ホンビノスガイ
ホンビノスガイ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Mercenaria mercenaria Linnaeus, 1758 | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Venus mercenaria | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ホンビノスガイ(本美之主貝) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
hard clam northern quahog |
ホンビノスガイ(学名 Mercenaria mercenaria)は、二枚貝綱マルスダレガイ科1種。
名前を漢字で記すと本美之主貝となる。これはビーナス属 Venus に当て字された美之主に由来する。これは、和名の命名時には本種がビーナス属に分類されていたためである。なお現在はメルケナリア属 Mercenaria に分類が変更されている。[1]
また、英名はサイズに対応して変化する「出世貝」であり、小さい順に littleneck, topneck, cherrystone と変化し、最も大きいものが quahogs または chowder clam と呼ばれる。
潮間帯の砂や泥の中に生息する。
生態
成貝の殻長は最大で10cm以上になる比較的大型の貝であり、厚く硬い殻の表面には同心円状の肋が表れる。殻の色は生育環境により白っぽいグレーから黒ずんだ色と変化に富む。ハマグリと比較して丸みが強く、左右非対称で、殻頂がやや曲がった形をしている。また長寿でも有名なこの貝は2007年にアイスランドで、405歳から410歳が経過したものが発見されている。北ウェールズのバンガー大学海洋科学部によって殻に刻まれた成長線の数で年齢が推測された。4世紀以上もの間、老化を免れていたことに研究者の注目が集まっている。
分布
北米大陸東海岸のほぼ全域。カナダ、プリンスエドワード島から、アメリカ東海岸を経てユカタン半島にかけて広く分布する。1998年以降、日本の東京湾で発見され、定着が確認されている。
日本における生息地
東京湾に生息する。もともと日本には存在していなかったが、1998年に千葉県・幕張人工海浜で発見され、1999年に京浜運河、2000年に千葉港、2003年に船橋付近で発見されており、[2][3]以後、東京湾内で繁殖している外来生物。原産地である北米大陸から船舶のバラスト水に混ざり運ばれ、東京湾に定着したと考えられている。
漁業
アメリカでは重要な食用貝であり、広く漁獲対象とされている。特にロードアイランド州では州の貝に選ばれている。
日本では繁殖が確認されたのが比較的近年であるため、食用とされることは少ない。
アサリ漁場に多く生息するため、かつて邪魔者として扱われることが多かったが、2007年頃から水産物として販売されることが増えてきている。また、東京湾最奥部の干潟域では潮干狩りでも採取される。砂抜きは比較的簡単で、アサリやハマグリと同様、暗所で海水程度の塩水に一晩ほど漬けておくことで、ほぼ完全に砂抜きが完了する。
食材
アメリカで好まれ、クラムチャウダーやワイン蒸しとして供されるほか、生食もされる。
食味は良い。ハマグリと同様、焼き貝や酒蒸しが良い。
別名や通称
東京湾最奥部(千葉県湾岸部)では大アサリと呼ばれる。(なお、中部地方沿岸部でよく食用とされる大アサリは、和名ウチムラサキ Saxidomus purpurata であり、別種である。)
また、ハマグリの減少に伴い、流通時に白ハマグリと呼ばれることがあるが、和名シロハマグリは、同じマルスダレガイ科で南米に産する Pitar albidus に割り当てられているため、本種を指して「シロハマグリ」と呼ぶのは誤用である。
脚注および参照
- ^ 「白はまぐり」の正体は? 東邦大学理学部 東京湾生態系研究センター
- ^ 「東京湾奥のホンビノスガイ(移入種)について.」『ひたちおび』第94号、東京貝類同好会、13-17頁、ISSN 09121900、全国書誌番号:00044923。
- ^ 西村和久「東京湾奥アサリ漁場に生息するホンビノスガイ(移入種)について」『日本貝類学会連絡誌・ちりぼたん』第36巻第3号、2005年、NAID 110004997585。