コンテンツにスキップ

北方戦争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。F-mikanBot (会話 | 投稿記録) による 2012年5月25日 (金) 20:21個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (ロボットによる: 良質な記事へのリンク en:Second Northern War)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

北方戦争(ほっぽうせんそう、英語:the Northern Wars1655年 - 1661年)は17世紀に起きたスウェーデンとその他の国々、ポーランド・リトアニア連合大洪水時代1648年 - 1667年)、モスクワ大公国ロシア・ツァーリ国1656年 - 1658年)、ブランデンブルク=プロイセン1657年 - 1660年)、神聖ローマ帝国1657年 - 1660年)、そしてデンマーク=ノルウェー1657年 - 1658年1658年 - 1660年)との戦争を一纏めにした時に使われる。

名称

この戦争には様々な別名が各国に存在する。例えばポーランドにおいては、「大洪水時代」がしばしばこの一連のスウェーデン、ブランデンブルク、ロシア、トランシルヴァニア、そしてウクライナ・コサックとの戦争を指す用語として使われており、デンマークにおいてはカール・グスタヴ戦争として知られている。これらの戦争において、イングランドは一貫してスウェーデンの同盟国として行動し、ネーデルラントはイングランドに対抗するため逆の立場でこの戦争に関与した。

展開

北方戦争はスウェーデンが起こしたものだが、数年前に勃発したコサックの反乱によりポーランド・リトアニア連合が巻き込まれた大洪水時代と言う内戦に、近隣諸国が介入したものである。特にスウェーデンはポーランドとの王位継承権問題を抱えており、スウェーデンの新王朝プファルツ家の王位をポーランド王に認めさせるという意図もあった。この戦争は、当初はスウェーデンが圧倒し、後の講和条約によりプファルツ王朝を認めさせる事が出来たが、反スウェーデン側の抵抗もあり、全てのもくろみが成功に終わった訳ではなかった。ポーランド・リトアニア連合の分割もその一つであったが、スウェーデンによる脅威から連合王国の徹底抗戦と周辺諸国の対スウェーデン戦争を呼び起し、戦域は拡大し、多大な犠牲を強いられる事となった。一方、この戦争で一番利益を得たのはブランデンブルク=プロイセンであり、最終的には連合王国下から離脱し正式に独立するのである。

モスクワ国家はスウェーデンのポーランドでの成功をみて脅威を感じ、ポーランドとの戦争を一時停止し、1656年からスウェーデンと交戦状態に入った。モスクワ国家はスウェーデンがポーランドで孤立している間、戦争で優位に立ち、フィンランド、エストニア、ラトヴィアなど広大な領土の占領に成功した。しかしウクライナで親ポーランド派が反旗を翻し、ポーランドも停戦を破棄してきたため、この危機に対応する必要からスウェーデンと1658年末に休戦。1661年のカルディス講和条約で占領していたバルト海沿岸の全スウェーデン領の放棄を余儀なくされ、再びポーランドとの戦争を再開する事となる。デンマークとはポーランドからの撤退後に行われ、当初はユトランド半島を制圧しスコーネを獲得するなどスウェーデンの優勢であったが、スウェーデンのデンマーク征服の野心のために近隣諸国の介入を招いた。さらにスウェーデンはデンマークの首都コペンハーゲンの攻略に失敗し、戦争は膠着した。

1660年にスウェーデン王カール10世が没した為、スウェーデンと対戦国は翌1661年までに講和条約を結び終戦した。スウェーデンはこの戦争で軍事的成功は殆ど為し得なかったが、政治的成功を得て北方の覇権を確立するに至った。北方戦争は、この様にバルト海世界に多大なインパクトを与えたが、同時にスウェーデン財政にも多大なプレッシャーを与え、戦後のスウェーデンの国力弱体化を招く事にも繋がった。スウェーデンはバルト海世界での優位を保ったが、植民地はオランダによって奪われ、スウェーデンの植民地帝国への道は絶たれた(プファルツ王朝の元では、スウェーデン海軍の更新はなく、スウェーデンの植民地であった北米ニュースウェーデン及びアフリカゴールド・コーストを喪失した)。

スウェーデンとは和平を結んだものの、ポーランドを中心とした連合王国は疲弊し、以後も続く戦争にさらなる打撃を受ける事となる。

講和条約

  • ロスキレ条約(スウェーデン・デンマーク間、1658年2月26日
  • オリヴァー条約(スウェーデン・ポーランド間、1660年4月23日
  • コペンハーゲン条約(スウェーデン・デンマーク間、1660年5月27日
  • カディス条約(スウェーデン・ロシア間、1661年6月21日

参考書籍

関連項目

Template:Link GA