コーヒーパーティー運動
コーヒーパーティー運動( コーヒーパーティーうんどう、英: Coffee Party movement )とは、2009年からアメリカ合衆国で始まった草の根保守派の「ティーパーティー運動」に対抗するため、2010年に誕生した親オバマのリベラル派の草の根運動である。
メリーランド州シルバースプリングに住むドキュメンタリー映画の監督でアナベル・パークという女性が、世界最大の
インターネットを利用して急速に全米に連携を広げたのが特徴で、集会でもネットツールが使用される。モットーは「目覚めよ、立ち上がれ」。
団体発足の経緯
2010年2月26日午後2時、「コーヒーパーティー・USA」は、アナベル・パークとエリック・バイラーというの二人の映画関係者のカップルを発起人に、ウェブ上に設立された[1]。公式サイトには「コーヒーパーティー」 立ち上げるに当たっての思いが動画で現在も掲載されているが、運動は、敵対意識を丸出しにして対決一色のティーパーティー運動への反発から、対話と協調、多様性を重視したものとなっている。
パークは、「多くのアメリカ人は同じことを考えています。ティーパーティー運動ではアメリカが直面している問題を解決するとは思えません。今すぐ私たちに必要なのは別のやり方です」と宣言して、次のように呼びかけた。「企業のためにではなく、私たちのような普通のアメリカ人のために働くアメリカ政府を望む人は誰でも入会を歓迎します」という。彼女は、デモクラシーとコーポラトクラシー[2]の対立であるとし、「アメリカ人の多数派は私たちのような普通の人間です。ところがいつの間にか、連邦政府が私たちの争いや心配や不安の源、つまり私たちの敵であるかのように思い込まされているのです」と言う。
最初、50名から始まった運動は、雪だるま式に膨れあがり、全米期展開するに至った。
なぜコーヒーなのか?
コーヒーパーティーという名前に決まったのは軽いノリだったようで、パークの提案による。彼女が「コーヒーパーティーを発足しましょう。スムージーパーティーでも、レッドブルパーティーでも、ティー以外なら名前はなんでもいいわ。あらそうだ、カプチーノパーティーなんてどう? それだとあいつら(草の根保守派のこと)はエリート主義っぽいって言ってキレるわよきっと。とにかくみんなで集まってカプチーノでも飲んで、思いやりと中身のある本当の政治対話をしましょう」と呼びかけたため[1]。
コーヒーは、もともとボストン茶会事件を起こした茶法による課税に反発して代用品としてコーヒー飲用が全米で広まったといわれる経緯から、アメリカでは愛国的な飲み物と称されている。(詳細は「コーヒーの歴史」を参照) また公民権運動において、1960年2月1日、グリーンズボローで白人専用のカウンター席に4人の黒人学生が座ってコーヒーを注文した事件も、グリーンズボロー・コーヒーパーティー事件[3]と呼ばれたことがあるなど、コーヒーは多様性とリベラルとも因縁が深い。ちなみにグリーンズボローでたった4名が始めた運動は数百人に膨れあがり、シット・インと呼ばれる座り込みを行う大衆運動へと発展した。現代のコーヒーパーティーも、一杯のコーヒーからアメリカを変えるか注目される。
ネットをフル活用した全米運動
このようないきさつで生まれた「コーヒー・パーティー」は、名前も目標も「ティー・パーティー」を意識していることは言うまでもない。双方ともインターネットを駆使し、一般市民同士が直接意見を交換しながら急速に基盤を広げているところは共通だ。立ち上げ後僅か1ヶ月足らずの「コーヒー・パーティー」でも、もう30州に45の支部が生まれているという。政治的に目指す方向は正反対だが、この2つの「パーティー」が11月の中間選挙にどう影響したかは興味深い。
2010年の中間選挙では、民主党への逆風となり、下院での大敗という結果になったが、終盤には支持率はやや巻き返し、上院では辛うじて過半数を維持できた。
脚注と出典
- ^ a b Zak, Dan (2010年2月26日). “Coffee Party activists say their civic brew's a tastier choice than Tea Party's”. Washington Post. 2010年9月23日閲覧。
- ^ コーポラトクラシーは「corporation」コーポレーションと「-cracy」クラシー(支配)で作られた単語。 ( Corporatocracy )
- ^ ( Greensboro sit-ins )