サザーランド公爵
| サザーランド公爵 | |
|---|---|
 .svg) | |
| 創設時期 | 1833年1月14日 |
| 創設者 | ウィリアム4世 |
| 貴族 | 連合王国貴族 |
| 初代 | 2代スタッフォード侯ジョージ・ルーソン＝ゴア |
| 現所有者 | 7代サザーランド公フランシス・エジャートン |
| 相続人 | スタッフォード侯(儀礼称号)ジェイムズ・エジャートン |
| 相続資格 | 初代公の男系男子 |
| 付随称号 | スタッフォード侯爵、ゴア伯爵、エルズミーア伯爵、トレンタム子爵、ブラックリー子爵、ゴア男爵 |
サザーランド公爵（英語: Duke of Sutherland）は、イギリスの公爵位。連合王国貴族。
第2代スタッフォード侯爵ジョージ・ルーソン＝ゴアが、1833年に叙されたのに始まる。
歴史
トマス・ゴア(1584–1665) は 1620年にイングランド準男爵位「ヨーク州におけるスティッテナムの準男爵(Baronet, of Sittenham in the County of York)」に叙された[1]。
その曽孫である5代準男爵サー・ジョン・ルーソン＝ゴア(1675–1709)は、庶民院議員を務め[2]、1703年3月16日にはイングランド貴族爵位「ヨーク州におけるスティッテナムのゴア男爵(Baron Gower of Sittenham in the County of York)」に叙せられた[3]。
その息子の第2代ゴア男爵ジョン・ルーソン＝ゴア(1694–1754)は王璽尚書を務めて、1746年7月8日にグレートブリテン貴族爵位のスタッフォード州におけるトレンタムのトレンタム子爵（Viscount Trentham, of Trentham in the County of Stafford）とゴア伯爵（Earl Gower）に叙せられた[2]。
その息子である第2代ゴア伯爵グランヴィル・ルーソン＝ゴア(1721–1803)は、閣僚職を歴任し、1786年3月1日にグレートブリテン貴族爵位スタッフォード侯爵(Marquess of Stafford)に叙せられた[4]。
その息子である第2代スタッフォード侯爵ジョージ・グランヴィル・ルーソン＝ゴア(1758–1833)は、1230年創設という歴史あるスコットランド貴族サザーランド伯爵家の女性当主エリザベス(1765-1839)と結婚し、その関係から1833年1月にサザーランド公爵に叙せられた。彼の代にルーソン＝ゴア家は最盛期を迎え、イングランド・スコットランドに広大な土地を所有する大地主として君臨した。その地代総額は大陸の小国君主をも凌駕する20万ポンドにも達していた[5]。ちなみに彼の弟グランヴィル・ルーソン＝ゴアも兄と別にグランヴィル伯爵に叙されて貴族となっている[6]。
初代サザーランド公とエリザベスの長男ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア(1786–1861)は父から第2代サザーランド公爵位を、母から第20代サザーランド伯爵位を継承した。以降サザーランド伯爵位はサザーランド公爵位所有者によって継承されたが、1963年の5代サザーランド公ジョージ・グランヴィル・サザーランド＝ルーソン＝ゴア(1888–1963)の死去の際に、男子なき場合に女系継承が認められるスコットランド貴族爵位サザーランド伯爵と男系男子に限定される連合王国貴族爵位サザーランド公爵位で継承者が別となり、両爵位は分裂した。2015年現在、サザーランド伯爵位は5代サザーランド公の姪にあたるエリザベス・サザーランド(1921-)が所持している（第24代サザーランド女伯爵）[7]。一方サザーランド公爵位は初代サザーランド公の次男フランシスの家系（エルズミーア伯爵エジャートン家）であるフランシス・エジャートン(1940-)が継承している（第7代サザーランド公爵）[8]。
一族の本邸はかつてはシュロップシャーのリリーズホール・ホールだった。また19世紀から20世紀にかけてはロンドンにランセスター・ハウスを所有した。現在の公爵の本邸はセント・ボズウェルズのマートン・ハウスである。
一覧
スティッテナムのゴア（後ルーソン＝ゴア）準男爵（1620年）
- 初代準男爵サー・トマス・ゴア (1584–1665)
- 2代準男爵サー・トマス・ゴア （1605頃–1672）, 初代準男爵の息子
- 3代準男爵サー・トマス・ゴア（1666頃–1689）, 2代準男爵の孫
- 4代準男爵サー・ウィリアム・ルーソン＝ゴア （1647頃–1691）, 2代準男爵の庶子
- 5代準男爵サー・ジョン・ルーソン＝ゴア (1675–1709), 4代準男爵の長男
- 1703年にゴア男爵に叙される
ゴア男爵（1703年）
- 初代ゴア男爵サー・ジョン・ルーソン＝ゴア (1675–1709),
- 2代ゴア男爵ジョン・ルーソン＝ゴア (1694–1754), 初代男爵の長男
- 1746年にゴア伯爵に叙される
ゴア伯 （1746年）
- 別の称号: トレンタム子爵（1746年）、ゴア男爵（1703年）
- 初代ゴア伯ジョン・ルーソン＝ゴア (1694–1754)
- 2代ゴア伯グランヴィル・ルーソン＝ゴア (1721–1803), 初代伯爵の息子
- 1786年にスタッフォード侯爵に叙される
スタッフォード侯（1786年）
- 別の称号: ゴア伯爵及びトレンタム子爵（1746年）、ゴア男爵（1703年）
- 初代スタッフォード侯グランヴィル・ルーソン＝ゴア (1721–1803)
- 2代スタッフォード侯ジョージ・ルーソン＝ゴア (1758–1833), 初代侯の長男
- 1833年にサザーランド公爵に叙される
サザーランド公（1833年）
- 別の称号 （初代公以降）: スタッフォード侯（1786年）、ゴア伯爵及びトレンタム子爵（1746年）、ゴア男爵(1703)
- 初代サザーランド公ジョージ・グランヴィル・ルーソン＝ゴア (1758–1833)
- 別の称号 （2代–5代公まで）: サザーランド伯爵及びストラスネイヴァー卿 （1235年スコットランド貴族）
- 2代サザーランド公ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1786–1861),初代公の長男
- 3代サザーランド公ジョージ・グランヴィル・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1828–1892), 2代公の長男
- 4代サザーランド公クロマティ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1851–1913), 3代公の次男
- 5代サザーランド公ジョージ・グランヴィル・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1888–1963)、4代公の長男
- 別の称号（6代公以降）: エレズミーア伯爵・ブラックリー子爵（1846年）
- 6代サザーランド公ジョン・サザーランド・エジャートン (1915–2000), 第5代エレズミーア伯。初代公の庶子初代エレズミーア伯フランシス・エジャートンの玄孫
- 7代サザーランド公フランシス・ロナルド・エジャートン (1940-), 6代公の従兄弟甥
- 法定推定相続人は、現当主の息子スタッフォード侯爵（儀礼称号）ジェイムズ・グランヴィル・エジャートン(1975-)
家系図
| ゴア男爵, 1703年 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 初代ゴア男爵 5代準男爵 ジョン・ルーソン＝ゴア (1675–1709) | |||||||||||||||||||||||||||||
| ゴア伯, 1746年 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 初代ゴア伯 2代ゴア男爵 ジョン・ルーソン＝ゴア (1694–1754) | |||||||||||||||||||||||||||||
| スタッフォード侯, 1786年 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 初代スタッフォード侯 2代ゴア伯 ジョン・ルーソン＝ゴア (1721–1803) | |||||||||||||||||||||||||||||
| サザーランド公, 1833年 | グランヴィル伯爵家 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 初代サザーランド公 2代スタッフォード侯 ジョージ・ルーソン＝ゴア (1758–1833) | 19代サザーランド女伯 エリザベス・ルーソン＝ゴア (1765–1839) | ||||||||||||||||||||||||||||
| エルズミーア伯, 1846年 | |||||||||||||||||||||||||||||
| 2代サザーランド公 20代サザーランド伯 ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1786–1861) | 初代エルズミーア伯 フランシス・ルーソン＝ゴア (後エジャートンに改姓) (1800–1857) | ||||||||||||||||||||||||||||
| 3代サザーランド公 21代サザーランド伯 ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1828–1892) | 2代エルズミーア伯 ジョージ・エジャートン (1823–1862) | ||||||||||||||||||||||||||||
| ゴア伯(儀礼称号) ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1850–1858) | 4代サザーランド公 22代サザーランド伯 クロマティ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1851–1913) | 3代エルズミーア伯 フランシス・エジャートン (1847–1914) | |||||||||||||||||||||||||||
| 5代サザーランド公 23代サザーランド伯 ジョージ・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1888–1963) | アレステア・サザーランド＝ルーソン＝ゴア (1890–1921) | 4代エルズミーア伯 ジョン・エジャートン (1872–1944) | トマス・エジャートン (1876–1953) | ||||||||||||||||||||||||||
| 24代サザーランド女伯 エリザベス・サザーランド (1921-) | 6代サザーランド公 5代エルズミーア伯 ジョン・エジャートン (1915–2000) | レジナルド・エジャートン (1905–1992) | |||||||||||||||||||||||||||
| ストラスネイヴァー卿(儀礼称号) アルステア・サザーランド (1947-) | 7代サザーランド公 6代エルズミーア伯爵 フランシス・エジャートン (1940-) | ||||||||||||||||||||||||||||
| サザーランド領主(儀礼称号) アレクサンダー・サザーランド (1981-) | スタッフォード侯(儀礼称号) ジェイムズ・エジャートン (1975-) | ||||||||||||||||||||||||||||
出典
- ^ Collins, Arthur (1812). Collins's peerage of England: genealogical, biographical, and historical, Volume 2, Printed for F. C. and J. Rivington, Otridge and Son, J. Nichols and Co. T. Payne, Wilkie and Robinson, J. Walker, ... [and 21 others], 1812 p.445
- ^ a b . Dictionary of National Biography (英語). London: Smith, Elder & Co. 1885–1900.
- ^ Record for John Leveson-Gower, 1st Baron Gower at www.cracroftspeerage.co.uk
- ^ . Dictionary of National Biography (英語). London: Smith, Elder & Co. 1885–1900.
- ^ 水谷三公 1987, p. 26-27.
- ^ Lundy, Darryl. “Granville Leveson-Gower, 1st Earl Granville” (英語). thepeerage.com. 2015年8月13日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Elizabeth Millicent Leveson-Gower, 24th Countess of Sutherland” (英語). thepeerage.com. 2015年8月13日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Francis Ronald Egerton, 7th Duke of Sutherland” (英語). thepeerage.com. 2015年8月13日閲覧。
参考文献
- 水谷三公『英国貴族と近代 持続する統治1640-1880』東京大学出版会、1987年。ISBN 978-4130300636。