出し狭間
出し狭間(だしはざま)またはマチコレーション(machicolation)は、狭間胸壁の持ち送り支持構造の間に開いた床の開口部で、そこから城壁の下にいる攻撃者に向かって岩石を落とすことができる。石落とし、突出し狭間(つきだしはざま)、張出し狭間(はりだしはざま)、刎出し狭間(はねだしはざま)とも。中世ヨーロッパで、ノルマン人の十字軍参加者が帰還したころから見られるようになった。出し狭間のある狭間胸壁が下部の城壁より迫り出しているのは、物を落とすためである。同様の構造を木で作ったものを hoarding と呼び、篭城戦などで一時的なものとして構築されることが多い。木製の hoarding に対して出し狭間が優れている点は、狭間胸壁が石製で強度が高いだけでなく、火に耐性がある点も挙げられる。
"machcolation" という言葉は古フランス語の machicoller に由来し、古プロヴァンス語の machacol がその源であり、さらにはラテン語の *maccāre(破壊する) と collum(えり) が語源である。天井のある出し狭間の場合、口語では murder-hole とも言う。
出し狭間はイギリスよりもフランスの城で先に一般化した。イギリスの場合、13世紀の Conwy Castle のように門の上部だけに限定されていた[1]。
中世以後
出し狭間は後に装飾効果を狙って持ち送りの間の空間に使われるようになったが、開口部はなくなり、軍事用でない建物の特徴になっていった。例えば、スコットランドの領主館や19世紀や20世紀のゴシック・リヴァイヴァル建築がある。
脚注・出典
- ^ Brown, R. Allen (2004) [1954]. Allen Brown's English Castles. Woodbridge: The Boydell Press. pp. 66. ISBN 1843830698
参考文献
- Mesqui, Jean (1997). Chateaux-forts et fortifications en France. Paris: Flammarion. pp. 493 pp. ISBN 2080122711