希望小売価格

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希望小売価格(きぼうこうりかかく)とは、商品を製造するメーカー輸入する代理店など、小売業者以外の者が、自己の供給する商品について設定した販売参考小売価格

概要

元々は「定価」(ていか)または「正価」(せいか)といわれていたが、書籍などの再販価格制商品の「定価」と混同する恐れがあることから「希望小売価格」「参考価格」の表現に置き換えられた(「定価」の場合、地方における発売日の遅延等の理由があっても値引きや値上げは一切認められず、必ずこの値段で販売しなければならない)。

2000年頃からパソコンなど電気製品を中心に、希望小売価格の設定を止めてオープン価格に移行する商品が増加している。

希望小売価格は消費の対象とされていないので、必ずしも消費税を加算した総額で表示する必要はないとされているが、目安として消費者に理解してもらうため、税込にして表示する店舗も多い。 ※例:希望小売価格 10,290円(税別9,800円)

実売価格が希望小売価格を上回ってはならないという法的な強制力を直接規定したものではないため、高価格で販売すること自体には法律上問題はない(買占めなどをした上で価格を吊り上げた場合は違法となる[要出典])。

トラック物流さえ困難な山間部の観光地などでは、自動販売機での清涼飲料水等の販売でも、メーカー希望小売価格120円のところ販売価格150円・200円といった設定が存在する。これは、高い輸送コスト等を反映したものである。

なお流通・商業用語ではこれに相当するものを「上代」(じょうだい)といい、これに対して卸売における売価を「下代」(げだい)という。ただしこの場合は、上代はあくまでも末端の商店が店頭にて販売する上での参考価格であり、これは消費者には全く明示されず、商店側の経営努力次第でこれよりも安い価格を示しても良いし、または輸送や販売に掛かるコストを加味した上で上回る価格を示すこともある。消費者には示されない用語ではあるが、昨今ではインターネットを使って一般にも卸売りする業態もあるため、電子商店街の中にも「上代/下代」という表現を使っているところも見られる。

実売価格が希望小売価格を上回った実例

メーカーのHPやCM、広告などのメディアで希望小売価格が表示されている場合、「実売価格 ≒ 希望小売価格」(または 実売価格 ≦ 希望小売価格)と思われがちだが、一部の商品において実売価格が希望小売価格を大きく上回るケース(実売価格 > 希望小売価格)もある。ここで実売価格が希望小売価格を上回って発売された実例を列挙する(オープン価格の商品は除く)。特にプレミアの見込まれる商品や供給の追いつかない商品にあってはなおさら高価となる傾向がある。

ニンテンドーDS Lite

ニンテンドーDS Liteの発売元である任天堂のHPでは希望小売価格16,800円(税込)ニンテンドーDSは15,000円)と記載されているが、極度の品薄(即日で完売するほど)で需要や生産が全く追いつかない状態となっているのに便乗し、一部の店舗で20,000~25,000円前後で販売されていることがあった。現在は供給が十分になされ需要も落ち着いた為、多くの店舗で希望小売価格での販売となっている。

プレイステーション3

プレイステーション3の発売元であるソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の公式サイトでは 20GBモデルが49,980円、60GBモデルがオープン価格と記載されている。しかし初回の出荷数が極端に少なく、一時期生産が追いつかなかったことに便乗し、インターネットオークションリサイクルショップなどで20GBのモデルを60,000円強で、60GBのモデルを70,000円強(もしくはそれ以上)の高値で販売されたことがあったが、2006年末頃から次第に供給不足は解消され、供給過多に陥っていることもあり、希望小売価格通りに販売されるようになっている。

プレイステーション・ポータブル(バリュー・パック)

プレイステーション・ポータブル(バリュー・パック)の発売元であるソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のサイトでは希望小売価格26,040円(税込)と記載されており、品薄で需要が追いつかなかった頃40,000円前後で販売した店舗が複数あったが、現在では品薄はほとんど解消され、「実売価格 ≒ 希望小売価格」への落ち着きを取り戻している。初代モデルのバリューパックは、現在は生産終了。

関連項目