nuclear Fuels LimitedからBNFLとしている。
主な事業として、
がある。
近年、組織改革が盛んに行われている。
- 2005年4月1日 持ち株会社化
- 2006年2月 保有する核施設を原子力廃止措置機関(NDA)に移譲
- 2006年2月 買収したウェスティングハウス・エレクトリック社の原子力部門子会社を東芝に売却
- 2006年3月 主要な子会社であるBritish Nuclear Group(BNG)を売却する意向を表明
歴史
- 1971年2月 英国原子力公社(UKAEA)の生産部門を分割独立して英国核燃料公社(British Nuclear Fuels Limited)を設立
- 1984年 100%イギリス政府保有の民営会社英国核燃料会社(British Nuclear Fuels plc)となる。
- 1996年 イギリスの新しい原子力発電所8施設(7つの改良型ガス冷却炉(AGR)と1つの加圧水型原子炉(PWR))をBritish Energy社として資本金21億ポンドで民営化した。[2] 旧式のガス冷却炉(GCR)であるMagnox炉は商業的採算ベースに合わないためMagnox Electric社として公的所有に残った。
- 1998年1月30日 Magnox Electric社は、British Nuclear Fuels plc Magnox GenerationとしてBNFLに吸収された。
- 1999年 ウェスティングハウス・エレクトリック社(CBSの商業原子力発電事業。ウェスティングハウス・エレクトリック社は、1995年にTV放送ネットワークのCBSを買収して、放送事業者になっていた。)を買収した。その事業は、核燃料の製造、核施設の廃止・解体、原子炉の設計・建設・運転である。
- 2000年 アメリカ合衆国やヨーロッパ、アジアの原子力事業で利益を上げていたABB社の原子力事業を3億ポンド(4.85億米ドル)で買収し、ウェスチングハウスに吸収合併した。[3]
組織改革
- British Nuclear Fuels plcは、British Nuclear Group Sellafield Ltd.と改名した。
- 新しく持ち株会社として、the British Nuclear Fuels plcが設立された。[4] 新しいグループは、British Nuclear Groupの主要な子会社を通じて運営する。
- 原子力廃止措置機関(The Nuclear Decommissioning Authority/NDA)が設立された。NDAは、廃炉コストの最小化に集中する自由をBNFLに与えるために、BNFLの核施設を既に管理している。しかしながら、費用を更に削減するために廃炉事業は入札で行うことになり、BNFLはその子会社であるBritish Nuclear Groupを通じて、数多くの廃炉事業者のひとつとして入札に参加することになるとみられる。
- 2005年7月 BNFLは、ウェスチングハウスを18億米ドル(10億ポンド)で売却すると発表。東芝やジェネラル・エレクトリック(GE)社、三菱重工業など数社が入札して、東芝が50億米ドル(28億ポンド)で落札したと、1月23日付けファイナンシャルタイムズが伝えている。東芝は2006年2月6日に、ウェスチングハウス・エレクトリックを54億米ドルで買収し、その少数株式を投資家に売却予定であることを公表した。[5]
- 2006年2月3日 子会社のBNG AmericaをEnergy Solutions社に売却すると公表した。[6]
- 2006年3月 BNFLは、英国原子力グループ(British Nuclear Group/BNG)を売却する意向を明らかにした。ウェスチングハウス・エレクトリックやBNG AmericaそしてBNGの売却によって、BNFLに効果的に幕を降ろさせることになる。BNFLのCEOであるマイクパーカーは、「これから2007年の終わりまでに、BNFLの企業センターの役割は小さくなるだろう」と述べた。[7]
- 2006年8月22日 BNFLは、BNGを細かく分割して売却することを発表した。
- 最初に売却するのは、いくつかのプロジェクト事業と、核専門家によるコンサルティング業務、AWE経営の株式の1/3である。Atomic Weapons Establishment(AWE)は、イギリスの核抑止力の製造と保守を担っている。[8]
- 2006年7月 イギリス政府は、英国国立原子力研究所(NNL)で研究開発を進めていくと発表した。10月に英国経済産業省国務長官アリステアダーリングは、NNLの設立を発表した。
- 2007年1月 BNFLの研究開発部門(R&D)は、事業を完全に商業化するためにNuclear Sciences and Technology Services(NSTS)に改編された。広範な原子力産業の再編に続いて、Nexia SolutionsがNSTSの外に作られた。
- 2007年6月 BNFLは、原子力廃止措置機関(NDA)の下でマグノックス炉の原子力発電所を運転してきた事業を売却すると発表した。[9]イギリスのすべてのマグノックス炉の原子力発電所は、2010年までに運転を停止する。
MOXペレット製造時の不正および問題
- 関西電力の高浜原子力発電所でプルサーマルを行うために、1999年から2000年にかけてBNFLで製造したMOX燃料の抜き取り検査で、BNFLが品質保証のために必要な燃焼ペレットの外径測定を行わずに測定データを偽装するという不正があった。[10]
- 更にその不正調査の過程で、調査を混乱させるためにBNFLの作業員が故意に燃料棒に異物を混入させるという事件も発生した。
- その結果、使用を中止し、2002年に当該核燃料をBNFLに返送した。
- これにより、日本のプルサーマル計画は大きく遅延することになった。
事業所
thumb|250px|BNFLの18事業所(イギリス国内) イギリス国内にあるBNFLの18事業所(廃止したものを含む)は、以下の通り。
- バークレイ事業所 (1989年廃止)
- ブラッドウェル事業所 (2002年廃止)
- カルダーホール (2003年廃止)
- カペンハースト事業所
- チャペルクロス原子力発電所 (2004年廃止)
- ダレスブリ事業所、本部
- ドリグ事業所
- ダンゲネス原子力発電所 (2006年廃止)
- ヒンクレイポイント原子力発電所 (2000年廃止)
- ハンターストン原子力発電所 (1990年廃止)
- リトルブルック事業所
- メイエントウログ事業所
- オールドブリ事業所
- リズレイ事業所
- シェラフィールド事業所
- シズウェル原子力発電所 (2006年廃止)
- スプリングフィールド事業所
- トラスフィニド原子力発電所 (1993年廃止)
- ウィルファ事業所
関連事項
- en:Nuclear power in the United Kingdom
- en:Energy policy of the United Kingdom
- en:Energy use and conservation in the United Kingdom
- 英国原子力公社
- 英国原子力公社警察隊
注釈
- ^ “BNG America is launched”. British Nuclear Group. (2005年4月19日) 2006年8月25日閲覧。
- ^ “Risk Management: The Nuclear Liabilities of British Energy plc” (PDF). National Audit Office (2004年2月6日). 2006年8月25日閲覧。
- ^ "BNFL to Acquire Nuclear Business of ABB" (Press release). BNFL. 29 December 1999. 2006年8月25日閲覧。
- ^ “BNFL Annual Report and Accounts 2005” (PDF). British Nuclear Fuels plc. pp. 3 (2005年). 2006年8月26日閲覧。
- ^ “Toshiba buys BNFL firm for $5.4bn”. BBC News. (2006年2月6日) 2006年8月25日閲覧。
- ^ “BNG America to Join EnergySolutions”. BNG America. (2006年2月3日) 2006年8月25日閲覧。; see also Jameson, Angela (2006年2月3日). “BNFL sells American nuclear business for $90m”. The Times
- ^ Jameson, Angela (2006年7月4日). “BNFL to be wound up by end of 2007”. The Times 2006年8月25日閲覧。
- ^ Griffiths, Katherine (2006年8月23日). “Anger as nuclear sell-off is shelved”. Daily Telegraph 2006年8月25日閲覧。
- ^ “BNFL sale of reactor sites business”. Nuclear Engineering International. (2007年1月12日) 2007年1月31日閲覧。
- ^ 関西電力「プルサーマル計画の実施に向けて~MOX燃料の品質保証~」2007年11月。