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フォーク (食器)

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様々なフォーク
デザートフォーク、レリッシュフォーク、サラダフォーク、ディナーフォーク、コールドカットフォーク、一人前フォーク、切り盛り用フォーク
フォーク

フォーク: fork)は、食べ物を刺したり、巻いたりして食べるための食器である。日本語では「突き匙」「肉叉(にくさ)」という訳語があてられたが普及しなかった。

概要

フォークは先端部が鋭利な櫛状になった食器であるが、たいてい3つ又か4つ又になっている。古くは食事用でも2つ又であった。ただ今日でも果物ケーキなどを食べる際のデザート用フォークや、ステーキを焼く際に使う大振りのものでは、2つ又のものも見受けられる。

主に金属製であるが、プラスチック製や竹製のものもある。

農業用の干草を分けるための同じ形をした巨大な農具が同じフォークという名で呼ばれていた。現代のイタリア語では農具のフォークはforca、食器のフォークは指小辞をつけて forchetta と呼び分けられている。

なおこれをスプーンと合体させた食器としては、spork(→先割れスプーン)というものも存在する。しかしこちらは専ら簡便な食事に便宜的に用いられる簡易食器的な性格が強く、正統なテーブルマナー中にはsporkを使うものは見られない。

歴史

起源

フォークのもともとの語源ラテン語熊手を意味するfurcaである。古代ギリシャでは給仕用として用いられていた。[1] ローマ帝国では、青銅のフォークが使われたが[2][3]、その使用法は、地域、社会階層、食物によってばらばらであった。その後の中世ヨーロッパでは、ビザンチン帝国に関連した文献で散見される程度である。一般的に使用されるようになるのは、16世紀に礼儀作法の一部となってからである。フォークが導入されるまでは、西洋では、スプーンでスープを飲み、ナイフで肉を切りながら、主に手づかみで食べていた。

初期のフォークは歯が二つしかなかった。歯はまっすぐで食べ物に突き刺すにはよかったが、すくって口元に運ぶのには適していなかった。単に肉を切るときに切りやすくする道具であった。西ヨーロッパにおいて、食卓用フォークの使用を促進したのは、ビザンチン帝国の二人の王女だと言われている。オットー2世 (神聖ローマ皇帝)の妻テオファヌと、ドージェ・ドメニコ・セルヴォの妻テオドラ・ドゥーカイナ・コムネナである。その後11世紀までに、食卓用フォークがイタリアに伝わった。イタリアでは、14世紀によく使われるようになり、1600年頃までには商人や上流階級の間でごく一般的に使用されるようになった。一方、南欧以外のヨーロッパでは、フォークがなかなか浸透しなかった。英語の文献に初登場するのは、1611年のトーマス・コライヤットのイタリア寄航文(1611年)だと見られている。しかしながら長年にわたって女々しいイタリア文化への偏愛とみなされていたようである。英国において一般人がフォークを使うようになるのは、18世紀に入ってからである。現代において一般的な弓なり型のフォークは、18世紀中頃にドイツで発明された。そして4本歯のフォークが一般的に使われるようになるのは19世紀初頭である。

4本歯のテーブルフォークの誕生

1770年代、庶民の風俗を深く愛したナポリ国王フェルディナンド4世が宮廷で毎日スパゲッティを供することを命じた。しかしスパゲッティを手で食べる場合、頭上にかざして下から口ですするという、当時の価値観においても非常に見苦しいものとなる。このような民の作法がハプスブルク家出身の王妃マリア・カロリーネMaria Caroline)に承認されるはずもなく、賓客がより上品にスパゲッティを食べられるように、料理長ジョヴァンニ・スパダッチーノ(Giovanni Spadaccino)に命じて、もともと口に運ぶものでなく料理を取り分けるためにあったフォークを食器として使わせた。

このとき、工学エンジニアのチェーザレ・スパダッチーニが、先が長く3本だったフォークをもとにして、口に入れても安全でスパゲッティがうまくからむ様に先を短く4本にしたフォークを、王のために考案したといわれている[4]

テーブルセッティング

フランス料理などのテーブルセッティングでは、位置皿(ディナープレート)の左側に、外側からオードブル用フォーク、魚用フォーク、肉用フォークの順に配置する。また、位置皿の上側にデザートフォークを配置する。

参考文献

  1. ^ Forks”. 2011年6月8日閲覧。
  2. ^ Fitzwilliam Museum - A combination Roman eating implement”. 2011年6月8日閲覧。
  3. ^ Sherlock, D. (1988)[要出典] A combination Roman eating implement (1988). Antiquaries Journal [comments: 310-311, pl. xlix]
  4. ^ Schwartz, Arthur. Naples at Table. Harper Collins, New York, 1996. p.130

関連項目