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(けい、diameter)とは、図形の差し渡しの長さのことである。

円・球の径(直径)

、(3次元など、任意の次元の(超)球の径は、「その中心を通り、両端点が円周または球面上にある線分」の長さとして求まる。

径はこのような線分の取り方にはよらず一定で、半径の 2 倍である。そこで円や球においては、径のことを半径に対して直径(ちょっけい)とも呼ぶ。また、直径を与える線分のことも同じく直径と呼ぶことがある。さらに言葉の流用で、一般の径についてもそれを直径と呼ぶ場合もある。

円において、円周の長さと直径との円周率である。

一般の径

一般に、距離空間の部分集合(つまり図形)に対して、その集合に含まれる二点の距離の上限(閉集合では最大値に等しい)として径を考えることができる(上限が存在しないときには径は無限大とする)。つまり、d(x, y) で二点 x, y の距離を表すとき、集合 S の径 diam S

で与えられる。例えば、グラフ理論でいう「グラフの直径」とは、グラフ上の任意の 2 頂点間の距離(の長さ)の最大値である。

径が有限な値を持つとき、その集合は有界であるといわれる。ユークリッド空間の部分集合の場合、有界の定義は原点を中心とする十分大きな球にその集合が含まれることであるとしても同じことになる。

柱体の径

円柱などの柱体(特に細長いもの)、または区分的にそうみなせる物体(パイプ針金など)に対しては、断面の径を単に径・直径と呼ぶことが多い。

粒子の径

堆積学などで扱う場合には径Φは

Φ = -log2D

で与えられる(ただしD はmm)。これは粒子サイズには幅があり、対数表記が便利なためである。そのため、一般的なΦとは意味合いが異なる。

直径記号

製図における直径記号「まる」の使用例

製図などの分野では直径を表す記号として、ラテン文字Øに似た直径記号(まる)が用いられる。これは丸印○に、ゼロ0と区別をつけるための斜線を入れたものとされる。ギリシア文字Φとの字形の類似から「ファイ」と読まれることもある。パイと読まれることがあるがファイの聞き間違いからきたと思われる。JIS Z 8317では「まる」とされ、その後の改定で「ふぁい」という読み方も記載された[1]。直径記号はUnicodeのU+2300として登録されている。

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+2300 - ⌀
⌀
DIAMETER SIGN

脚注

  1. ^ JIS Z8317-1 2008 製図-寸法及び公差の記入方法-第1部:一般原則