ナスタージョ・デリ・オネスティの物語、第一話

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『ナスタージョ・デリ・オネスティの物語、第一話』
イタリア語: Nastagio degli Onesti, primo episodio
英語: The Story of Nastagio Degli Onesti, part1
作者サンドロ・ボッティチェッリ
製作年1483年
種類テンペラ、板
寸法83 cm × 138 cm (33 in × 54 in)
所蔵プラド美術館マドリード

ナスタージョ・デリ・オネスティの物語、第一話』(ナスタ―ジョ・デリ・オネスティのものがたり、だいいちわ、伊: Nastagio degli Onesti, primo episodio) は、板の上にテンペラで描かれた、サンドロ・ボッティチェッリによる1483年制作の絵画である。マドリードのプラド美術館に所蔵されている。

歴史

絵は、1483年にロレンツォ・デ・メディチから、その年のルクレツィア・ビーニとの結婚式の際にジャンノッツォ・プッチに寄付するよう依頼された、4点のシリーズのうちの1点である[1]。 4点は、1868年に売却されるまでフィレンツェプッチ宮にあった。最初の3点は現在プラド美術館にあり、最後の1点はイギリス、オックスフォードシャーのチャールベリーにあるワトニー・コレクションにしばらく所蔵された後、今は元の場所プッチ宮にある。

解説と様式

ラヴェンナの貴族である『ナスタージョ・デリ・オネスティの物語』は、ジョヴァンニ・ボッカッチョによるデカメロンの5日目の8番目の物語である。このテーマは、恋愛のハッピーエンディングのために選択されたものである。パオロ・トラヴェルサーリの娘はナスタ―ジョの求愛を拒否するが、別の女性が恋人に対する同じ冷酷さの罪によって地獄の刑罰を受けるのを目撃した後、気が変わり、ナスタ―ジョと結婚式を挙げる。

物語の第一話のエピソードは、物語が展開する町ラヴェンナ周辺の松林を舞台にしている。ナスタージョは、自分の片思いの恋愛に失望して街を去り、一人で悲しみつつ彷徨う。彼は、騎士と彼の犬に追われている女性の突然の出現に驚く。ナスタ―ジョが彼女を守ろうとするにも関わらず、犬は彼女に噛みつく。

絵画の左側にはいくつかのテントがあり、ナスタジージョ(赤いテントの中にいる)が友人からしばらく町を離れるように勧められているのが見られる。次にナスタージョはクローズ・アップで示され、森を歩き回っている。彼は再び近くで棒を持って現れ、剣と金色の鎧の威勢のいい騎士に追われている半裸の女性を噛もうとしている犬を追い払おうとしている。

場面には強い物語的特徴がある。一つの画面内に連続する場面が表わされており、典型的に中世後期の手法(ナスタ―ジョの3つの姿)で描かれている。高い直立した木の幹が背景の水平線をなす海景と組み合わさって一種の格子を形成し、顕著な奥行きの効果をもたらしている。ほっそりとして、正装している人物の優雅さと、人や動物の優美な仕草を組み合わせて、ドラマは寓話と現実の魔術的均衡を実現している。

続く第二話で、ナスタ―ジョは、女性が犬に内臓を食われた後、生き返り、ふたたび騎士と犬に追われるのを目撃する。第三話では、ナスタ―ジョはトラヴェルサーリの娘の気持ちを自分になびかせようと、この騎士に追われる女性の幻影を見せる。第四話で、トラヴェルサーリの娘は気持ちを変え、ナスタ―ジョと結婚する。

4枚の絵の構想はボッティチェッリによるものであるが、制作は部分的に彼の助手たち、特に最初の3枚はバルトロメオ・ディ・ジョヴァンニ、4枚目はヤコポ・ダ・セライオに委ねられた[2]

ギャラリー

参考文献

  1. ^ Dempsey 2000.
  2. ^ Purado bijutsukan gaido bukku. Yayoi Kawamura. [Madrid]: Museo Nacional del Prado. (2009). ISBN 978-84-8480-189-4. OCLC 1187039972. https://www.worldcat.org/oclc/1187039972