ムレナ型エアクッション揚陸艇

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ムレナ型エアクッション揚陸艇
무레나 공기부양정
韓国海軍で活動中のムレナ型
基本情報
艦種 エア・クッション型揚陸艇 (上陸用舟艇)
建造所 ハバロフスク造船所
運用者
建造期間 1985-2006
計画数 8隻
建造数 11隻
前級 レベッド型エアクッション揚陸艇
要目
満載排水量 149t
全長 31.6m
最大幅 14.8m
機関方式 PR-77 ガスタービン 2基(16,000hp)
最大速力 50kt以上
航続距離 100海里
搭載能力 積載重量45t(戦車1両と80人または物資25tと160人)
乗員 14名
兵装
  • 30mm連装機関砲:2基
  • 9K32または9K34対空ミサイル用MANPAD:1箇所
  • 12.7mm機銃:2挺
  • BP-30 30mmグレネードランチャー:2基 
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ムレナ型エアクッション揚陸艇Десантный катер проекта 12061 «Мурена»、Murena type Air-cushioned Landing craft)は、ソビエト連邦ロシアエア・クッション型揚陸艇である。ミレナ型と表記される場合もある。«Мурена»とはウツボの意。

概要[編集]

ムレナ型は通常の揚陸艇であればLCMと同等の規模を持つ中型の揚陸艇であり、西側の同種の艦艇と比べて武装の充実した構成となっている。このため、揚陸艇としての運用の他、高速哨戒艇としての運用も考慮されていた。

1206.1号計画Murenaと、1206.1E号計画Murena-Eが存在し、前者に対してNATOコードネーム「Tsaplya(アオサギの意)」が与えられた。

ムレナ型[編集]

ムレナ(1206.1 Murena、NATOコードネームツァプリャ型)は、ソ連、ロシア国内向けである。レベッド型エアクッション揚陸艇(1206 Kalmar)の拡大改良版であった。主任設計師は、S.セミョーノフ。40t以上の積載も可能であるが(E型を運用する大韓民国海軍では、最大50tとしている)、この場合には大幅に速度が低下した模様である。[1]

最初の1隻はフェオドシヤで建造され、1982年より配備が開始された。レベッド型と同様にイワン・ロゴフ級揚陸艦への搭載が可能であったが、より重武装であるために哨戒任務にも使用された。中国との国境の河川配備用として国境警備隊向けにも生産され、1990年代初頭には10隻が配備された。

その後、ソビエト連邦の崩壊に伴って退役が開始された。1995年には3隻が解体され、就役中の艇は存在しなかった。

同型艦[編集]

判明分のみ。

  • D-453 - 1985年就役。
  • D-458 - 1986年就役。
  • D-259 - 1987年就役。
  • D-285 - 1988年就役。
  • D-447 - 1989年就役。
  • D-323 - 1990年就役。
  • D-142 - 1991年就役。1991年8月4日にアムール川で事故を起こし修理。1994年にロシア国境軍に編入。
  • D-143 - 1992年就役。

ムレナ-E型[編集]

ムレナ-E(1206.1E Murena-E)は、輸出型を指す名称である。2005年より大韓民国海軍ハバロフスクで建造された3隻が輸出されており、クウェート海軍へ2隻の輸出も決定している。

韓国向けの1隻は、運用直前の2005年11月に事故を起こし大破している。イワン・ロゴフ級と異なり独島級揚陸艦には搭載できないため、独島級にはLSF-II型エアクッション揚陸艇が搭載される。

要目[編集]

以下は、主にRosoboronexportのカタログ[2]による数値である。

  • 満載排水量:150t(積載重量24t込み)
  • 全長:31.3m
  • 全幅:14.8m
  • 全高:10.5m(エア・クッション停止時)、15.2m(エア・クッション作動時)
  • 機関:MT-70M ガスタービンエンジン 2基(20,000hp)
  • 最大速度:55kt以上
  • 巡航速度:50kt(24t積載時)
  • 航続距離:200nm、軽貨時300nm
  • 武装:
  • 乗員:12名
  • 搭載量:積載重量24t。歩兵130人または装甲戦闘車両3台など。

同型艦[編集]

大韓民国海軍向け

  • LSF-621 - 2006年就役。
  • LSF-622 - 2006年就役。
  • LSF-623 - 2006年就役。

[編集]

  1. ^ MILITARY PARADE(2010年5月18日確認)
  2. ^ Rosoboronexport(PDF、2010年5月18日確認)

外部リンク[編集]