樹木子

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樹木子(じゅぼっこ)は、水木しげるの著書を始めとする日本妖怪関連の書籍に記述のある怪木。

多くの戦死者の出た戦場跡地などに生えており、外観は一般の樹木と変わらないものの、死者の血を大量に吸って妖怪化しているために血に飢えており、通りかかった人を捕まえ、枝々を管のように操って人の血を吸うとされる。こうして人間の生命を吸った樹木子は、いつまでもみずみずしい姿を保っているのだという[1][2]

但し、柳田國男の『妖怪談義』や日野巌の『日本妖怪変化語彙』といった民俗学者による伝承妖怪関連の書籍・資料類には、樹木子なる伝承妖怪の名は見られない[3][4]。妖怪研究家の京極夏彦多田克己、作家の村上健司、SF作家の山本弘が会長を務めると学会といった専門家たちは、出典資料が存在しないことから水木の創作物であるとの説を唱えている[5][6][7]。水木は自身の漫画作品『ゲゲゲの鬼太郎』を通じて約30の妖怪を創作したと述べているが、水木の著書にある妖怪の内のどれが創作物に該当するかまでは明言していない[8]

脚注

  1. ^ 水木しげる 『図説 日本妖怪大全』 講談社〈講談社+α文庫〉、1984年、226頁。ISBN 4-062-56049-6
  2. ^ 草野巧・戸部民夫 『日本妖怪博物館』 新紀元社、1994年、166頁。ISBN 4-883-17240-6
  3. ^ 柳田國男 『妖怪談義』 講談社講談社学術文庫〉 1977年、196-216頁。ISBN 4-061-58135-X
  4. ^ 日野巌 『動物妖怪譚(下)』 中央公論新社〈中公文庫〉 2006年、221-314頁。ISBN 4-122-04792-7
  5. ^ 京極夏彦他 『妖怪馬鹿』 新潮社新潮文庫〉、2001年。342-342頁。ISBN 4-102-90073-X
  6. ^ 村上健司編著 『妖怪事典』 毎日新聞社、2000年、188頁。ISBN 4-620-31428-5
  7. ^ と学会 『トンデモ本の世界U』 楽工社、2007年、228-229頁。ISBN 4-903-06314-3
  8. ^ 水木しげる 『小学館入門百科シリーズ 32 妖怪なんでも入門』 小学館、1974年、17頁。ISBN 4-092-20032-3

関連項目