ザ・ワイズ・メン

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ザ・ワイズ・メン:The Wise Men:「賢人たち」の意)は、対共産圏政策たる封じ込め政策1940年代以来推進し、NATO世界銀行マーシャル・プランなどの組織や構想を構築した、官僚や東海岸外交政策機関のメンバーからなる一団である。彼らは、無党派性、実践的国際主義、及びイデオロギー的熱情への嫌悪を特徴とする政治的理想の象徴的存在であった。

ザ・ワイズ・メン

ザ・ワイズ・メンは、ウォルター・アイザクソンイーヴァン・トマス英語版が1986年に上梓した同名の著書に記述されている。同書が取り上げている主な人物は、以下の通り。

これら6人の友人――2人の弁護士、2人の銀行家、2人の外交官――は、1945年ハリー・S・トルーマンアメリカ合衆国大統領となった際、ソ連の勢力拡大への対抗を基礎とする超党派的外交政策の立案に共同参加した。彼らは米国の外交政策立案の模範であり、実際的・現実的・非イデオロギー的傾向を有していた。彼らは総じて、プレップ・スクール英語版(東部の名門高校)や大学ウォール街時代からの知己であった。彼らが引退したあと、彼らと志を同じくする長老権力者層の一団はワイズ・メンと呼ばれ、リンドン・ジョンソン大統領に呼び集められた。 当初彼らはヴェトナム戦争を支持したが、1968年3月の重要会議では、この戦争には勝てないので米軍は撤退すべしとの信念を表明した。

初の会合

1967年11月1日及び2日、ジョンソン大統領は以下の面々を集めた。

ディーン・アチソンジョージ・ボール英語版国務次官[1]オマー・ブラッドリー元帥、マクジョージ・バンディクラーク・クリフォードアーサー・ディーン英語版C・ダグラス・ディロン元財務次官、エイブ・フォータス英語版最高裁判事[2]アヴェレル・ハリマンヘンリー・カボット・ロッジJr.ロバート・マーフィー、及びマクスウェル・テイラー陸軍大将。

彼らは、アール・G・ホイーラー英語版大将、及びジョージ・A・カーバーJr.(CIAのベトナム問題専門家[3][4])からヴェトナム情勢に関する説明を受けた。カーバーとウィーラーは、ヴェトナムの戦況は大きく進展していると報告した。グループとしての意見は、ヴェトナムからの米軍撤退に反対することで一致していた。しかし彼らは、犠牲者の増加によって支持が下がりつつあることを認めると共に、ウィリアム・ウェストモーランド将軍とエルズワース・バンカー英語版大使は「トンネルの向こうに光」が見えたとの見解を強調すべきであると勧告した。バンディはジョンソンに対し、「戦争に対する国民の不満は今や広く深い」が、大統領は「方針を堅持」すべきであると報告した。

2度目の会合

1968年3月25日、11月に会合したのと同じグループが集まり、マシュー・リッジウェイ元帥とサイラス・ヴァンスがこれに加わった。 彼らは、国務省CIA、及び国防総省から、テト攻勢開始を受けてウィリアム・ウェストモーランド大将が要請しているヴェトナムへの増派に関する説明を受けた。ディーン・アチソンが総括した、グループとしての(ロバート・マーフィー、テイラー将軍、及びエイブ・フォータスを除く)勧告は、「もはや過去に試みた仕事を遂行できないので、撤退を始めねばならない」であった[5]

脚注

  1. ^ リベラル派、ベトナム戦争反対派閥。リーマンブラザースと密接なつながりを持つ。シューマンプランを通して欧州とつながりが深い。
  2. ^ リベラル派リーダー。ジョンソン大統領が最高裁判所長官に任命しようとするが、議会で共和党が阻止する。決定打はウルフソン財団からの給与支払いで、、タイム誌のウィリアム・ランバート英語版がミッチェル司法長官と司法省の援助を受けて、調査していた。その後ウォレン・バーガー長官の下で保守化が急速に進む。
  3. ^ エール大学最優等卒業、オックスフォード大学博士
  4. ^ George Carver Jr. Security Expert and C.I.A. Official Is Dead at 64New York Times June 30, 1994]
  5. ^ The Tet Offensive, David F. Schmitz

関連書籍

  • Isaacson, Walter & Thomas, Evan (1986). The Wise Men: Six Friends and the World They Made: Acheson, Bohlen, Harriman, Kennan, Lovett, and McCloy. New York: Simon & Schuster. ISBN 0-684-83771-4
  • Jenkins, Roy (1989). Gallery of 20th Century Portraits and Oxford Papers. David & Charles. ISBN 0-7153-9299-9

外部リンク