テクノポリス21C
『テクノポリス21C』は、1982年7月7日より東宝系(モーニングショー)にて公開されたSFアニメ映画。上演時間79分。
概要
製作当時における近未来、21世紀初頭の科学都市を舞台に、人間と人工知能の人型ロボットがパートナーとなり犯罪に立ち向かうSF刑事アクション。タイトルの「テクノポリス」とは、当時話題となっていた高度技術集積都市計画(Technopolis)と、科学警察(Techno-Police)を掛けたもの。
アートミックが企画し、設定・デザインなどにスタジオぬえが全面協力する形で構想が練られた。当初は『フューチャーポリス 99(ダブルナイン)』という仮題で、キャラクターのアニメとメカニックの実写特撮を合成した作品として企画され、その後、全編アニメとなり、テレビスペシャル用の作品が製作された。
制作事情によりテレビシリーズが流れ、企画発足から4年目を費やし、ようやくスペシャル用のエピソードのみ劇場公開という形に至った。それほど注目されなかったものの、後の『超時空要塞マクロス』や『機甲創世記モスピーダ』に通じるリアル志向のメカニックデザインが見られる作品である。
3体の刑事ロボット(テクロイド)や戦車などのプラモデルシリーズがアオシマから発売されている。パッケージにはいずれも「PLANED BY TOMY」の記載があり、商品は発売していないもののトミーが何らかの形で関わっていたようである。
ストーリー
西暦2001年、未来都市センチネルシティーではメカを悪用した犯罪が多発していた。警察内に特捜マシン隊「テクノポリス」が設立され、村上博士が開発した「テクロイド」と壬生京介ら選抜メンバーが協力して凶悪事件を捜査することになる。そんな折、空軍が開発した空挺戦車テムジンがテロリストにジャックされ、センチネルシティー市街地に乱入する。犯人を逮捕したものの、自動プログラムが作動したテムジンが暴走。テクノポリスは必死の追跡の末、波止場でのクライマックスを迎える。
登場人物
- 壬生京介(みぶ きょうすけ)
- 声:安原義人
- テクノポリスに抜擢されセンチネル・シティに転属してきた警察官。25歳。テクロイド・ブレーダとコンビを組む。愛車はロータス7。自称メカ音痴だが車の運転はレーサー並み。愛銃はコルト・ローマン357マグナム(2インチ)。身長182cm、体重80Kg。
- 風吹エレナ
- 声:滝沢久美子
- 中央捜査局出身のエリート。20歳。テクロイド・スキャニーとコンビを組む。特技は合気道。身長164cm。愛銃はワルサーPPKスーパー。お酒に弱い。
- 香坂かおる
- 声:池田勝
- 地方警察の出身。身長202cmの大男で、趣味はシャンソンと園芸。35歳。テクロイド・ビゴラスとコンビを組む。愛銃はコルト45ロングノーズ。名前にコンプレックスを持っている。
- 鳴海吾郎 (なるみごろう)
- 声:内海賢二
- テクノポリスの創設者。45歳。中央捜査局出身。身長190cm、体重125Kg。
- マリオネラ綾部
- 声:幸田直子
- 鳴海の秘書。27歳。
- スクラッチ
- 声:滝口順平
- 無骨な元戦車兵。敵国に金で雇われ戦車ジャックを企む。
- クライム
- 声:青野武
- スクラッチの相棒。クールでメカに詳しい。
- 高木望
- 声:稲垣悟
- パイプの男
- 声:大木民夫
登場メカニック
テクロイド
凶悪犯罪に立ち向かうため開発された人型ロボット。
各個が特技を持ち、人間の捜査官に協力して捜査を行う。基本的には捜査官の命令により行動する。
- ブレーダー
- 声:大林隆介
- 万能型で高速戦闘に優れる。身長210cm、体重105kg。ボディーは軽合金製。
- 手足首にワッパガンと呼ばれる射程30m・射出式の手錠を内蔵。証拠録画用ビデオカセット。赤外線探知器。組み立て式大口径ライフル。バックパックを装備して飛行可能。司令は口頭もしくは専用コントローラーにより行う。レスキュー活動に関しては人間の命令無しに自らの判断で遂行可能。水素燃料で機動している。学習型コンピューター搭載。ボディーが破壊された場合や緊急時には頭部と胴体のみが脱出して司令車に帰還する。足の裏にタイヤを装備。
- スキャニー
- 声:島津冴子
- 女性型で情報分析能力が高い。身長170cm、体重70kg。ボディーは特殊プラスチック製。
- 頭部に多目的プローブで最長で10m伸縮する。顔面全面がマルチアイになっている。胸部には分析装置を内蔵。
- ビゴラス
- 重装甲型で格闘戦に優れる。身長255cm、体重450kg。ボディーは特殊スチール製。
- 声は発しない。他のテクロイドと比べてコンピューターの容量は少なめで判断能力に欠ける。水中行動が可能。高熱や砲弾に強い。デザイン・イメージは耕運機。
兵器
- MBT-99A テムジン
- 国防庁の依頼を受けた銀星工業によって次期主力として極秘開発中の空挺戦闘中戦車。動力はガスタービン・エンジン、履帯は前後独立式であり、4つの履帯のうちいずれかを破壊されても行動不能に陥ることはない。最大速度は160 km/hで、さらに内蔵式のエアバックによって水上航行および潜水も行える。装甲はスペースド・アーマーを採用。主砲は、アートミックデザインワークスでは155mm無反動砲、スタジオぬえデザインブックでは120mm無反動砲とされている。他にミサイルなどの自動迎撃機能を有するリモコン式の30mm対空レーザー自動小銃1基、誘導ミサイル6発、7.7mm対人機銃1基を装備。乗員は2名。自立型の状況判断可能なコンピューターを搭載しており、乗員の死亡時には作戦プログラムに従い無人戦闘システム「コマンドII」により自動操縦で作戦を遂行し、主砲弾を撃ち尽くすと60秒後に自爆する。
- MBT-90 マズルカ
- 八州重工製の現用空挺突撃戦車。車体に直接取り付けられた155mm無反動砲、砲塔に30mm3連ガトリング砲とロケットランチャーなどの武装を有するが、テムジンには歯が立たない。ターボチャージド・ロータリーエンジン搭載。形式番号は、アートミックデザインワークスおよびデザイン画ではMBT-90D、スタジオぬえデザインブックではMBT-90Tとされている。
その他
- ロードレンジャー
- 九星工業製の6輪大型オープンカー。テクノポリス隊員やテクロイド3体を運送する。動力はガスタービンエンジン。全長7.3m。装甲車並みの性能を持つ。後部にピゴラス用キャリアを装備し、使用時には引き出して使う。車体後部にブレーダーとスキャニーを格納し、それぞれをカタパルトで射出可能。レーザー、ミサイル、7.7mmミニガンを装備。左ハンドル。ナンバーには「TPR-01」と表示されている。
- スカイパック
- ロードレンジャーを空輸する万能ヘリコプター。テクノポリス見習いの高木望が操縦する。
- テクドッグ・トム
- ロボット犬。テクノポリス隊のマスコットキャラクター。原案は天野嘉孝。それを細野不二彦をモデルに宮武一貴がクリンナップした。
- ロータス・スーパーセブンシリーズ4
- 壬生京介の個人所有車。20世紀のオープンカー。
スタッフ
- プロデューサー:森岡道夫
- 総監督:松本正志
- 原案:鈴木敏充
- 脚本:松崎健一、星山博之、山本優、松本正志
- 脚本監修:佐々木守
- 演出:大貫信夫
- 音楽:久石譲
- キャラクターデザイン:天野嘉孝
- メカニカルデザイン:宮武一貴
- 美術設定:中村光毅
- 作画監督:平山則雄、大川こうぎ
- 撮影監督:新井隆文
- アクション構成協力:河森正治
- 美術監督:勝叉激
- 企画:坂野義光
- 製作:東宝、東宝映像
- 製作協力:ドラゴンプロダクション、スタジオぬえ
主題歌
- 歌:藤原誠 ビクターレコード