打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(うちあげはなび、したからみるかよこからみるか)は、1993年にフジテレビで放送された岩井俊二監督のテレビドラマ作品。また、1994年に公開された映画作品。
概要
この作品は当初、テレビドラマシリーズ『If もしも』の一作品として1993年に放送された。同年、テレビドラマとしては異例の日本映画監督協会新人賞を受賞。
その後オープニングやタモリの出演シーンをカットした再構成されたバージョンが、翌年に映画として劇場公開された。
当時は若手のテレビドラマ監督・脚本家であった岩井俊二の評価と知名度を一気に上げ、映画製作に進出させるきっかけとなった作品である。
なお、その映像は、色調の調整などを使ってフィルムらしく見せる手法(フィルム効果、あるいはF効果と呼ばれる)を使って作成されており、これも当時ゴールデンタイムのテレビドラマとしては非常に珍しかった。
「東日本大震災により大きな被害を受けた本作のロケ地と東日本復興への願いをこめて」と、2011年8月31日まで無料で動画配信されている[1]。
あらすじ
小学生の典道と祐介は仲の良い友達だが、実は二人とも同級生のなずなのことが好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて二学期から転校することになっているとは、二人には知るよしもなかった。 親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようと密かに賭けをする。 勝ったのは祐介か? 典道か? 勝負のあとから、異なる二つの物語が展開する。
音楽について
使われている楽曲は、全曲REMEDIOS(※麗美の別名義)によってこの作品のために書き下ろされている。
特に、主題歌として使われた『Forever Friends』は、作品のクライマックスとなるシーンで使用されていることもあり、放送直後からフジテレビにはこの楽曲のCD化の問い合わせ・要望が多くあったというが、放送時点ではCD化されておらず、1996年に発売されたCD『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? Soundtrack』に、放送から3年を経てようやく収録された。
撮影地
この作品の撮影はプロデューサーの原田泉氏がこのドラマのプロットを読みこの町以外にないと断言した飯岡町で実際に行われた。ロケは飯岡町以外に千葉県海上郡海上町(現在の旭市)でも行われた。
特に、典道となずなが電車を待つシーンで使われた飯岡駅、典道の自宅として使われた家などは、放送後数年間に渡り、この作品のファンが訪れる姿が見られたという。 この地はこの作品の大ファンである山崎貴氏が監督し2000年に公開された映画「ジュブナイル」の舞台にも使用された。
『If もしも』との関係
この作品が放送された番組である『If もしも』は本来、主人公の選択によってその後のストーリーがどう変化するかを見せるドラマシリーズであり、どちらかが主人公の空想であったりやり直しであったりしてはいけない、というルールがある。その意味では、この作品のシナリオは厳密には番組のルールから逸脱しており、『If もしも』側のスタッフは不満を示したと言われる。
また、岩井俊二が作成した初期の脚本段階での原題は『少年たちは花火を横から見たかった』であったが、撮影前に『If もしも』側のスタッフの強い意向により、現在のタイトルに差し替えとなった。これは、各エピソードのタイトルは『~するか、~するか』という形で統一するというルールが番組にあったためである。
このあたりのエピソードについては、1999年に発売されたドキュメンタリーDVD、『少年たちは花火を横から見たかった』内でも詳しく触れられている。
キャスト
- 典道: 山崎裕太
- なずな: 奥菜恵
- 祐介: 反田孝幸
- 和弘: ランディ・ヘブンス
- 純一: 小橋賢児
- 稔: 桜木研仁
- 三浦先生: 麻木久仁子
- マコト: 小山励基
- 典道の父: 山崎一
- 典道の母: 深浦加奈子
- 祐介の父: 田口トモロヲ
- なずなの母: 石井苗子
- 安さん: 酒井敏也
- 露店の客: 蛭子能収
- 中島陽子