灰色

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灰色
はいいろ
 
16進表記 #808080
RGB (128, 128, 128)
CMYK (0, 0, 0, 50)
HSV (0°, 0%, 50%)
マンセル値 N4.5
表示されている色は一例です

灰色(はいいろ)は物を燃やした際に出るのような。例えば、の着色材(colorant)の混合によって作ることができる。無彩色と呼ばれるが、普通は若干の色味を有する。

さまざまな灰色

黒と白の配合の割合の違いで、さまざまな明度を持つ色が作ることが出来るが、その混色系がすべて極めて彩度の低い色になるとは限らない。黒色の着色材には様々な足色があり、白色の着色材を加えるに従い、色味を現す。千々岩英彰は、白色絵具と黒色絵具の混合物は「中性の灰色ではなく,青みを帯びて見える.」[1]としているが、良く知られるように黒色顔料足色は多様[2]であり、この表現は一面的である。

反射率50%の灰色は、視覚的には黒に近く見える。マンセル表色系では、明度5を反射率19.27%としている。マンセル表色系における灰色の決定には、二分法、大距離法と呼ばれる比較的新しく考案された知覚尺度構成法が用いられた。なお、以下に挙げるパーセンテージは反射率そのものではない。

さまざまな灰色
16進トリプレット  #1a1a1a #333333 #4c4c4c #666666 #808080 #999999 #b2b2b2 #cccccc #e5e5e5
HSBにおけるB  10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

灰の色料

先述のように、灰色の着色材には普通、黒色顔料と白色顔料を用いて、灰色顔料は用いない。市販の灰色の絵具はしばしば、黒色と白色以外にも有色顔料を含む。

スレート粉 Slate Powder

単独で灰を呈色する顔料は殆ど存在しないが、天然スレート粉を挙げることが出来る。練成に時間の掛かる顔料である。天然スレート粉は、ヘンリー・デービスが考案した、デービスグレーとして知られる。ただし、天然スレート粉は品質が一様ではなく管理が困難であり、現在では別の顔料によって色出しするなどの対策が採られている。なお、セメントから作られるスレート板は、粉砕しても顔料の適性を具えない。

灰色に関する事項

  • 灰色は、白と黒の中間に位置する色であり、峻別のはっきりしないもののたとえとして用いられる。「灰色決着」などのように使われる。
  • 曇り空のことを、見た目から「灰色の空」とも表現する。
  • 犯罪の容疑者について、有罪のことをクロ、無罪のことをシロとし、疑わしいが証拠が十分ではない場合を灰色(またはグレー)と表現する。
  • 女性の衣料品、ストッキングのカラーとしても使われているが、着用率は黒より低い。
  • 葬儀香典袋に書かれる「御霊前」の文字は、遺族の悲しみが早く薄まるようにとの願いを込めて(あるいはあまりの悲しみに涙で墨も薄まるという意味で)、薄墨によって書く。薄墨の色は灰色である。喪中はがきなどでも、灰色(または銀色)の枠でかこったデザインのものが使われる。またこの連想から、テレビなどでは死亡記事のタイトルやイメージカラーを灰色にするケースが多い。
  • 灰色のうち、入力光を18%反射するものは標準反射板として、銀塩写真等の露光基準として利用されている(ホワイトバランス)。
  • ネズミの色に似ていることから日本では「鼠色」とも言われ、江戸時代初期から様々な色彩を微妙に持たせた派生色が考案された。あいまいな灰色はあらゆる色に通じ得る“いき”な色とされ、江戸時代から明治時代にかけ好まれた。
  • イギリス英語: greyアメリカ英語: grayと表記する。
  • ミヒャエル・エンデの作品「モモ」に登場する敵役組織「時間貯蓄銀行」の所属者たちは、服も体も灰色ずくめの姿をしており「灰色の男」と呼ばれる。
  • 日本の鉄道では、旧国鉄地下鉄直通の鋼製通勤車や関西本線阪和線113系などの地色に、薄い色あいで採用されていた(前者は灰色8号、後者は灰色9号)。
  • 日本では、容器保安規則第10条で、特別な定めのないガス酸素水素二酸化炭素アンモニア塩素アセチレン以外)は、ボンベをねずみ色に塗装することに定められている。

近似色

関連項目

出典

  1. ^ 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001/4 ISBN 4130820850
  2. ^ 『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994/5(新装普及版) ISBN 480550286x

参考文献

  • 『色彩学概説』 千々岩 英彰 東京大学出版会 2001.4 ISBN 4130820850
  • 『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994.5(新装普及版) ISBN 480550286x
  • 『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997.4(新装普及版) ISBN 4805502878
  • 『絵具の事典』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997.1 ISBN 4805503173 ISBN 978-4805503171