拡張パック

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拡張パック(かくちょうパック)とは、元からある物に対して新たな機能や効果を添付する物のこと。製品によっては拡張パッケージアペンドディスクパワーアップキット、アドオン(アドイン)など、名称が異なる場合もある。プラグインという名称のものも一部あるが、「プラグイン」の定義から考えると誤用と言える。英語圏のソフトウェアの場合「Expansion Set」( - pack 等)と表現するのが普通である。なお、前述した「アペンドディスク」はここで述べる拡張パックとは使用方法が若干異なるため、そちらを参照されたし。ハードウェアに関する拡張については拡張性の項目を参照。

概要

拡張パックは様々な分野でも使われる言葉だが、基本的にパソコンソフトパソコンゲームの分野で使われることが多い。

パソコンゲームの場合で言う拡張パックとは、いわゆるメーカー公式のMODであり、新しいステージやシステム、ゲームバランスの改変など、ゲーム本編の機能を文字通り拡張する事にある。元からあるゲームシステムをそのまま流用する事で本編発売後、わずか数ヶ月、低コストで製作できることもあり、近年では「ゲーム本編の後日談」といった、いわゆる続編に該当する作品についても完全新作という形をとらずに拡張パックとして販売される傾向にある。ただし、ベースに同じシステムを使って作られたソフトウェアであったとしても、単体で動作する場合は拡張パックとは呼ばない。

ゲームソフトウェア以外の分野でも拡張パックが発売される事もあるが、基本としてツール類で後付けでシステムの大幅変更や追加を行う場合は新規パッケージとして発売されることが多く、大半は純粋に拡張パックと言う形ではなく、旧世代ソフト購入者に対して販売価格を優遇するサービス等で代用を図るケースが散見される。

また、OSソフトウェアでは一定シーズンごとに大規模な拡張パッチがリリースされる事も多いが、それがリリース以後無料で提供され、なおかつ後発の同等製品にその変更内容が含まれ、さらにセキュリティ修正や動作安定上の観点から拡張パッチを導入する事を強く推奨されている場合、それはどちらかと言うと修正パッチであると言える。あくまで通常利用の上で必ずしも必要なく、追加修正部分に金銭的価値が含まれている場合に拡張パックの定義が当てはまると考えて良い。

拡張パックの使い方

ゲームを含めたパソコンソフトの拡張パックは元からある程度のデータがパソコン側に存在し、それを流用することを前提として作られているため、拡張パック単体では意味を成さず、元となるソフトが先にインストールされている必要がある。ただしそれが同一シリーズであったとしても、関係の無いソフトに対して拡張パックは適応できない。あくまで例え話とすると、「ドラクエ1」に「ドラクエ2」用に設計された拡張パックは適応できないことになり、当然ながらその逆も不可能である。

最近では新規ユーザー用に拡張パックの内容がすでに含まれた状態か、本体ソフトと拡張パックがセットになった状態で売られているソフトウェアもあるが 間違って拡張パック単体で購入してしまう可能性もあるため店頭では含まれる内容について十分に留意する必要がある。

拡張パックと通常のアップデートとの違い

コンピューターソフトでは問題点を修正するためにプログラムの修正ファイルがインターネット経由や、そういった環境が無い場合はCD-ROM等に入れられ、郵送で提供されることがある。しかし それらは拡張パックと言うよりも「パッチ」と言うほうが正しい。拡張パックはバグの修正を主な目的としたものではなく、システムを大きく改変したり、新しい機能を追加する事を主な目的として製作されたものが正式な拡張パックの定義と言える。

拡張パックの問題点

拡張パックはソフトウェアの大幅なアップデートを目的とした際、新製品として売りに出すよりも販売価格が安く抑えられ、無の状態から作り出すよりも圧倒的に制作費が抑えられるためソフトウェア販売手法の一つとして多用されがちだが、例えばコンピューターが不具合を起こしてハードディスクフォーマットしなくてはならなくなった時、OSを再インストールした直後は、他のソフトウェアについてはなにもインストールされていない状態になるため、それぞれ必要なソフトウェアをインストールしなくてはならない。こうなると本体ソフトをインストールした後、拡張パックを再びインストールをするという二重手間がとられ、鬱陶しいことになってしまう。

最初から本体ソフトウェアの内容が含まれ、本体のシリアルナンバーと拡張パックのシリアルナンバーを入力すれば一度のセットアップでインストールが終了するソフトウェアも存在するが、稀である。このため、ツール系のソフトウェアはある程度 拡張バージョンアップが繰り返されると 新規で最新パッケージを購入するという人も少なくはない。

その他の分野の拡張パック

カードゲームの「拡張パック」

トレーディングカードゲームでは、一般的なトランプで遊ぶゲームとは違いルールが複雑な傾向にあるため、購入したらすぐにゲームが始められる状態になっているスターターパックと、スターターパックよりも枚数が少なめになっている「拡張パック」と言うものに分けて販売されている(基本的に拡張パックのほうが割高である)。大多数のスターターパックは一パックあたりの封入量が多く、一パックあたりの値段が高めになるが、逆に拡張パックは枚数が少なく、手軽に購入できる価格設定になっている場合が多い。一般的に 新しいカードが追加されるときは同時に数百枚の新しいカードが追加され、今まで販売していたスターターパックや拡張パックに新しいカードが追加されるのではなく、それら新しいカードを一つのグループにする形で拡張パックシリーズが発売される傾向にある。この場合、新作と旧作で含まれる内容はまったく異なるが、従来シリーズと併用して使える場合が殆どであるため、小売店では新作と旧作が混在された形で販売されるのが通常である。基本的に拡張パックは封入枚数が少ないだけで、ゲームプレイに必要な規定数だけ購入すれば必ずしもスターターパックを購入する必要は無い。ただしそのカードゲームのルールによって、拡張パックを買い集めるだけではゲームプレイに必要なカードが絶対に入っていないなど、正式なゲームをプレイできない場合もある。

ニンテンドウ64の「拡張パック」

任天堂が発売していた家庭用ゲーム機「ニンテンドウ64」では、周辺機器として追加のメインメモリが販売されていた。この周辺機器は当初 「ハイレゾパック」という名称であったが後に変更され「メモリー拡張パック」と名称が改められた。容量は4MB、本体に直接差し込んで使用する。メインメモリを増やすため従来の対応していないゲームソフトには基本的に影響が無く、むしろ映像処理能力などが向上する場合もある。

関連項目