化学上の未解決問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。IDCM (会話 | 投稿記録) による 2022年11月2日 (水) 15:28個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (WP:JPE#疑問符・感嘆符)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

化学上の未解決問題(かがくじょうのみかいけつもんだい)は「X化合物を作ることができるか」「分析することができるか」「精製することができるか」といった種類の問題になりがちであり、一般的にはかなり早く解決されるが、解決されるためにかなりの労力を要するものもある。しかし、深い含蓄を持つ問いもある。この記事は化学における新たな科学的研究の中心にある分野を扱う傾向にある。化学上の問題は、その分野の専門家が未解決とみなした場合、またはその分野の複数の専門家が問題の解決法についての意見が一致しなかった場合未解決とみなされる。

物理化学の問題

  • 高温超伝導体相図上での様々な点における電子構造は何か。[1]
  • 高温超伝導体の転移温度は室温まで上げることができるか。[1]
  • ウントリセプチウム(ファインマニウム)は物理的に存在できる最後の化学元素か。つまり、137以上の原子番号の元素があることの化学的結果は何か。その1s電子は光速より速く動かなければならないか。[1][2]
  • ニュートロニウム-4は可能か。
  • どのようにすれば電磁エネルギー(光子)を効率的に化学エネルギーに変換できるか。例えば、太陽エネルギーを用いて水を効率的に水素と酸素に分解することができるか。

[3][4]

有機化学の問題

生化学の問題

  • 酵素反応速度論: なぜ拡散より速く動態を示す酵素があるのか。[7]
  • タンパク質フォールディング問題: 配列および環境情報のみに基づいてポリペプチド配列の二次構造、三次構造、四次構造を予測することは可能か。逆タンパク質フォールディング問題: 特定の環境条件下で所与の構造を採用することになるポリペプチド配列を設計することは可能か。[5][8] これは近年いくつかの小球状タンパク質で達成されている[9]
  • RNAフォールディング問題: ポリリボ核酸の配列および環境に基づいてその二次、三次、四次構造を正確に予測することは可能か。
  • 生命の化学的起源は何か。非生物化合物はどのようにして自己複製する複雑な生命体を生み出したのか。
  • タンパク質設計: 高活性酵素を任意の所望に対して新たに設計することは可能か。[10]
  • 生合成: 生合成経路操作により、所望の分子、天然物などを高収率で生産することができるか。[11]

近年解決された問題

脚注

  1. ^ a b c The Future of Post-Human Chemistry: A Preface to a New Theory of Substances ..., de Peter Baofu, page 285
  2. ^ The problem may actually occur at approximately Element 173, given the finite extension of nuclear-charge distribution.[要出典] See the article on Extension of the periodic table beyond the seventh period, and the article section Relativistic effects of Atomic orbital.
  3. ^ Duffie, John A. (August 2006). Solar Engineering of Thermal Processes. Wiley-Interscience. p. 928. ISBN 978-0-471-69867-8 
  4. ^ Brabec, Christoph; Vladimir Dyakonov; Jürgen Parisi; Niyazi Serdar Sarıçiftçi (March 2006). Organic Photovoltaics: Concepts and Realization. Springer. p. 300. ISBN 978-3-540-00405-9 
  5. ^ a b “So much more to know”. Science 309 (5731): 78–102. (July 2005). doi:10.1126/science.309.5731.78b. PMID 15994524. http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/309/5731/78b. 
  6. ^ S. Narayan, J. Muldoon, M.G. Finn, V.V. Fokin, H.C. Kolb, K.B. Sharpless,2005, "On Water: Unique Reactivity of Organic Compounds in Aqueous Suspension," Angew. Chem. Int. Ed. 21:3157, see [onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.200462883/full]. accessed 15 December 2015.
  7. ^ Hsieh M, Brenowitz M (August 1997). “Comparison of the DNA association kinetics of the Lac repressor tetramer, its dimeric mutant LacIadi, and the native dimeric Gal repressor”. J. Biol. Chem. 272 (35): 22092–6. doi:10.1074/jbc.272.35.22092. PMID 9268351. http://www.jbc.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=9268351. 
  8. ^ King (2007年). “MIT OpenCourseWare - 7.88J / 5.48J / 7.24J / 10.543J Protein Folding Problem, Fall 2007 Lecture Notes - 1”. MIT OpenCourseWare. 2013年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月22日閲覧。
  9. ^ Dill KA (June 2008). “The Protein Folding Problem”. Annu Rev Biophys 37: 289–316. doi:10.1146/annurev.biophys.37.092707.153558. PMC 2443096. PMID 18573083. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2443096/. 
  10. ^ Archived copy”. 2013年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年12月19日閲覧。
  11. ^ http://www.nature.com/nature/journal/v488/n7411/full/nature11478.html

外部リンク