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中華人民共和国副主席

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中華人民共和国副主席(ちゅうかじんみんきょうわこくふくしゅせき)は、中華人民共和国の国家元首である中華人民共和国主席(国家主席)の職務遂行を補佐する官職である。国家副主席とも呼ばれる。

概要

1949年に中華人民共和国が建国され、中央人民政府が設置されると、毛沢東中央人民政府主席として国家元首に就任し、朱徳劉少奇宋慶齢李済深張瀾高崗の6名が中央人民政府副主席に任命された。1954年中華人民共和国憲法(1954年憲法)が制定されると、中央人民政府主席・副主席の職は廃止され、代わりに中華人民共和国主席副主席が設置された。初代国家主席には毛沢東、国家副主席には朱徳が就任した。国家副主席の定員は憲法上とくに定められていなかったものの、1954年憲法の第46条の規定(国家主席が空位となった場合、国家副主席が主席の地位を継承する)から、当然1名と考えられていたが、劉少奇が第2代国家主席に就任した1959年の第2期全国人民代表大会第1回会議において、宋慶齢と董必武の2名が選出された。

文化大革命によって劉少奇が打倒され、1968年に国家主席を解任されると、国家副主席の宋慶齢と董必武が空席となった国家主席の職権を代行した。その後、国家主席の空席は1975年1月の憲法改正で同職が廃止されるまで続き、1972年には董必武が国家副主席に在職のまま、「国家主席代理」とされた。

先述の通り、1975年の憲法改正によって国家主席が廃止されたが、それにともない、国家副主席の職も廃止された。その後、1982年の憲法改正により、国家主席と国家副主席は再設置された。再設置当初、国家主席と国家副主席の両職とも中国共産党中国人民解放軍の長老を遇するための名誉職と化していたが、中国共産党総書記兼国家主席の江沢民が、1998年中央政治局常務委員(共産党の最高首脳)の胡錦濤を国家副主席に任命して以来、国家副主席は政治局常務委員から選ばれている。さらに、胡錦濤が江沢民の後を継いで党総書記・国家主席に就任したことから、国家副主席の地位は党総書記・国家主席へとつながるものとして政治的重要性が増してきている。

選出

現行の中華人民共和国憲法(1982年憲法)によると、国家主席と同様、中華人民共和国の公民(国民)で、選挙権および被選挙権を有する満45歳以上の者が、全国人民代表大会(全人代)によって国家副主席に選出される。任期は5年、連続3選は禁止されている。なお、国家副主席が任期途中で欠けた場合、全人代で補選を行う。

職権

  • 国家主席の職務遂行を補佐する。
  • 国家主席の委託を受けて、国家主席の一部職権を代行する。
  • 国家主席が欠位となった場合、国家主席の地位を継承する。

歴代副主席

国家副主席 政党 当選した会議 就任 退任

中華人民共和国中央人民政府副主席 (1949年 - 1954年)

朱徳
劉少奇
宋慶齢
李済深
張瀾
高崗
中国共産党
中国共産党
中国国民党革命委員会
中国国民党革命委員会
中国民主同盟
中国共産党
第1期全国政治協商会議 1949年10月1日 1954年9月27日

中華人民共和国副主席 (1954年 - 1975年)

朱徳 中国共産党 第1期全国人民代表大会第1回会議 1954年9月27日 1959年4月27日
宋慶齢
董必武
中国国民党革命委員会
中国共産党
第2期全人代第1回会議 1959年4月27日 1965年1月3日
宋慶齢
董必武
中国国民党革命委員会
中国共産党
第3期全人代第1回会議 1965年1月3日 1975年1月17日

中華人民共和国副主席 (1982年 - )

ウランフ 中国共産党 第6期全人代第1回会議 1983年6月18日 1988年4月8日
王震 中国共産党 第7期全人代第1回会議 1988年4月8日 1993年3月12日
栄毅仁 中国民主建国会
(中国共産党[1]
第8期全人代第1回会議 1993年3月27日 1998年3月15日
胡錦濤 中国共産党 第9期全人代第1回会議 1998年3月15日 2003年3月15日
曽慶紅 中国共産党 第10期全人代第1回会議 2003年3月15日 2008年3月15日
習近平 中国共産党 第11期全人代第1回会議 2008年3月15日 在職

脚注

  1. ^ 1985年に秘密入党。

参考文献

  • 曽憲義・小口彦太編『中国の政治 開かれた社会主義への道程』(早稲田大学出版部、2002年)
  • 毛里和子『新版 現代中国政治』(名古屋大学出版会、2004年)
  • 高橋和之編『新版 世界憲法集』(岩波書店〈岩波文庫〉、2007年)