ユキウサギ

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ユキウサギ
冬毛のユキウサギ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ウサギ目 Lagomorpha
: ウサギ科 Leporidae
: ノウサギ属 Lepus
: ユキウサギ L. timidus
学名
Lepus timidus
Linnaeus, 1758
和名
ユキウサギ
英名
Mountain hare,Blue Hare,Tundra Hare,Variable Hare,White Hare,Alpine Hare,Irish Hare
Lepus timidus - wystepowanie.PNG
ユキウサギの分布

ユキウサギ (Lepus timidus)はウサギ目ウサギ科ノウサギ属に属するウサギである。日本には亜種エゾユキウサギが分布している。

分布

北極圏や山岳地帯に適応した種で、フェノスカンジアからシベリア東部まで分布している。また、アルプス山脈アイルランドポーランドイギリスおよび北海道に孤立した個体群がある。また、シェトランド諸島フェロー諸島に移入された。

形態

ユキウサギは全長46~65cm、体重1.6~3.95kgになり、メスの方がオスよりもわずかに重い[1][2][3]

アイルランド亜種

夏にユキウサギの毛色は茶褐色になり、その濃淡は個体によりさまざまである。冬に備えて、ほとんどの個体が白色(もしくは大部分が白色)の毛になる。尾は一年を通して完全な白色で、このことは尾の上部が黒色であるヤブノウサギ(Lepus europaeus)との違いとなる[1]。亜種Lepus timidus hibernicus(アイルランド亜種)は一年を通して、茶褐色のままであり、一部の個体が白色になるのみである。他の個体群が常に白色のままである尾の上面は、アイルランド亜種は濃褐色、もしくは灰色である。この尾の色は、尾の大きさ(他のユキウサギ亜種と比較し)と結びついており、またこのアイルランド亜種の見た目の褐色の濃淡には変異があり、経験の少ない観察者はアイルランド亜種をヤブノウサギと誤同定する可能性がある。

生態

いくつかの研究ではユキウサギの食性は地域によって異なるとされる。このことは研究されている個体群の生息する特定の生息地に依存しているかもしれない。たとえば、何ヶ月もの間雪が土壌を覆うスカンジナビア北部において、ユキウサギは小枝や樹皮を食料としている。逆に、アイルランドのように、降雪がまれな地域においては、草[4]が食性の大半を占める。

スコットランドやアイルランドのユキウサギは、草[4]を食するのを好むように思われる。アイルランドの海岸草地においてのユキウサギの研究では、草[4]が食性の90%以上を占めていた。これは、同じ環境に生息するアナウサギ(Oryctolagus cuniculus)の食性に占める草[4]の割合よりも、高い。

フィンランドスウェーデンの北部では、ユキウサギおよびヤブノウサギが生息地を競合している。より大きなヤブノウサギは普通はユキウサギを追い払うが、ヤブノウサギは降雪地帯での生息には余り適応していない。つまり、ヤブノウサギの脚はより小さく、冬毛は白と褐色の混色である。ユキウサギが冬毛の間、雪が灌木を覆うフィンランドの海岸地帯において、とてもよいカモフラージュとなるが、それは短期間であり、ユキウサギは内陸部の積雪に対しより適応している。

ユキウサギはスウェーデンのメーデルパッド地方の動物となっている。

分類

ホッキョクノウサギ (Lepus arcticus)はユキウサギの亜種であると考えられていたが、現在は別種であるとされている。同様に、科学者によってはアイルランド亜種は別種であるべきであると考えている。現在、15亜種のユキウサギが確認されている[5]

日本には、北海道に亜種エゾユキウサギLepus timidus ainu)が分布しており、日本のウサギ類の中では最大の種である。

参考文献

  1. ^ a b Mountain Hare”. ARKive. 2010年1月28日閲覧。
  2. ^ 日高敏隆監修、川道武男編 『日本動物大百科1 哺乳類I』、平凡社、2002年初版第3刷、ISBN 9784582545513
  3. ^ 阿部永監修、日本の哺乳類、東海大学出版会、2002年第1版第4刷、ISBN 9784486012900
  4. ^ a b c d イネ科や牧草のような植物のこと
  5. ^ Lagomorph Specialist Group (1996). "Lepus timidus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2008. International Union for Conservation of Nature. 2010年1月28日閲覧

外部リンク