チヂミザサ

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チヂミザサ
Oplismenus undulatifolius
Oplismenus undulatifolius(2008年10月11日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : キビ亜科 Panicoideae
: キビ連 Paniceae
: チヂミザサ属 Oplismenus
: チヂミザサ O. undulatifolius
学名
Oplismenus undulatifolius
(Ard.) Roem. et Schult.
シノニム

Oplismenus hirtellus
Oplismenus hirtellus subsp. undulatifolius

和名
チヂミザサ(縮み笹)、ケチヂミザサ
変種
  • ホソバチヂミザサ O. u. var. imbecillis
  • コチヂミザサ O. u. var. japonicus
  • チャボチヂミザサ O. u. var. microphyllus

チヂミザサ(縮み笹、学名: Oplismenus undulatifolius[1])は、イネ科チヂミザサ属一年草である。

和名は、の形がササに似ていて、やや縮んだようなしわがあることから。

特徴

は枝分かれしながら地表を這い、多数の葉をつける。

葉は長さ3-7cmの卵状楕円形で、先端へ向かってやや細まり、先はとがる。葉の基部は葉鞘となって茎を抱く。

は茎の節ごとに出て、茎を地面に固定する。

に咲く。このころになると、茎の一部は立ち上がり、先端からが出る。穂は高さが30cm程に達する。花茎の上半分位に、まばらに短い枝が出て、それぞれの枝に少数ずつの小穂がつく。小穂は枝の下向き側だけに着く。小穂からは3本の長いが生えており、その表面が粘つく。また、開花時の雌しべ柱頭の羽毛状の毛が目立ち、紫色のも比較的目を引きやすく、イネ科の花としては見栄えがする方である。

果実が熟すると、小穂の基部で外れやすくなり、その毛で他物に張り付く。動物などにくっついて分散を行うものと考えられる。よくズボンなどにも粘り着いてくる、いわゆるひっつき虫のひとつである。小穂は緑色であるが、毛は紫色を帯び、それに粘液がついてキラキラしている様子はきれいと言えなくもないが、その後のズボンの様子を想像すると気が滅入る風景でもある。

小穂の構造

小穂は外見上は卵状長楕円形。断面はに近く、はそれを巻くように着いている。小花は2つであるが、第一小花は退化して、第二小花のみ完全。第一穎第二穎は小穂の半分くらいの長さで先端に長いが出る。第三穎は小穂と同じくらい長さがあり、やはり先端に芒がある。第四穎は第三穎とほぼ同質。

分布

旧世界温帯から熱帯にかけて広く分布がある。日本では全土に生育する。

森林内に生えることが多い。特に林縁部には繁茂することがある。

類似種

よく似たものに、チゴザサササガヤコブナグサなどがある。いずれもササの葉に似た葉をつけ、茎は地表をはい回る。それぞれに別のであり、穂が出れば区別に困ることはない。しかし、葉だけでは、それなりの特徴はあるものの、具体的に区別点を指摘するのは難しい。また、それぞれに近縁種もあるから、穂が出ないうちは判断は難しい。特に、若いのがいじけていると、何やら分からない場合も大いにある。

チヂミザサ属

チヂミザサ属(チヂミザサぞく、学名: Oplismenus)は、世界の暖帯域に十数がある。

チヂミザサ Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult.
日本では広く分布する。ただし変異も多い。花軸や葉に多くの毛があるものをケチヂミザサ var. undulatifolius という。しかし、この2つを変種レベルでさえ分けないことが多い。和名としてはむしろケチヂミザサの方を取る場合もある。
変種としては、コチヂミザサ var. japonica (Steud.) Koidz. や、チャボチヂミザサ var. microphyllus (Honda) Ohwi などが記載されているが、典型的なものでははっきり区別できるものの、中間型があるため、現在では認められないことが多い。
エダウチチヂミザサ Oplismenus compositus (L.) Beauv.
チヂミザサによく似た植物であるが、全体にやや大型の傾向がある。また、穂の枝がより長く、小穂がよりまばらに数多く着いている。日本の本州南部~九州南部では数少ないが、琉球列島ではごく普通種になる。国外では台湾から南アジア全体にわたる。
ダイトンチヂミザサ Oplismenus aemulus (R.Br.) Roem. et Schult.

脚注

  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2011年11月7日閲覧。

参考文献

  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 草本 1 単子葉類』平凡社、1982年。ISBN 4-582-53501-1 
  • 北村四郎ほか『原色日本植物図鑑 草本編 3 単子葉類』(改定49刷)保育社〈保育社の原色図鑑〉、1987年。ISBN 4-586-30017-5 
  • 平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、582頁。ISBN 4-635-07001-8 
  • 長田武正『日本イネ科植物図譜』(増補)平凡社、1993年。ISBN 4-582-50613-5 
  • 伊藤ふくお写真、丸山健一郎文『ひっつきむしの図鑑』北川尚史監修、トンボ出版、2003年、78頁。ISBN 4-88716-147-6 
  • 木場英久・茨木靖・勝山輝男『イネ科ハンドブック』文一総合出版、2011年、100頁。ISBN 978-4-8299-1078-8 

関連項目

外部リンク