世界時計
世界時計(せかいどけい、World clock) とは、時計の付加機能のひとつ。
それを使用する地域の時刻表示のほかに、世界各地の地域の時刻表示をするようにしたものである。
「グローバル時計」とも言われている。
概要
世界時計は、時計の機能として、
- 通常使用する地域の時刻 (local time) のほかに、簡単な切り替えで他の地域の時刻を表示することのできるもの。
- 普通の時計を複数個並べて、主要地域の時刻を表示させ、ひと目で世界各地の時刻がわかるようにしたもの。
がある。実用性に加えて、国際的イメージからくる装飾的要素を合わせ持つ場合もある。
1.については、置時計や高機能な腕時計に実装される場合がある。世界各地域の時間帯に簡単に切り替えることができ、いちいち時刻合わせする必要がない。また、複数の時間帯(大抵の場合、自地域ともうひとつの地域の2つ)を表示できるものもある。
2.の場合、複数個の時計(大抵の場合、アナログ掛け時計)を複数並べ、各地域名(都市名)と時刻を表示させる。 ビジネスホテルのフロントや証券取引所などに掲げられていることが多い。
世界時計の機能は、近年ではパソコン、PDAなどの定番ソフトとしても定着し、フリーウェアを含む多機能ソフトが数多く公開されているほか、インターネット上には世界時計機能を持つサイトも多数開設されている。また、携帯電話、スマートフォンには世界時計の機能が搭載されている場合があり、国際通話の際などにも活用されている。
標準時の変更
世界時計のもととなっている標準時(タイムゾーン)は、しばしば変更される。1995年に太平洋上の日付変更線が変更され、UTC+14の標準時が追加された。同様に、2011年12月よりサモアなどがUTC-11(夏時間実施中のためUTC-10)から、日付変更線も変更する形でUTC+13(夏時間実施中のためUTC+14)に変更されている。また、カラカスを含むベネズエラ標準時は、2007年よりUTC-4:30に変更された。ロシア時間は、2010年、2011年と続けて変更されて標準時の統合・夏時間の廃止も実施され、たとえばモスクワの標準時は、現在UTC+4(夏時間無し)となっている。
コンピューターソフトによる世界時計機能ではタイムゾーン変更後の更新は比較的たやすいが、腕時計、置時計、建築物などの時計では、製造後ないし完成後に世界時計機能を更新・改造するのは費用等の面から困難が伴うか、あるいは構造上不可能となっている。このため、世界時計を利用する際には、特に上記の地域を含めて、利用したい地域の標準時の表示が正確かどうか、あらためて注意が必要である。
夏時間への対応
夏時間のある地域では時刻が早まる期間があり、夏時間対応の世界時計が必要である。夏時間の実施期間は各地域によって異なる。また、例年通りとなる以外にも年によって数週間以上のズレがあったり、中止、再開、あるいは新規に実施する地域もあるなど、シーズン毎の変動が非常に激しい(なお北半球と南半球では季節が逆転するため、世界のどこかでほぼ常に夏時間が実施されている)。このため、通常の世界時計では世界全域の夏時間に常に自動対応させることはきわめて困難であり、ユーザー自身が手動で設定する必要がある。
インターネット上にある世界時計サイトでは夏時間には全自動で対応する場合が多いが、とくに南半球の一部の夏時間については対応していない場合があるので注意が必要である。