ポン・デ・ケイジョ
ポン・デ・ケイジョ (ポルトガル語発音: [ˈpɐ̃w dʒi 'kejʒʊ], 葡: pão de queijo) は、ブラジルのミナス・ジェライス州で生み出されたパンの1種。名前はポルトガル語で「チーズパン」の意であり、日本では訳そのままにチーズパンとも呼ばれている。
概要
起源がいつ頃かは定かでないが、18世紀にはすでに存在したと考えられており、1950年代頃からブラジル全土に広く普及し、今日では、パン屋はもとより、街中の軽食店からバー、空港や長距離バスターミナルなど、あらゆる場所で目にする食べ物となっており、専門に扱うチェーン店も存在する。家庭でも作られ、地域差はあるが、朝食の定番のひとつとなっている。一般的に、コーヒーとの組み合わせで食べることが多い。
表面はパリっと堅く、中は柔らかいという独特の食感と味わいがある。キャッサバ粉、鶏卵、塩、牛乳、食用油(オリーブ油)、チーズを材料とし、アメリカ合衆国風チーズフレーバーのビスケットにも似る。大きさは4 - 7センチメートル程度のものが主流である。
レシピは必ずしも統一されておらず、チーズをはじめ使用する原料の種類にも影響されるため、結果的に、味と種類は多岐に及ぶ。主なバリエーションとしては、砂糖を使ったものや、その逆に塩をつかったもの、あるいは砂糖と塩の両方で味付けしたものなどもある。
ブラジルの会社により、ヨーロッパ、他のラテンアメリカ諸国、アメリカ合衆国、日本などにも進出しているブラジル発の世界商品という側面も持つ。
同様の料理は南米の他の国にもあり、ボリビアではクニャペ、アルゼンチンやパラグアイではチパと呼ばれ、いずれも庶民の食べ物として親しまれている。
その他
- 英語版 (en:Cheese bun) の紹介では、この食べ物はブラジルを訪れた観光客が「必ず食べておきたい」食べ物リストに載っている(載せるべき)ひとつだ、と表現している。実際、ブラジル人にとっても、同国の飛行場やポピュラーな長距離移動手段である長距離バスのターミナルでは、店が一軒でもあれば、たいていポン・デ・ケイジョを扱っていることから、長距離移動の際の定番の食べ物のひとつである。
- ブラジルの専門チェーン店であるカーザ・ド・ポン・デ・ケイジョ(Casa do Pão de Queijo、「ポン・デ・ケイジョ本家」の意)は、やや酸味があってなおかつ個々の味を微妙に不均衡にする独特のレシピを用いており、1990年代以降チェーン網を大きく拡大し、現在では同国有数の食品フランチャイズ店になっている。しかしながら、多くのブラジル人はこの味付けを「ファーストフード」と見なしており、より家庭的な味付けを好んでいると言われている。
日本での応用
日本においては米粉[1]や白玉粉など[2]での調理が試みられており、白玉粉のものがみられる。 平成期、ミスタードーナツで、類するものが商品化され、一般に知られるようになった。
脚注
- ^ 下坂智惠; 市川朝子; 下村道子「米粉を用いたポン・デ・ケージョの調製と膨化に関する研究」『日本調理科学会誌』第38巻、第2号、135-142頁、2005年。doi:10.11402/cookeryscience1995.38.2_135。 NAID 110001234676。
- ^ 斎藤寛子; 松本時子「ポン・デ・ケージョの性状に及ぼす各種粉の影響」『山形県立米沢女子短期大学紀要』第43号、83-90頁、2008年1月1日。 NAID 110006993982 。