トキワ来たれり!!

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トキワ来たれり
ジャンル 学園SFファンタジー
漫画
作者 松江名俊
出版社 小学館
掲載誌 週刊少年サンデー
レーベル 少年サンデーコミックス
発表期間 2015年1号 - 連載中
巻数 既刊5巻(2016年1月現在)
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

トキワ来たれり!!』(トキワきたれり)は、松江名俊日本漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2015年1号より連載中。

概要

主人公のような人々が巻き起こすスクールバトル漫画。前作『史上最強の弟子ケンイチ』の完結から、わずか2か月半で連載が開始された。連載開始の3号前(2014年50号 - 52号)に、本作の前日談となる『カナタ』『ハルカ』『DEMIII』の3作品を読切として連続で掲載した後、本編でその3作品の登場人物が登場するという異色の作品となっている。

魔法やロボットのような物が当然のように存在するファンタジー色が強いが、本作に登場するキャラクターが前作に登場したキャラクターの兄弟であることから、世界観は前作と共通している。

本作を始めた経緯について松江名は、サンデー編集長と松江名の意向により、前作を打ち切って連載を開始したことを明かしている。松江名によると、前作の全伏線を回収して終わらせるには、あと2年以上はどうしてもかかってしまい、2年後にサンデーがどうなってるかを考えて悩みぬいた結果、「少しでもサンデーを盛り上げたい」と新しいものを描こうと決断し、本作の連載を開始したという。また、最初は読切3作品のうちどれか1つをやろうと考えていたが、残りの漫画家人生のことを考えた結果、全部やることにしたという。主人公のようなキャラクターが多いのは、そのためである。本作は、「擬似家族」をテーマにしており、主人公・八坂トキワの成長を描く物語だという[1]

あらすじ

八坂トキワはブログ小説を執筆することが趣味な平凡な高校一年生。そんな彼のまわりには、忍者として怪異と戦う草薙カナタ、源術と呼ばれる物理法則を超えた力を操る弥多ハルカ、そしてある日突然トキワの家にやってきたヒューマノイド牧那デウスといった、主人公チックな猛者達が集まっていた。彼らの関係は単なるクラスメイトに過ぎなかったが、ある日トキワ、カナタ、ハルカの3人は、なぜか同じ夢を見ていることが判明する。互いの素性を知ったことでそれぞれの事情が絡み合った非日常へと足を踏み入れていくこととなり、退屈だったトキワの日常が劇的に変わっていくこととなる。

登場人物

声優は、サンデーCM劇場のもの[2]

トキワ団

八坂 トキワ(やさか トキワ)
声 - 小野賢章[2]
本作の主人公。16歳の高校一年生。運動は苦手で、勉強もそれほど得意というわけではない。両親が自分よりも仕事を優先していたため、みどり荘で一人暮らしをする前は親戚の元を転々とする孤独な幼少期を送っており、後述の一件で生死の境をさまよっていた時も周囲には親に連絡しないように頼んでいた。友達もおらず、「キュウザカ」のペンネームでブログに小説をあげるだけのさえない日々を送っていた平凡な文系少年であったが、デウスとの出会いを皮切りにカナタやハルカと交友を持つこととなり、今までの日常とはかけ離れた、非日常へと足を踏み入れていくこととなる。人間の感情の機微に鋭く、周りに流されやすいところもあるがいざというときには意志の強さを見せる。また、感性を持っているらしく、妖異の存在や審判の目を視認できる。自分以外の友人たちが全員主人公っぽいことに思うところがある。脱衣トラブルが多い。
引っ込み思案な性格で、当初は一般人だという理由から戦いに参加するつもりはなかったが、新たな友人のために戦いに臨む決意をした。咄嗟の判断に優れており、周囲の状況、仲間の能力から「勝利のストーリー」を導き出す能力に目覚めてゆく。多数決の結果、満場一致でトキワ団のリーダーに任命される。
「閃光の影法師」との交戦時に左手・右足を失う重傷を負うが「圏外」でない方のりいんの処置で一命を取り留め、破損したマキナの部品を再利用した義肢を装着される。マキナスボディーを利用して作られた義肢は非常に高性能かつ頑丈で、精神エネルギーを変換することにより義手からはマキナブラスターを放つことが可能。しかし自身の身体能力が性能に追いついていないため現状では持て余し気味なうえ、精神力を使いすぎると極度の虚脱状態に陥り、出力を上げると水をかぶった時にショートするという弱点も引き継いでいる。
草薙 カナタ(くさなぎ カナタ)
声 - 櫻井孝宏[2]
『カナタ』の主人公で、刃隠流忍術の二十三代目正当後継者である忍者。「志念技の法」という心の力を操り、心より刃を取り出す“志念抜刀法”の使い手。人々を妖異幻怪から守ることを使命としている。妖異の気配を感知したり、志念技を使用する時には左手にある紋様が浮かび、光り輝く。一人称は「拙者」で、語尾は「~でござる」。
日々修行に明け暮れているため身体能力は非常に高いが、術を人に見せるべきでないという考えから周囲には隠している。ただし普段から住宅街の屋根の上を走ったり窓から屋内に入ったりするため、「忍者だがちっとも忍んでない」と評されている。男友達が今までいなかったためトキワたちと友達になれたことにかなり喜んでおり、カナタ曰く、大抵の人は壁歩きを見せた辺りで離れていくらしい。顔には出ないが割と傷つきやすい。最近の悩みは父とみそ汁の味で好みが違うこと。男性陣では一番純情で、りいんの裸を見ては毎度鼻血を吹いている。身軽なので高所での大工仕事も得意。学生服の中に忍装束を着こみ、ズボンを帯で止め、足に草鞋を履くのが基本スタイル。得意ではないがある程度の結界術も使用可能で、妖異の出現数が増えて以来、頻繁に学校や拠点に結界を張って回っている。気配と共に生体反応も消せる為、その間はマキナにもカナタがどこにいるのか感知出来ない状態になる。
弥多 ハルカ(やた ハルカ)
声 - 山下大輝[2]
『ハルカ』の主人公で、審判の目(ジャッジメントアイ)の裁定によって現れる物理法則を超えた力、ソーサリー(源術)を操る源術師(ソーサリアン)。女優である母、由久恵とマジシャンであり東の賢者と言われた源術師の父、小十郎の子供。ファッションデザイナー志望。他人をあだ名で呼ぶ癖がある。男前なため女子からの人気は高く、学内にはファンクラブも存在する。
元々は普通の高校生として暮らしていたが、16歳の誕生日にアリアと出会い、マクガフィンとの戦いの中で封じられていた父の記憶を取り戻し源術師として覚醒する。ぶっきらぼうな性格で他人と距離を取っているが、なし崩し的に他のメンバーと行動を共にすることになる。正義感は人一倍強いため、憎まれ口をたたきながらも協力関係を築く。当初は「針金の男は踊る」のソーサリーしか使えなかったが、現在はアリアの指導のもと新たな源術を身につけるべく修行中。トキワ同様元は一般人だったため、超常の者たちとの戦闘については若干持て余し気味。クールに振る舞いつつも中々帰らない母を恋しく思っており、玄関チャイムが鳴ると母が帰宅したと思い込んで、モニターでの確認もせず無警戒にドアを開けてしまう。父から源術の基礎だけは徹底的に叩き込まれていた為、源術師としての潜在能力は高く、審判の目もまるで微笑むかのような姿を見せるなど彼を気に入ってるような素振りがある。
デウス・エクス・マーキナーⅢ世 / 牧那 デウス(まきな デウス)
声 - 内匠靖明[2]
『DEMⅢ』の主人公で、トキワの隣室に居住しているヒューマノイド。第一世代の『機械仕掛けの神』DEMⅠが作ったDEMⅡと呼ばれる機体の手で16年前に製造された第三世代機にあたる。男性型ではあるが性別はない。トキワの小説に何かを感じトキワのアパートを訪ね、彼との交流を深めるうちに人類の生態に興味を持つようになり学校に入学する。いつか感情を手に入れることを目標としているが、人の感情に触れる度にやたらと羨ましがる為、ハルカからは「それは感情じゃないのか」と突っ込まれている。事実、閃光の影法師からも「まるで心の力のような物を感じる」と評されるなど、既に人の心を獲得しているかの描写がされている。当初は人としての機微をまるで理解出来ず、子供が車に轢かれる事がわかっていながら助けようともせず放置するなど、トキワ以外の者は別にどうなっても構わないという非情なスタンスであった。
体中に高性能な機械や兵器が埋め込まれているだけでなく、便利な道具を自作できるなど非常にスペックが高い。ただし、精密機械であり人工皮膚から熱交換を行っているため、水に非常に弱く大量の水をかぶったり飲み物を飲むと数分間行動不能になる。また、高性能GPSとジャイロに狂いが生じるため、人並みに絶叫マシンが苦手。
DEMⅡの遺産の一つであるため、科学力を崇拝する組織「エニグマ」から身柄を狙われている。
学校で「閃光の影法師」と交戦した際にボディーを大幅に損壊したうえ自爆することでサポートしたためデウスニウム合金の脳殻で包まれた頭脳部分を除く全身を失う。現在は音声のみでトキワたちをサポートしながら、DEMⅡの手で新たな体を製造してもらうのを待っている。
八重垣 めぐる(やえがき めぐる)
カナタのお隣さんで幼馴染。高校一年生でありながら生徒会長を務めている才女で成績も非常に優秀。着痩せする性質らしくそこそこ胸も大きい。これまではただの一般人として生きてきたが生徒会の仕事中に妖異に遭遇してしまい、その時にカナタの秘密を知る。以来、妖異に会いやすい体質となってしまっている。マキナの反則じみた技術で学業をこなすのは良しとしておらず、生徒として入学したアリアにも自分で勉強を教える事で学業をクリアさせようとするなど、不正を許さない品行方正な性格。巨大な妖異幻怪に取り込まれた不良達を助け出すべく、単独で立ち向かうなど確かな正義感も持っている。トキワ団の秘密を知る一人として、依頼などの整理を行うサポートの役目を担っている。りいんによれば彼女も大きな流れに関わる一人とのこと(天啓の勇傑かどうかは不明)。
弥多 アリア(やた アリア)
声 - 芳野由奈[2]
世界中の源術師から「アニマムンディーの乙女」と呼ばれその身を狙われている謎の少女。とがった耳が特徴的で、デウスによると人間ではないらしい。かつては『仄暗い深淵の檻』と呼ばれる場所にいたらしいが、その後何らかの要因によりそこを抜け出し、東の賢者の子であるハルカのもとに身を寄せる。彼の保護下で生活していたが、住居が他の源術師に割れてしまったため、みどり荘に引っ越すこととなる。当初は名前がなかったが、デウスによりトキワの小説の登場人物から引用する形で命名され、ハルカの遠縁という形でハルカと同じクラスに転入してきた。ケーキが好物。ノーパンであり、事あるごとに読者に生尻を披露する。神々しい印象を与える美少女だが、華奢な体形なためかりいんの「けしからん体つき」に思うところがある模様。現在の学力はお世辞にも高校生レベルとは言えず、ひらがなとアルファベットが書ける程度であるが、アニマムンディーの乙女の「知る力」によってテストの回答を漠然と理解することができる為、それでなんとか凌いでいる(ただしトキワよりテストの点数は高い)。また、源術の要訣を知る事で他者にもその源術を使えるようにしたり、源術師の「審判の目」を封じる、他人に生命力を吹き込んだりといった様々な特殊能力を持つ。身体に身に着けているアクセサリーはアニマムンディーの乙女の力を抑える拘束具の役割を持っている。
りいん(REIN[注 1]
声 - 喜多村英梨[2]
本作のヒロイン。無線LANを介して「天啓の勇傑」であるトキワ、カナタ、ハルカの3人の夢に現れ、意味深な発言をする謎の存在。その正体は電脳空間で生まれた全く新しい自我であり、情報生命体とでもいうべきもの。孤独な幼少期を送っていたトキワにできた初めての友人だったが、トキワの脳が成長したためそれまで利用していた貧弱な回線では長い間接触出来なくなっていた。癒し系サイト「ヌエシステム」のイメージキャラクターでもあり、電脳世界で幾多の人間の相談を受けたことで感情を手に入れている。
後にDEMⅡが残した生体三次元プリンターから肉体を構成して現実世界に現れる。電脳世界にいた時は脳によって性別や容姿などの捉え方が変わっていたが、現実世界ではオパールとスターサファイアを混ぜた様な瞳を持つスタイル抜群の美少女となっている[注 2]。現在の一人称は「ボク」。現出直前に受けた電脳世界での攻撃により大いなる知識の一部が失われており、トキワ団の面々に伝えるはずだった事すら忘れてしまったためハルカには「圏外」という不名誉なあだ名をつけられている。現在残っている知識は雑学程度で、生体になったことで高度な計算能力やGPS機能は失われている。身体能力は非常に高く、「全能の技(アルマイティー・アーツ)」という武術を使うと銃で武装した敵を一網打尽にするほどである。首元につけたチョーカー状のプラズマシート発生装置は、目視した衣服を再現するのみならず、戦闘服や武器としても使うことができる(武器や防御シールドに使用した部分は服が消え、肌が露わになる)。他にも高速で飛行出来る能力も有し、トキワ達の会話の最中にも部屋の中で浮かんでいる様子がある。

カナタの父
刃隠流忍術を使う忍で右目に眼帯をしている。実はかつての天啓の勇傑の一人。左手の小指だけでトキワ団を皆殺しに出来ると豪語するほどの達人で、その実力は未だ健在。食事は濃い目の味が好みらしく、カナタ好みの薄味の味噌汁では飲んだ気がしないと度々文句を言っている。

源術師(ソーサリアン)

弥多 小十郎(やた こじゅうろう)
ハルカの父。高名なマジシャンとして名を馳せていたがショー公演の最中に事故死している。その正体は「東の賢者」と呼ばれた凄腕のソーサリアンで、かつての天啓の勇傑の一人。数々の源術を操り、それらを手品としてハルカに伝授していた。子供のハルカでは秘密を守り切れないと考え、現在その技術と記憶は彼によって封印された状態にある。特に「針金の男は踊る」の源術がお気に入りだったらしい。他にもアリアがハルカの所へやって来る日を言い当てるなど、源術かどうかは不明だが未来予知のような力も持っていた。
マクガフィン
アニマムンディーの乙女を狙う源術師。とんがり帽子にマントという奇抜な服装と、妙なたとえを多用する口調が特徴的な男。複数の源術を使用する実力者だったが、圧倒的優位に立っていたという油断もあって源術に覚醒したハルカによって撃退され、敗北を認めて撤退した。
金使いのソーサリアン
アリアを狙って現れた『金』をキーとする「キネティックマネー」を使う源術師の一人。殺しに慣れている悪党で、トキワたちを殺害しアリアを連れ去ろうと画策、格下の能力ながら練度は高く、ハルカを実力でねじ伏せ翻弄したものの、カナタによって精神のみを断ち切られて意識を失い、アリアに審判の目を封じられ謎の存在に連れ去られる。
閃光の影法師
ソーサリアン至上主義者である「光の目(エイコズクロヘラ)」の一人。十字に開く瞳孔が特徴の美青年。『影』をキーとするソーサリアンで、「影の甲冑(ベオザサ・ベオザトトルク)」を主力に使うほか、カナタの渾身の一撃を白刃取りで防ぎ、反撃までも加えるなど武芸者としても高い実力を持つ。かつてはトキワと同じく自分の居場所を見つけられない者であったと語り、自分の生命ではなく、世界の方を終わらせる事を決めた結果、トキワ達の敵として暗躍する事になる。しかし、飛び降り自殺しようとした少女を助け、その境遇に同情するなど一概に悪人とは言い難い性格をしている。
アニマムンディーの乙女を狙いトキワ達の高校を突如現れ襲撃を開始、一般生徒を影で包んで行動不能にし、屋上でハルカとデウスの二人を相手に圧倒的な実力で戦闘不能に追い込み、トキワの左手・右足を切断する。駆けつけたカナタやりいんをも一蹴したが、トキワ達によって予想以上の抵抗を受けた結果、アリアを得ることはできずに撤退した。瀕死の状態でありながらカナタを庇い、更に自分のソーサリーの正体を伝えてみせたトキワを素直に賞賛、戦士と認めた。

エニグマ

指令
名称は不明。「あらゆる科学の暴走を人類の有益な流れに正す」などと言い、一見すると温和な好々爺に見えるが、マキナが手に入れば他の者に用はないから始末しろと平然と言ってのけるなど、内面は残忍かつ独善的。マキナの弱点も知り尽くして彼を封殺する作戦を準備しているなど、ただ科学技術に胡座をかいているだけの人物ではない。しかし、りいんという予想外の戦力がいた事でマキナの奪取に失敗してしまい、その場から撤退。その後は銀行などを襲撃し、保管されている兵器の設計図を集めるなどの犯行を重ねて暗躍している。

妖異幻怪

彼の地からこちらの世界へとやって来る者達。物体に取り付いて動き出すタイプでなければ基本的に物理攻撃は通用せず、心の力を加えなければまともにダメージを与えられない。討伐されても死ぬ訳ではなく、繋がりが断たれてもう一つの世界に帰るだけらしい。
巨大な妖異
名称は不明。PROLOGUE1『カナタ』に登場した山のように巨大な身体を持つ妖異。トキワ達のいる街付近一帯に身体を分割して封じられており、その力を厄災から守る力として逆用(神道における荒魂のようなものと思われる)していたが、不良達が祠を破壊してしまった事により封印が破れ。腕の部分だけが復活してしまった。しかしカナタの活躍によって被害が出る前に討伐された。
天井嘗
「表面」という概念を喰らう妖異で、異界と通じるとされる天井を嘗める。舌の周りは空間がゆがんでおり、飛び道具を無効化できる。単一の素材でできたものは一嘗めで消滅してしまう。
トキワ達の学校に夜な夜な現れ、めぐるを襲ったが、カナタ達の手で討たれた。
天火
厄災の前兆と言われる妖異で、落ちた家に不幸が訪れたとされる。燃え盛る火の玉のような姿をしており、一般人にはきれいな夕焼けのように目に映る。
トキワ達が住む町に落下した。
小豆とぎ
「人が気になる音」を発しておびき寄せる性質を持つ妖異。人の気を喰らう能力を持ち、襲われた人間は魂が弱り死に至る。異界に存在を隠すことができるため物理攻撃は効果が薄い。人の体をしびれさせる轟音を発することができる。
トキワ達がの住む町の近くでストリートミュージシャンに扮して「魂抜き事件」を起こし5名の被害者(うち4名が死亡)を出すが、トキワの捨て身の作戦の結果討伐された。
狂骨
井戸に捨てられた死人の怨念が妖異になったもの。邪悪な雰囲気を放つ幽霊のような姿(トキワ曰く「生理的に無理なタイプ」)。物理的な攻撃は通用せず、足元の闇に人間を引きずり込もうとする。100年以上前に古井戸に捨てられた人骨が妖異となり、琴広家の人々を苦しめていたがカナタに討たれた。
傘一本足
長く使われたものに魂が宿った付喪神の一種。傘の柄の部分が足に変化している。人を空に舞い上げる呼風攻撃を使う。ゴミ捨て場に捨てられたビニール傘が邪悪な志念を帯びて生まれたものが複数体出現したが、トキワ団の依頼を受けたカナタに全て討伐された。

警察関係者

鈴木 ゼンバイザー(すずき ゼンバイザー)
化学の領域を超えた事件を専門に扱う特務広域捜査官。ソーサリアン対策で本名を隠しており、上記の名前はトキワに対して名乗った偽名で、名前を尋ねられた際にヘッドホンの看板が目に入ったのでそこから適当に名乗った。雰囲気が怖く初対面で怯えられることが多いのを気にしている。かつては天啓の勇傑の中でもリーダーを務めており、戦いの中で多くの仲間を失ったトラウマを抱えている。
超能力者(サイキッカー)で、相手の脳に直接イメージを送り込む、障壁を張る、読心、壁抜け、サイコメトリーなど多彩な能力を持つ。トキワ達の前に現れたり去ったりする時は唐突に壁をすり抜けるなどの不気味な方法を使うので、大抵は驚いた面々によりパニックが起きる。元々はトキワと同じくただの一般人だったらしく、自分と同じく一般人ながら超常の存在に関わるトキワを気にかけており、いろいろと忠告をしていたが、最終的にトキワ自身が自分の意志で超常の世界に踏み込んでしまった為、その揺るぎなき覚悟を認めている。
警察上層部が超常の存在に対して無差別に恐怖を覚えた結果自分の行動まで制限されることになり、閃光の影法師との戦いを経たトキワ団の面々に自身の捜査を手伝ってもらうように依頼するなど、今代の天啓の勇傑であるトキワ達を成長させるべく協力関係を築いている。圏外である方の天真爛漫なりいんとは特に問題なく接するが、もう一つの人格のりいんとは『何者か知らないが簡単に言ってくれる』『偉そうな』などとお互い反りが合わずに反目し合っている状態にある。
結城(ゆうき)
トキワ達のアパートの近くにある交番に勤務する警官で階級は巡査。情報収集の為に街に飛び出すりいんの保護を度々行うのでトキワとは顔見知りになっている。後に超常現象に属する狂骨事件に遭遇、同僚の静止を振り切って、りいんの救助の為に発砲を行った。事件後の聴聞会議でありのままを話し「自分は市民の生命財産の為に警官になった、どんな処分も覚悟の上です」とキッパリ言ってのけるなど正義感溢れる人物。その迷いのない真っ直ぐな心を評価され、ゼンバイザーによって昇進となった。

学校関係者

安永 福太郎(やすなが ふくたろう)
トキワ達のクラスの担任。前作に登場した安永福次郎の兄弟。異常なまでに物わかりがいい。
春日井 あずさ(かすがい あずさ)
ハルカに好意を寄せる女子生徒。妖異「小豆とぎ」に遭遇し生気を抜き取られ死にかけるが、アリアに息吹を吹き込まれたことで助かった。
琴広(ことひろ)
トキワ達のクラスメイトの女子生徒。自宅の庭に現れた幽霊(狂骨)に苦しめられており、たまたま妖怪の本を持っていたトキワにすがる想いで必死に相談するなど、かなり追い詰められていた。入学式の時からトキワは妖怪とか幽霊に詳しそうな感じがしていたと思っていたらしい。

その他の人物

DEMⅡ(デムツー)
DEMⅠ(デムワン)によって造られ、技術の連鎖によって本編から16年前にマキナを造り出した彼の親とも呼べる存在。マキナスボディーを始め、現代の科学とは比べ物にならない技術を用いた数々の痕跡は未だ稼働状態で残されている。現在は消息不明。

使用された技、術

刃隠衆忍法

千里真眼(せんりしんがん)
千里眼の如く、遥か遠くの物まで見通す術。(使用者:草薙カナタ)
百尺通し(ひゃくしゃくどおし)
高速の突進と共に全身を前方回転させながら力を溜め込んで斬り付け、文字通り百尺にも渡る剣圧で敵を両断する。(使用者:草薙カナタ)
刃金独楽(はがねごま)
独楽のように身体を回転させて瞬時に敵の四肢を寸断する。(使用者:草薙カナタ)
鏡飆唐竹割(きょうひょうからたけわり)
相手の腹部に刃を刺し込んでから捻り込み、身体の反転と共に刀を真上に斬り抜ける。(使用者:草薙カナタ)
志念居合い斬り(しねんいあいぎり)
志念の刃を生み出す際、自分の手を鞘代わりにして居合いを行う。(使用者:草薙カナタ)
雷針破(らいしんは)
手裏剣を敵に打ち込み、その部分に目掛けて雷術を疾走らせる。(使用者:草薙カナタ)
秘剣 逆襷(さかだすき)
脚撃を叩き込んでから相手のバランスを崩し、肩口を勢い良く下から斬り上げる。(使用者:草薙カナタ)
秘剣 九字斬り(くじぎり)
九字の志念を込めた九つの斬撃を敵目掛けて同時に叩き落とす。(使用者:草薙カナタ)
秘剣 狂独楽(くるいごま)
相手に密着しつつ、回転しながら無数の剣撃を浴びせる。(使用者:草薙カナタ)
分け身(わけみ)
分身を作り出し敵を翻弄する。破壊された分身は光の粒になっていた事から志念で形成された物と思われる。(使用者:カナタの父)

源術

針金の男は踊る(はりがねのおとこはおどる)
フェイズスリーの源術で『針金』をキーにして発動する。棒状の金属なら針金として認識可能で、大量のフェンスを編み上げて更に大きな針金として扱う事も出来る。ただしそれらを折り畳まれて塊にされたりすると承認されなくなる。呪文は『エワレケフホ・イングニスホ・イングニワ』(使用者:八咫ハルカ)
火を生み出す源術(仮称)
詳細は不明。呪文は『エオルヒクレ』(使用者:マクガフィン)
とりはずす
フェイズ、キーは不明。文字通り物体の一部を取り外す事が可能になる源術。マクガフィンは人間の首を外した後に元に戻していたが、アリアの台詞から察するに、本来は生物に使う術ではないらしい。呪文は『レイズレヘチツ』(使用者:マクガフィン)
見通す源術(仮称)
詳細は不明だがテレビカメラを覗き込み、アリア達の居場所を探り当てた。呪文は『イサチコセヨ』(使用者:マクガフィン)
線を通る
フェイズ、キーは不明。テレビカメラに潜り込み、スタジオからハルカの家に直接現れた。おそらく前述の見通す源術と併用し、マクガフィン自身かアリア達の視線を通ったと思われる。呪文は『バコアアカノキワ』(使用者:マクガフィン)
道をそれない
フェイズ、キー、呪文は不明。対象にかける事で現在歩いている『道』から外れる事が出来なくなる。(使用者:マクガフィン)
岩を炎に
フェイズは不明。キーは『岩』。持っていた物を『岩』ではなく小さな『石』として認識してしまったのか不承認だった。呪文は『オーズンアメホサヘ』。(使用者:マクガフィン)
石の狼
フェイズは不明。キーは『石』。周囲の石をかき集め、巨大な狼を作り出して操る。呪文は『オーズセフケコシラ』。(使用者:マクガフィン)
キネティックマネー
フェイズワンの源術で、キーは『金(かね)』。硬貨や札を使用して爆撃やバリアによる防御を行い、相手が触る事を条件に爆破を作動させるなどトラップとしての使い方も出来る。金額の高さがそのまま威力に換算される他、使用した金は消滅してしまうのので、術者が金持ちである程に気軽に使う事が出来る。爆破の呪文は『アークハヘナシオ』、防御の呪文は『エモーハフタロケヤソ』。(使用者:金使いの男、八咫ハルカ)
影の甲冑(ベオザサ・ベオザトトルク)
フェイズ、呪文は不明。キーは『影』。身体に纏わせる事で攻防一体の隙のない戦いが可能になる。自身の影のみならず、相手の影をも操り背後から攻撃を加えるなどの不意を突く事も出来る。本来の使い方は名前が示す通り自身に甲冑のように纏わせる事で、この状態になると飛躍的に身体能力が上昇する。ただしこの状態は強化媒介であるネックレスの石がなくては維持出来ないらしく、トキワによってその石が奪われた途端に解除されている。また強烈な閃光を浴びるとその時に発動していた影が消失し、僅かの間ではあるが無防備な状態になってしまう弱点も持っている。(使用者:閃光の影法師)

科学

マキナスプラズマフィールド
プラズマフィールドを作り出しバリアを形成する。閉じ込める対象物は選別出来るらしく、生物、無機物を排除して池の水だけを浮かび上がらせる事も可能。長時間は維持できないと思われる。(使用者:牧那デウス)
マキナスブラスター
腕から熱線を撃ち出して攻撃する。マキナが扱っていた時は威力の調節が可能だったが、トキワは威力の調節が出来ず、ほぼフルパワーで発射する事しか出来ない。(使用者:牧那デウス、八坂トキワ)
マキナスブラスターセカンドパワー
ブラスター主砲の周囲に装備された三門の副砲から放つ熱線。マシンガンのように連射が可能。(使用者:牧那デウス)
マキナスビーム
目からビームを撃ち出す。使用の際はこめかみの部分に手を当てる描写が多いが、しなくても使用は可能。おそらくより確実に照準の固定を行う為だと思われる。(使用者:牧那デウス)
マキナスプラズマボール
両手の間に発生させた5個の光球を投げつける技。「五体を引き裂く」との事だが、ゼンバイザーには当たらなかったので、実際の効果は不明。(使用者:牧那デウス)
マキナスノヴァ
全身のセーフティ解除の後、『デウスモード』を解放し、両手から放たれる極大出力の一撃。閃光の影法師には通用しなかったが、その時の威力は全身に受けたダメージによって16%の出力まで低下していた為、本来の威力なら通用していたかどうかは不明。(使用者:牧那デウス)

全能の技

プラズマリボン
エネルギーを新体操のリボンのように形成して自在に操る。巨大ロボットを一撃で切断する程の威力を有するが、妖異の狂骨には全く通用しなかった事から分類上は科学に属する技だと思われる。(使用者:りいん)
プラズマフレア
エネルギーを周囲に放射する。使用の際には強い発光が起きる。(使用者:りいん)
プラズマシールド
エネルギーで攻撃を防ぐ盾を作り出す。平面の円にしか形成出来ないらしく、多数の一般人を銃撃から守る際には大小様々なシールドで囲み隙間を埋めていた。(使用者:りいん)
プラズマフィールド
自身の周りを囲むバリアを形成する。発動中は全エネルギーを使う為、全裸の状態になってしまう。(使用者:りいん)

用語

三つ巴
りいんが夢の中でトキワに伝えた言葉で『からくりは影に勝り、影は心の力を翻弄し、そして心の力はからくりは凌駕する』という典則。すなわち『科学は忍術に、忍術は源術に、源術は科学に強い』本作のルールを指す。(例を上げると、源術師は心の力を持たない科学で打ち破る事は困難だが、身体能力は一般人とほとんど変わらない源術師の一瞬の隙を突いてバリアを潜り抜ける事が可能な忍者には弱いなど)。ただしこの強弱関係は絶対の物ではなく、閃光の影法師の使う影の源術ならマキナの光学兵器で消去可能になるなど、使用する攻撃によっては効果を発揮する場合もある。
トキワ団
みどり荘を拠点として活動する事になったトキワ達のグループ名で、リーダーは満場一致でトキワに決定した。名称は妖異の情報を集めやすくするべく、マキナとアリアがネットにサイトを作る際に名付けた物。妖異の目撃情報を集める役目もあるが、毎日のように捌き切れない程の情報(中には明らかなイタズラもある)が入る為、めぐるやアリアがある程度の情報の選別を行っている。
ヌエシステム
電脳空間にいた頃のりいんが運営していたサイトで正式名称はNUE(Network Utopia Engine)。『自立思考型対話プログラム』『自動作曲システム』『オートコレオグラフィーユニット』を一つに統合した癒し系サイト。閲覧者が悩みを入力すると、マスコットキャラ達が歌や踊りと共に解決方法を返してくれる。りいんはここで数百万にも渡る人々の悩みを聞き、解決してきた事で自我を得るに至った。
存在の時(そんざいのとき)
超能力や幽霊などの超常現象と呼ばれる物が現実に現れ始める期間で、『彼の地』と呼ばれるもう一つの世界がこちらの世界に近付く事で発生する。歴史上幾度も『ある期間』と『ない期間』が繰り返されており、本来は100年程の周期で繰り返される。しかし数十年前に突然、存在の時が訪れた結果、各勢力が覇権を得るべく凄まじい大戦へと発展してしまった。そして今度訪れる存在の時は今までの比ではなく、完全に二つの世界が融合する程の事が起きると予想されている。それはこの世界の終焉を意味し、ゼンバイザー曰く、『アルマゲドン』や『審判の日』と呼ばれるモノらしい。
彼の地(かのち)
トキワ達の住む世界とは別にあるもう一つの世界。妖異やソーサリアンの力の源は向こうの世界から流れ込んでくるもの。二つの世界は一定の周期を持って近付いたり離れたりを繰り返しており、世界が近付く度に超常現象が発生する世界へと変わる。
源術(ソーサリー)
科学とは違う独自のルールで機能する現象。熱力学や質量保存などのあらゆる法則を超越する力で使用者は源術師(ソーサリアン)と呼ばれる。源術の使用には二つの条件があり、一つは『針金』『石』『金』『影』といったキーを術者が認識し、対応する呪文を詠唱する事。もう一つは審判の目(ジャッジメント・アイ)と呼ばれる目の形をした裁定者に術を承認してもらう事で、両方の使用条件を満たしていなければ源術は不発になる。目のデザインは術者によって違っている。この使用条件の幅は術者のイメージや認識によって大きく左右されるらしく、ハルカは線路を巨大な針金と認識する事で『針金の男は踊る』の術の行使を可能にしていた。ただし術者が完全にそうだと思い込んでいても術の承認が降りない事もある(キネティックマネーの術者はパチスロのコインを金だと思い込んで投げ付けたが承認されなかった)。また源術には『フェイズ』というランクが存在し、これが高いほど強力な術となるが、練度によってはフェイズが低くても格上との差を覆す事は可能になる。小十郎がそうであったように太平の世では源術師は源術を手品と称し、マジシャンとして生きていく事が多かったらしい。
アニマムンディーの乙女
巫女と呼ばれ、本編ではアリアの事を指す。巫女を手に入れた者は世界の覇権を得るという源術師の伝説がある。術者の審判の目を強制的に閉じたり、他者の源術の要訣(呪文と術のイメージ)を得る事で源術を他者に伝達する力を持っている。すなわち彼女を意のままに操れば、他の源術師の力を奪い、更には全ての源術を手中に収める最強の源術師になれるという事に繋がる為、これが前述の世界の覇権を得るという伝説の根拠になっていると思われる。先代のアニマムンディーの乙女もいたらしいが、ゼンバイザーによれば『消滅した』との事。
刃隠衆(はがくれしゅう)
カナタの家系が属する忍集団。どこかに忍衆をまとめる里があるらしく、カナタの父が情報を問い合わせていると語っているシーンがある。近接術を主体としている為、結界術などは得意ではない。
光の目(エイコズクロヘラ)
源術師こそが世界を平定する権利を持った存在と信じている集団。アニマムンディーの乙女を手に入れる為なら一般人相手でもなりふり構わず始末しようとする凶悪なメンバーも所属している。
エニグマ
科学力を崇拝し、世界を我が物しようとする集団。あらゆる科学技術は自分達が管理すべきという考えを持っている。彼等も一般人の被害などお構いなしに行動する為、行動する度に重軽傷者が何人も出ている。

単行本

  1. 2015年2月18日発売 ISBN 978-4-09-125596-9
  2. 2015年4月17日発売 ISBN 978-4-09-125800-7
  3. 2015年7月17日発売 ISBN 978-4-09-126187-8
  4. 2015年9月18日発売 ISBN 978-4-09-126247-9
  5. 2016年1月18日発売 ISBN 978-4-09-126499-2

脚注

注釈

  1. ^ 単行本第1巻の表紙カバー裏面側に描かれたイラストに「REIN」と記載されている。
  2. ^ この姿はトキワのPC中のデータを参考にした理想の値であるらしく、その結果トキワは女性陣から白い目で見られ、男性陣からは称賛のまなざしを送られることとなった。

出典

  1. ^ 松江名俊「トキワ来たれり!!」インタビュー - コミックナタリー
  2. ^ a b c d e f g 「トキワ来たれり!!」小野賢章や櫻井孝宏出演のCM公開、5巻は本日発売”. コミックナタリー (2016年1月18日). 2016年1月19日閲覧。

外部リンク