粘度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。121.2.195.54 (会話) による 2012年4月24日 (火) 07:32個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎動粘度)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

粘度
viscosity
量記号 μ, η
次元 M L −1 T −1
種類 スカラー
SI単位 パスカル秒 (Pa·s)
CGS単位 ポアズ (P)
MKS重力単位 重量キログラム秒毎平方メートル (kgf·s/m2)
テンプレートを表示
動粘度
kinematic viscosity
量記号 ν
次元 L 2 T −1
種類 スカラー
SI単位 平方メートル毎秒 (m2/s)
CGS単位 ストークス (St)
テンプレートを表示

粘度(ねんど、英語:viscosity)は、流体のねばりの度合である。粘性率粘性係数とも呼ぶ。

粘性のある液体を間にはさんだ面積 S の2枚の平板を相対速度 U で平行に動かすと、動いている方向と反対方向に剪断応力(摩擦応力ともいう) τが発生する。平板の間隔をh、液体と板の間に発生する力をF と置くと

と表現される。μは(動粘度と区別するために) 絶対粘度という。量記号にはμのかわりにηを用いることもある。

これをもう少し一般化して記述する。剪断応力は単位時間当りの剪断変形率に比例する。面と垂直方向にy軸を取り、面の進行方向の速度流体の速度をuと置くと、

と表現される。これをニュートンの流体摩擦法則という。

また、粘度μが一定の流体をニュートン流体と呼ぶ。

SI単位はPa·s(パスカル秒)である。CGS単位系ではP(ポアズ)が用いられた。

動粘度

粘度は、毛管粘度計など、細い管のなかを自重で通過する速度(時間)によって比較できるので、絶対粘度を密度で割った動粘度動粘性係数ともいう)が指標として用いられる。

単位はSIでは m2/s であるが、cm2/s = 10−4m2/s = 1 St(ストークス)も使われる(即ち、1 mm2/s = 1 cSt(センチストークス))。工業的にはセイボルト秒も使われる。

潤滑油では、粘度指数 (VI) で、高温・低温の粘度を規定している。

液体の粘度は温度が上昇すると低下する。気体の粘度は温度が上昇すると上昇する。

固体から液体への転移は粘度の急激な低下という見方もでき、ガラスのように、粘度で軟化温度などを定義することもある。

粘度の例

1 P(ポアズ) = 100 cP(センチポアズ) = 0.1 Pa・s(パスカル秒)

粘度の例
粘度 / Pa·s
4.5×106 ガラスの軟化温度の定義粘度、自重で1mm/minの速度で伸びるぐらいの粘度
104 ガラスの流動温度の定義粘度、ガラス成形作業の目安の粘度
8 マヨネーズ
0.5–1 20℃の潤滑油
0.001084 25℃のエタノール
0.000890 25℃の
1.8×10−5 20℃の空気
0 超流動状態のヘリウム

英語版に0℃のいくつかの気体・液体についての粘度のデータがあるので参照されたい。

関連項目