経穴
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経穴 (けいけつ) とは、中医学、漢方医学の概念で、体表の特定の部位に指圧、鍼、灸で刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和をはかるものである。一般にはツボとも呼ばれる。武術では活殺点とも言う。
概要
経穴は、もとは中国の中医学に由来し経験的な知見により見出されたものである。重要な神経・血管・筋走行上に位置したり体性-内臓反射等で医学的関連があり、現在ではWHOにおいても治療効果が認められている[1]。しかしながら、背中にある兪穴抔をのぞくと、経穴名はあまり臨床には役立たっておらず、経穴の実体や作用の仕組みに関して解明されていない。
中医学、漢方医学的説明では、経穴は「気と血」のエネルギーの通り道であるといわれる経絡上にあって、気血が出入りし、経絡が合流したり分枝したりする経絡状の重要なところである。一般的にはツボと呼ばれ、また「穴(けつ)」とも呼ばれるように、熟練した鍼灸師が触診すると、微細な陥凹部としてとらえられる。鍼灸で診断や施術をする重要な部位である。禁鍼穴・禁灸穴と呼ばれる、施術が禁止されている経穴もある。
皇甫謐の『鍼灸甲乙経』では経絡上に配置されている。楊継洲の『鍼灸大成』で理論的に書かれた。王執中の『鍼灸資生経』ではツボの部位とその主治、鍼灸法や取穴と治療法などが記載された。
経穴の種類
経穴には正穴と奇穴があり、正穴は14本の経絡(任脈、督脈と12正経)に属し、滑寿の『十四経発揮』によると354穴が全身に存在する。WHOでは1989年、奇穴のうち7穴を14正経に所属させて361穴とした。奇穴も250穴以上ある。現在、欧米ではアルファベット2字と数字で経穴を表している。たとえば足三里穴はST36である。一方、日本や中国、台湾などでは、昔ながらの漢字による表記がなされている。
経穴の場所の多くは関節、筋溝、腱上、腱下、骨縁、骨端、骨孔、動脈の上や静脈の上、神経の上部にあたる部分に存在しており、実際に取穴した際に指頭を使って経穴部位を確認する。疾病の際にその部分に様々な病態変化が起きるので指頭で探ることにより圧痛があったり、特異な響きが出ることがある。これを内臓皮膚体表反射という。逆に鍼灸等を用いて刺激することにより治療を行ったときに出る現象を皮膚体表内臓反射という。
日本の経穴学とWHO方式
経穴の場所については日中韓で92個のその解釈に微妙な相違が存在した為、2003年からWHO経穴部位国際標準化公式会議が日中韓をはじめとした9カ国2組織が参加して開かれ、2006年に経穴の場所が統一された。[1]
日本の鍼灸養成施設(海外の鍼灸養成施設はWHO方式を採用)で用いられている経絡経穴の教科書は、古法に基づいて行おうということでWHO方式ではないが、2009年からは世界基準に従い、日本の鍼灸養成施設でもWHO方式を採用する事が決定した。
なぜ手と足の経穴が効くのか
ツボ療法の原理は、ツボと内臓との関係から考えられる。ツボとは内臓の疾患が、皮膚の表面への反応として敏感に出てきた所であるといわれている。つまり、このツボを刺激すれば、内臓への働きかけが可能ということになる。 このように体の表面と内部の病態との関係を多くの実例から究明したものをツボ理論という。ツボを刺激すると、それが、脊髄や中枢に伝えられ、それを受け取った中枢はさらに、その先の末梢神経、つまり指先へ刺激を伝えていく。逆にいえば、指先を動かすことによって気血経絡を通して各ポイントを刺激することになり、全身の血行を正常化する。つまり、血液の循環がよくなり、頭の回転が促進され、血液が体のすみずみまで行き届くことになる。したがって、ストレスが自然に解消され、内臓を丈夫にするといわれている。
関連項目
- 経絡秘孔(「北斗の拳」という漫画に登場する、少林寺拳法の攻守用138箇所の経絡秘孔に対する羅漢圧法という実在する活殺自在の技法に由来する架空の経絡もの)
- キム・ボンハン学説 - かつて北朝鮮の医学者金鳳漢(キム・ボンハン)により研究論文『経絡の実態に関する研究』で発表された学説。経絡や経穴の実体である器官「ボンハン管(複数のボンハン小体の連結による連続体)」がリンパ管の内側に存在し全ての経穴に繋がっているとするボンハン学説を発表したが、その器官の存在が確認出来なかったばかりか、金自身が当時粛清目前だった甲山派に近かったこともあって北朝鮮の公式記録から同氏の功績記録ともども抹消された。同氏が存命の内から、他者による検証も試みられたが発見には至らず、現在では俗説とされている。
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