文 (通貨単位)

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(もん)は、漢字文化圏で使用される銭貨通貨単位である。日本では、ここから転じて長さの単位としても使用される。

概要

中国においてから南北朝時代にかけて初めて用いられたとされている。この時期には従来の五銖銭に加えて様々な政権で鋳造された大きさの銅銭が用いられ、しかも等価で混用された。このため、銭の枚数もしくは銭には必ず刻まれていた文(文様)を数えることで貨幣価値を計るようになった。やがて、銭の枚数を数える単位として「銭」もしくは「文」が出現し、それがそのまま貨幣単位としても用いられるようになった。6世紀に作成された賈思勰の『斉民要術』や北魏の年号が入った敦煌文書などに貨幣単位としての「文」が見られる[1]

日本には、銭の輸入と共に室町時代ごろから用いられる様になり、明治維新で新通貨単位・が導入されるまで続いた。中国大陸では、中華民国建国以降使用されなくなった。

江戸時代の通貨単位としては、1/1000(貫文)に相当する。元禄13年(1700年)のレートでは、1文は、金貨1/4000銀貨0.015に相当した。

19世紀の香港では1香港ドル(港元)の1000分の1を「香港一文」とし、銀圓0.72毫(0.024グラム)に相当した。「香港一千」に改称された後、使用されなくなった。

長さの単位

長さ単位としてのは、主として足袋など履物の大きさを表すのに用いられる。足袋などの寸法を計る際に1文銭が何枚並ぶかを目安としたことに由来する。

1文は約2.4センチメートルで、半文(はんもん 1/2文)単位で計測された。現在の靴の足長計測にはセンチメートルが用いられており、0.5cm単位で計測される。

ジャイアント馬場十六文キック及び三十二文ロケット砲はあまりにも有名であるが、馬場の本当の足の大きさは十四文で、馬場の靴がアメリカのサイズ表記で「16」となっているのを見た日本のプロレスマスコミが十六文と勘違いし、それが定着したものである。それ以来プロレス界では、「馬場の足の大きさ=十六文」というのが標準として定着し、馬場より足の大きなアンドレ・ザ・ジャイアントが十八文キック、馬場より足の少し小さいジャンボ鶴田が十四文などと呼ばれるようになった。

脚注

  1. ^ 宮澤知之『佛教大学鷹陵文化叢書16 中国銅銭の世界――銭貨から経済史へ』(思文閣出版、2007年)ISBN 978-4-7842-1346-7 第6章《貨幣単位「文」「貫」の成立》