気功

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気功(きこう)は、中国伝統の民間療法、代替治療である。それまで呼び名が様々で統一されていなかったところを1957年に劉貴珍が『気功療法実践』を著し、「気功」という統一された名が一般に定着した。[1]

中国での状況[編集]

中華人民共和国では中医学経絡理論などと結びついて、健康法として太極拳と同様公園などで広く行なわれていた。 また、一定の医療効果を上げてきたので、中国では病院や療養所などで気功科を併設している場合もある。そうした、医療健康面での功績のために、布教活動が禁止されている中国の中でも、気功と言えば宗教的な色彩のものでも容認される傾向が生まれ、1980年代以降、新しい宗教気功が次々と現れた。その結果、中国政府は、中国共産党に批判的な法輪功を弾圧し、1999年法輪功事件に至った。

法輪功事件以後、集団で気功をすることの規制が厳しくなり、95年以降中国国内の気功団体は一部を除き皆解体させられ、現在の中国では治癌功法として知られる郭林新気功など一部の公認グループを除いて公園で気功をしているのを見なくなった。中国では現在、健身気功という政府公認の気功を編集している。

近代中国気功の成り立ちとして、中国人・因是子日本調和道岡田式静座法などを評価、研究した事を以って、日本から多大な影響を受けたとする向きもあるが、個人の研究を中国気功全体にあてはめるのは、やや拡大解釈にすぎると言える。

世界医学気功学会[編集]

世界医学気功学会は気功が発祥した中華人民共和国の政府から世界で唯一認められている医学気功の振興と研究のための学会である。1989年11月16日に設立された。全世界で20数カ国の気功師と気功を研究する医師や科学者、気功の愛好者が参加している。本部は中国北京 北京中医薬大学内にある。

1993年、中国人気功師による施術中に患者が死亡する事故が連続、この気功師は逮捕され有罪判決を受ける[2] [3] [4]

日本・台湾の状況[編集]

日本台湾では中国と交流が深く、気功各派の自由な交流があり、武術、健康法や民間体育、各国の伝統療法、現代の臨床心理療法などとも結びつきながら、様々に深化発展している。

日本の状況[編集]

日本ではスピリチュアル思想や苫米地英人に端を発するアファメーションスコトーマコーチングなどの用語でもって気功が語られる向きが多く、また多くの日本人もそういった概念でもって気功を理解しようとする風潮がある。そのほかに西洋のスピリチュアルヒーリングや日本の手当て療法などを学んだ者がそれらの知識をごちゃまぜにして気功を名乗り論じることが多い。

そういった視点から論じられる気功は主に成功法則願望実現などの自己啓発のためのツールとして注目されることが多い。

そういった風潮により気功の基本である健康を維持し管理するという方向性の機運は近年の日本においては下火である。上記のように自己啓発などの気による情報操作のみがクローズアップされており、全てをそれですまそうとする風潮にある。

一方で主に日本で中国武術を行う者たちは逆に気功に対して目に見えるフィジカル的な解釈とアプローチばかりになっている。武術を嗜好する日本の修行者は近年日本でおこった甲野善紀に端を発する体の使い方ブームに非常に影響を受けており、武術気功もまたそのカテゴリーの中に当てはめて解釈しようとする。古武術ブーム以前においても、中国武術を論じる際にを関連付けて語る事は神秘主義を冗長する妄想気質の非実用的なものであるという風潮が主流であった。そのため、散打表演武術に特化した嗜好の人間が中国武術を論じる風潮が主流だった。

以上のように日本では中国本土の方法そのままで気功を行うということが非常に困難な状況にある。自分たちの方法で必ず解釈し直して気功を行ってきた歴史がある。

その理由として現代の日本では文化的背景として陰陽五行の思想で気功を理解しようとする事がない点があげられる。針灸や漢方などの代替療法が陰陽五行の気の概念と関係しており、気功もまた本来そういった代替療法の仲間であるという認識が少ない。

故に日本に気功が広まってから数十年が経つ現代でも未だに、気功というと怪しげな「人を吹っ飛ばす物」という類のイメージしか一般人には浸透していない状況にある。

気功の分類[編集]

気功は、主に体内に「気」を循環させ「気」の質やコントロールする能力を高める内気功と、身体に必要な「良い気」を外から体内に入れ、身体に合わない「悪い気」を体外に排出させるなど「気」の積極的な交換を行う外気功とに大別される。ある種の気功師による外気功は、ときに超能力的なものとして捉えられる場合もある。

美容や病気の治癒も含めた健康面に関する気功を軟気功、護身術など相手を倒したりするものを硬気功と分類するのは日本独自のものである。

中国において軟気功、硬気功という言葉はなく、軟功と硬功という言葉しかない。軟功は体を柔軟に柔らかくすることを目的とした気功、硬功は体を強く固くする目的の気功であり、それが日本で誤解されて伝わり広義の意味で用いられるようになった。

他に、法術(祝由十三科)と分類される気功法がある。これは、古くは巫術とよばれ、道教仏教など宗教でも利用されてきた、「気の情報」を読み取り、または変化させることで病気の治癒や問題の解決を行う気功である。

気功が発祥した中国では数千種類の気功法が存在するといわれており、その練功法についても、体操呼吸法イメージ・トレーニング瞑想のようなもの、それらを併せたようなものなど、気功によって多種多様である。

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気は目には見えないが何らかの働きのあるものととらえることができる。伝統中国医学では気血と言えば、具体的に体を巡っているものと考えられ、西洋医学血液血管を巡るのと同様に気は経絡を巡るものと考えられている。鍼灸治療はそうした気血の巡りをよくすることに主眼がある。気功の気は、明らかにこうした中医学の「気」のニュアンスを強く持っている。実際には、気は体内に、ある変化として感覚されるものを指すことが多い。そうした気の感覚のことを気感という。また、気は伝わる性質を持つ。例えば人から人へと瞬時にある状態が伝わる。そうした現象を利用して外気治療などが行われることがあるが、あくびや笑いが伝染するように、そうした気の現象は日常生活の中に常にある。また、公園で樹木と向き合ったり、海辺で波を感じたりしながら、自然界の気と交流することも気功ではよく行われている。気功の修練を積んだものは、気を目視することができるようになるという[要出典]

気とは[編集]

気功の気に限らず、中国由来の風水針灸、按摩などの気の定義は全て陰陽五行思想に由来する。故に気とは何かという問に対しては第一に陰陽五行の理論に準ずるべきである。

その定義に基づけば気はこの世の全てのエネルギーの総称であり、またそのエネルギーを集めたり散じさせる力もまた気であると定義できる。

現代科学と気[編集]

気の正体を探るために近年行われた研究は多くが現代科学の測定器で気を測定するといった類ものである。故にそれぞれの実験により、時に磁気であったり電気であったり赤外線であったりする。それをもってして気の正体を論じるのは不可能であり、また陰陽五行の定義に準ずれば測定できたもの全てが気である。

故に気の正体を測定器による実験で明らかにするということは、万物すべてのエネルギーの総称であるという定義に基づけばその一部を検出するだけに過ぎず無意義である。

重要なのはそれらの気を気功師などの人間が意図的に動かせるか否かという事であり、上記のような近年行われた様々な実験でその点において興味深い結果が出ているにもかかわらず、研究の方向性が気の正体を探るという方向に向くのは根本的に気功を理解していないと言える。

そういった視点において近年ようやく乱数発生器の測定による量子と人間の意識の関係性の研究が着手された事は気功の気の研究がようやくスタートラインに立ったと見ることも出来る。

催眠、療養と気功[編集]

気功による治療、外気功は暗示による催眠効果、偽薬効果であるという主張する向きもある。しかし、外気功による幾つかの実験では被験者の視界の外、つまり被験者に気付かれない所から外気功を行なっても気功の効果があったという事例もある[要出典]イメージ・トレーニング、自己催眠の自律訓練法トランスパーソナル心理学と気功は共にある種の感応現象を利用して無意識の変化を促すという部分で非常に近い面がある。

タッチセラピー[編集]

ニューヨーク大学看護学教授のデローリス・クリーガーが中国から伝わる「気功」を基本にタッチセラピーを開発し、手術の補助手段として用いた。タッチセラピーの創始者であるデローリス・クリーガーは、セラピューティック・タッチの効用を実証したことに対して1998年度のイグノーベル科学教育賞を受賞した[5] [6] [7]

錬功[編集]

錬功(れんこう)とは、気を練ること。練功とも書く。気功の修行は練習とは言わず錬功という。気功では難しい動作ではなく単純な動作を繰り返し行い、気を鍛錬する日々の積み重ねが大事とされる。功とは積み重ねた功夫のことである。

気の見方[編集]

気は修練を積めば、誰にでも見えるものだと言われている[要出典]。次に紹介する方法で確認できるかもしれない。

  1. 部屋をやや暗くして、白い壁に向かって両手の手の平をかざし、手の甲を自分に向ける。
  2. 五本の指をすべて伸ばし、左手の中指と右手の中指を向かい合わせるようにする。
  3. 指と指の間を1cm位離して、視線は指ではなく指と指の間を見るようにする。
  4. そのまま、30秒ほど見つめ、視線は動かさず、両手を左右に広げる。
  5. 慣れてくると、両手の指先から気が放出しているのが見えるようになる。

ただし、この方法によって見えるのが本当に「気」であるのかどうかは不明である。残像効果も参照のこと。

関連項目[編集]

出典・脚注[編集]

  1. ^ 気を知らなければ―気功入門・立禅のすすめ 東京図書出版会 (2002/06)
  2. ^ カール・セーガン 『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』 青木薫訳、新潮社1997年9月20日ISBN 4-10-519203-5
  3. ^ カール・セーガン 『人はなぜエセ科学に騙されるのか』上巻、青木薫訳、新潮社、2000年11月。ISBN 4-10-229403-1 カール・セーガン 『人はなぜエセ科学に騙されるのか』下巻、青木薫訳、新潮社、2000年11月。ISBN 4-10-229404-X
  4. ^ カール・セーガン 『悪霊にさいなまれる世界 「知の闇を照らす灯」としての科学』上巻、青木薫訳、新潮社〈ハヤカワ文庫NF356〉、2009年7月。ISBN 978-4-15-050356-7 カール・セーガン 『悪霊にさいなまれる世界 「知の闇を照らす灯」としての科学』下巻、青木薫訳、新潮社〈ハヤカワ文庫NF357〉、2009年7月。ISBN 978-4-15-050357-4
  5. ^ ロバート・L・パーク 『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか――インチキ!ブードゥー・サイエンス』 栗木さつき訳、主婦の友社2001年4月20日ISBN 4-07-228921-3
  6. ^ ロバート・L・パーク 『わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか』 栗木さつき訳、主婦の友社、2007年10月。ISBN 978-4-07-258980-9
  7. ^ マーク・エイブラハムズ 『イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!』 福嶋俊造訳、阪急コミュニケーションズ、2004年3月。ISBN 4-484-04109-X
  8. ^ 「このジュース甘くな~れ」ハンドパワーで被害多発のアースハート、被害者による集団訴訟第1陣が結審 カルト新聞、2013年12月13日
  9. ^ ハンドパワーに「裏付けなし」 福岡の会社に賠償命じる朝日新聞デジタル 3月28日
  10. ^ A Close Look at Therapeutic TouchLinda Rosa, BSN, RN; Emily Rosa; Larry Sarner; Stephen Barrett, MD

外部リンク[編集]