五島哲

五島哲（ごとうてつ、1948年 7月21日 - 2007年 12月16日）は、日本の実業家。東急建設株式会社代表取締役社長、東京急行電鉄（現・東急）株式会社取締役を務めた。東京都出身。東京都世田谷区上野毛に在住した。東急株式会社の事実上の創業者五島慶太の孫。五島家3代目^[1]。

人物・来歴

1948年7月21日、五島昇の長男として生まれる。母は久原房之助の娘久美子。哲が6歳の頃、父昇が東京急行電鉄の代表取締役社長に就任。

哲は、 1973年に東京工業大学工学部機械工学科を卒業し^[2]、父の後継者となるべく、本田技研工業株式会社に入社。本田宗一郎の経営哲学を範としていた父の意向によるものであった。

その後、東急グループの東急建設株式会社に入社。1983年5月には同社専務取締役に就任し、同年6月には、東京急行電鉄取締役にも就任し、父の後継者としての道を歩むことになる。1986年12月、東急建設代表取締役副社長に昇任し、周囲から「次代の東急グループのリーダーに」との声もあった。その一方で、日本を代表する規模にまで成長した巨大企業グループのリーダーとしての器量に欠けるという指摘もあったという^[3]。

1989年 3月20日に、父昇が死去する。昇の死後、東急グループは、専門経営者の集団指導体制に移った^[1]。哲の東急本社の社長就任は棚上げになるものの、昇より、哲のことを含めグループ経営の後事を託された横田二郎東急社長らの計らいにより、1990年6月、哲は東急建設の代表取締役社長に就任。しかし、父の後ろ盾を失ったことに加え、バブル経済の崩壊による東急グループの経営危機が哲に追い打ちをかける。不動産投資で巨額の不良債権を抱えた東急建設は倒産寸前に追い込まれ、急速に業績が悪化。東急本社の緊急の財政支援で乗り切る一方、1998年12月、哲は東急建設の代表取締役社長を引責辞任する。

その後は、東急電鉄の取締役を継続して務めたが、調査役という閑職に甘んじることとなる。東急本社も巨額の不良債権を抱え、厳しい経営を強いられており、父・昇の歴代後継社長たちも、哲を東急本社の社長に推挙する者はいなかった。哲が就任した調査役は、一種の名誉職であり、対外活動などを主務としていたため、経済同友会の会合には頻繁に出席していたという。晩年は、日本実業団陸上競技連合の会長等も務めていた。

2007年12月16日、全日本実業団対抗女子駅伝開会式出席のために宿泊した岐阜市内のホテルで急死する。59歳没。