満月

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満月

満月(まんげつ)とは、太陽黄経差が180度となること、あるいはその瞬間。これを(ぼう)ともいう。またこの時に見られる月の形をも指す。これを望月(ぼうげつ・もちづき)、盈月(えいげつ)ともいう。 月齢15日目の十五夜(満月)は、ほぼ日没とともに東の空に昇り、明け方には西の空に沈むが、これ以降は月の出がおよそ50分ずつ遅くなる(即ち新月では、太陽と同じく朝に出てきて夕方には沈む)。

天文

地球・月・太陽の位置関係。満月は5の月

満月の時、月と太陽は地球を間において反対側にある。これが完全に直線上に乗れば月食が起こる。満月の日周運動は春と秋、夏と冬を逆にした太陽の日周運動とほぼ同じである。日没頃に昇り、夜半に南中し、日の出頃に沈む。日本では、は南東から昇って低く南の空を横切る。は北に寄り、南中時の満月は天高く位置する。春分・秋分頃は真東あたりから昇り真西あたりに沈む。

満月の月相は14である。月齢は月と太陽の角速度が変動するため一定しないが、平均すれば14.8日(±1.0日、13.8日 - 15.8日)である。したがって、月齢0を1日とする暦(大部分の太陰太陽暦太陰暦)では、満月は平均して16日の朝7時ごろになる(この時刻はどちらかといえば16日の夜より15日の夜に近い)。このため中国暦では伝統的に15日の夜の月が満月とされ、また15日を望日と呼んだ。

地上と文化

満月のときは地形がよく見えるほど地上を明るく照らす。

満月はしばしば鑑賞の対象となり、月見が行われた。特に秋の満月は美しく、旧暦8月15日(中秋 / 秋夕)は、日本中国韓国などでは特別の日として年中行事が行われている。

満月には不思議な力があるとも、満月の夜には犯罪が増えるとも言われていて、これを証明するデータも存在しているとされる[1]が統計的には疑わしく、また機序はまったく不明である。

スーパームーン

地球を周回する月の公転軌道が楕円のため地球と月の距離は変化しているが、中でも地球に最も近づいたとき(近地点)に満月または新月を迎えることをスーパームーン (en:Supermoon) と呼ぶ。以下、満月時について解説する。

2011年のスーパームーン(地球から月までの距離:35万6577km)では、地球から最も遠い距離(遠地点・同約41万km)にあるときの満月と比較して14%大きく見え、30%程明るく観測された (NASA)。1950年以降では1955年1974年1992年2005年などに観測され、近年では2011年3月19日20日2012年5月5日6日と2年連続で観測されることから注目を集めている。また、特に最接近して近地点から前後1時間以内に満月を迎えることを「エクストリーム・スーパームーン」(Extreme Supermoon) と呼ぶ場合があり、およそ18年に1度の割合で観測できる(上記のうち1955年、1974年、1992年、2011年が該当する)[2][3][4]

元々は占星術の概念ということもあり、スーパームーンの時には大規模な自然災害や社会的な暴動など不吉なことが起こると一部で騒がれているが、実際には潮位の干満差が少し大きくなる程度で、これらの関連付けは科学的根拠がないものである[3][4]。ただし、深さ40km以内の比較的浅い地点で起こる地震については、月の引力により断層にかかる力が大きくなればなるほど地震が発生しやすくなるという学説が過去に発表されている[5][6]

注釈

関連項目

  • 狼男 - 満月の夜に人間から狼に変身する。もっともそれは20世紀以降に創作された設定であり、必ずしも一般的なイメージではない。
  • 月食 - 望のときに起こる現象である。
  • スーパームーン - 地球から近地点で満月や新月になる事象を指す。
  • 月光学会
  • 月 (暦)