外村彰

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外村 彰(とのむら あきら、1942年4月25日 - 2012年5月2日)は、日本物理学者

人物・来歴

1942年、兵庫県西宮市生まれ。東京都立新宿高等学校を経て1965年東京大学理学部物理学科を卒業、日立製作所に入社した。同社中央研究所で電子顕微鏡開発に携わる。

電子線干渉による顕微鏡像を得る「電子線ホログラフィ」で先駆的な業績を挙げ、世界で初めて実用化に成功した。この成果を利用して、1982年、1986年にアハラノフ=ボーム効果の実験的な検証に取り組んだ。特に1986年の検証は、同効果の存在を証明する決定的証拠となっている。他にも強磁性体中の磁力線の直接観察、超伝導体中の磁束量子が移動する様子を世界で初めて観察するなど、電子顕微鏡学で大きな業績を挙げた。

また量子力学の導入的説明で用いられる題材の「二重スリットの電子の通過」の追試も行った[1]

工学博士名古屋大学)、理学博士学習院大学)。日本学士院恩賜賞。文化功労者。日本学士院会員。

2012年5月2日、膵臓がんのために死去[2]。70歳没。

社会的活動

顕彰

著書

  • 『電子波で見る世界 電子線ホログラフィー』丸善 Frontier science series、1985年11月、ISBN 9784621030271
  • 『電子線ホログラフィー ミクロの情報をつかむ新技術 』オーム社 新Ohm文庫、1985年12月、ISBN 9784274030963
  • 『電子顕微鏡技術』外村彰・黒田勝広、丸善 Maruzen advanced technology、1989年11月、ISBN 9784621033951
  • 『量子力学を見る 電子線ホログラフィーの挑戦』岩波書店 岩波科学ライブラリー、1995年9月、ISBN 9784000065283
  • 『ゲージ場を見る―電子波が拓くミクロの世界』講談社、1997年3月、ISBN 4062571625
  • 『量子力学への招待』岩波書店 岩波講座 物理の世界 量子力学(1)、2001年11月、ISBN 4000111094
  • 『Electron Holography, 2nd edition』A. Tonomura, Springer, Springer Series in Optical Sciences, 1999年8月, ISBN 3540645551

脚注

  1. ^ 二重スリットの実験(実験動画あり)
  2. ^ ノーベル賞候補・外村彰さん死去 顕微鏡技術で業績 朝日新聞 2012年5月2日閲覧

外部リンク

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